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円谷プロの遺伝子を世界へ ディズニー流ブランド戦略の狙い「プロデュース集団のスタジオをめざす」

20〜30代や女性層をターゲットにする『ウルトラマン』ブランドの可能性

『DARKNESS HEELS』

『DARKNESS HEELS』

――『かいじゅうステップ』『かいじゅうのすみか』『DARKNESS HEELS』と立て続けに発表した新たなIP群は、ファン層の拡大を目的とした戦略でしょうか?
塚越円谷プロは子どものためのヒーローを作る家元のような存在だと自負しています。これまで築き上げてきた資産は、ブランドであり、認知をもっともっと深めることによって、ファンの方々により喜んでいただける活動になっていくと考えて進めています。結果、コア層から裾野も広がっていくのではないでしょうか。『ウルトラマン』は誕生当初から特撮映像シリーズとして人気を誇りました。それを糧に広げていくことにもこだわっていきたい。創業者の円谷英二がもしまだ生きていたら、いろいろな作品を出したかったはずです。実際に円谷英二が残してくれた、まだ世に出ていない企画もあります。『ウルトラマン』のテレビシリーズから広げたこの3作に続く新しいコンテンツをもっとたくさん作っていきます。『かいじゅうのすみか』はひとつのコンセプトであり、作品です。1つひとつの怪獣たちの魅力を作品を通じて届けていくことが最終的なゴール。ファンの方々に楽しんでいただきながら、映像やアトラクション、ゲーム、VRなどに広げていきます。

――今年12月に東京ドームシティの各種施設にて開催予定のファンイベント『ツブコン』は円谷プロにとって初の試みです。
塚越『ツブコン』は、円谷プロの過去と未来を繋ぐものになります。つまり、ウルトラマンワールドと円谷ワールドを体感していただき、これまでの円谷プロの作品を楽しんでもらうのと同時に、これからの円谷プロの可能性を感じてもらえる場にしたい。総じて、ワクワク感をお伝えできたらと思っています。オープニングでは、21年以降に発表する作品の一部紹介も予定しています。BtoC向けに発表する機会は、2年に1回くらいのペースで継続的に実施していくつもりです。『ウルトラマン』はアジアをはじめ海外の方々にも人気ですので、海外からも注目されるイベントへと育てていきたいと考えています。

――イベントを含め、円谷ブランドをさまざまなプラットフォームで発信していくのですね。
塚越ブランドを作ることを第一に考えています。ファンの方々の期待にしっかりと応え、どのように展開していったら楽しんでもらえるのかを考えていくことで、作品がドライブしていくと思います。『ウルトラマン』はこれまで50年以上、子どもを対象としたブランド作りを行ってきました。私も小学生の頃、『ウルトラマン』を楽しんだひとりですが、そんな中高年に向けたリブートや、20〜30代に向けた『ウルトラマンティガ』のスピンオフなど、これからはいろいろな可能性を広げていきます。例えば、女性層は『ウルトラマン』ブランドにとって一番遠い存在に思われてきましたが、ファッションアイテムやスイーツ、生活小物などから『ウルトラマン』ブランドに興味を持ってもらえる可能性は十分にあります。それを具現化するための商品化も計画しています。それも円谷英二のビジョンを伝える手段のひとつ。映像作品だけを作るのではなく、ブランドを作り上げることで、あらゆる機会を拡大させていきます。

グローバルに展開できるローカルとしての普遍的な魅力

有料のデジタルメディア『TSUBURAYA・GALAXY』

有料のデジタルメディア『TSUBURAYA・GALAXY』

――有料のデジタルメディア『TSUBURAYA・GALAXY』もスタートしました。今後、映像配信なども手がけていくのでしょうか。
塚越まずはコアファン向けのメディアとしてスタートしています。『ツブコン』開催の理由や、『かいじゅうのすみか』『DARKNESS HEELS』特集など、コンセプトの説明やこれからどのような展開を進めていくのかなど、作品の背景をしっかりお伝えする場として活用していきます。要望次第で、映像配信なども提供したいと考えています。

――映像作品の海外展開もさらに広げていく考えはありますか?
塚越Netflixオリジナルの『ULTRAMAN』が全世界配信されましたが、これは世界展開の第1弾です。今後、日本だけでなく、海外のクリエイターにも参加してもらいながら作品を制作していくこともめざします。クリエイティブをコントロールしていくことは、難しくも一番大事なこと。円谷プロがやりたいことを理解してくれる海外のパートナーと組み、仕込んでいきます。これも、『ツブコン』で発表できる作品があれば、お伝えしたいと思っています。

――塚越さんが考える、日本を代表する円谷ブランドの誇れる点とは? ディズニーの『マーベル』作品に登場するヒーローとはどのような違いがあると思いますか?
塚越マーベルはストーリーづくりがおもしろい。単なる勧善懲悪のヒーローものではなく、ヒーローが悩み葛藤し、そのなかから自己を見つけていく人間ドラマとしても深い話になっています。ウルトラマンのオリジンは、キャラクターの造形・デザインと脚本、そして合成操演などの特撮技術・演出が秀逸で優れていたことにあると思います。その点で言えば、マーベルもウルトラマンも同じです。違いがあるとすれば、そしてそれがウルトラマンの一番の特徴になると思うのですが、キャラクターとストーリーの視点だと思います。マーベルは個人に立脚した展開をしています。それに対してウルトラマンは、自然を含めた世界のバランス、調和に立脚した展開になっています。言い換えると、グローバルとローカルの魅力の違いだと思います。今は世界的に多様化の時代で、グローバルのローカル化、そしてローカルのグローバル化が起きています。そのなかで、ウルトラマンはグローバルに展開できるローカルとしての普遍的な魅力を持っていると思います。それがマーベルとの違いになると思います。円谷プロの遺伝子を大事にして、ローカルからグローバルに発信するレールをつくっていくことも自分がやるべき仕事です。
(文/長谷川朋子)
塚越隆行氏/円谷プロダクション 代表取締役会長 兼 CEO
Profile/つかごし たかゆき
1962年生まれ。早稲田大学卒業。1991年、ディズニー・ホーム・ビデオ・ジャパンに入社。00年にブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント日本代表、10年にウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンのゼネラルマネージャー、16年にウォルト・ディズニー・ジャパンのエグゼクティブ・プロデューサーに就任。17年8月に円谷プロダクション代表取締役社長、19年4月に代表取締役会長 兼 CEOに就任。

空想科学『かいじゅうのすみか』

  • 空想科学絵本『かいじゅうのすみか』(19年8月発売予定)

    空想科学絵本『かいじゅうのすみか』(19年8月発売予定)

 円谷プロダクションが贈る、新たな「かいじゅう」の世界となる空想科学絵本『かいじゅうのすみか』(19年8月発売予定)。自然のなかで「かいじゅう」たちが共棲する不思議な世界。そこに迷い込んだ少年少女たちの未知なる冒険を描く。
 そんな『かいじゅうのすみか』の世界が、円谷プロならではのアナログ特撮技術と最新のデジタル技術を駆使して、体感アトラクションで再現される。

■体感アトラクション『かいじゅうのすみか』
期間:19年11月上旬〜20年1月下旬
会場:東京ドームシティ Gallery AaMo
※詳細は公式サイト(https://m-78.jp/(外部サイト))で順次発表

(C)円谷プロ

提供元: コンフィデンス

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