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吉本×NTTによる「遊びと学び」のプラットフォーム 手がけるのはチコちゃんを生んだ名プロデューサー

 『ごっつええ感じ!』や『笑う犬』シリーズ、『ホンマでっか!?TV』など、フジテレビで数々のヒットバラエティを手がけてきたプロデューサー・小松純也氏。最近では出向していた共同テレビで、NHKの大ヒットバラエティ『チコちゃんに叱られる!』を制作するなど、その類まれなセンスで話題作を作り続けている氏が、今年3月いっぱいでフジテレビを退社した。人気プロデューサー退社のインパクトはWebでニュースになるほどだったが、同時に業界関係者が気になったのが退社後の動向。
そんな小松氏が、4月21日に沖縄・那覇市で開かれた吉本興業とNTTグループによる新たな配信事業「遊びと学びのプラットフォーム Laugh & Peace_Mother Powered by NTT Group」の記者会見に登場。クールジャパン機構から100億円に及ぶ出資も受ける、ビッグプロジェクトのコンテンツ制作に関わっていくことが発表され、スライドを交えながらおよそ10分間のプレゼンテーションを行った。

 同プラットフォームは、慶応義塾大学教授の石戸奈々子氏が立ち上げたNPO法人「CANVAS」が16年間にわたって実施してきた、「創造的な遊びを提供する」活動のノウハウを活用し、子どもから大人まで楽しめる「遊びと学び」のコンテンツを、Webとリアルで提供することをテーマに掲げる。思えば『チコちゃんに叱られる!』もまさに、子どもから大人まで楽しめる番組で、今回発表されたプラットフォーム「Laugh & Peace_Mother」も、小松氏のアイデアが随所に活かされた楽しいものになる予感がする。いったいどんなマジックをかけようと考えているのか、記者会見終了後、小松氏本人に話を聞いた。

今の時点で自分が作っているものを、 なんと呼んだらいいのかわからない

――まず、フジテレビを退社されるに至った思いからお聞かせください。
小松氏 当時私は管理職もやっていて、もう一度現場に戻りたいという思いはあるものの、戻ってプロデューサーと名乗り直したところで周りもやりづらいだろうなと(笑)。元部下ばかりですからね。そんな時に、港浩一さんがフジテレビの常務から共同テレビの社長になるという話を聞きまして、このタイミングがいいのではないかと思って、出向を願い出たんです。当初はフジテレビの番組を作ろうと思って行ったのですが、よそ様からのお声がけが非常に多くて。TBSさんとかNHKさんもすぐにお声がけいただいて。そうした皆さんと今、番組を作っているわけですが、われわれがやっているバラエティというのは、ドラマとは違って長く続けるのが目標。しかし、当時の私は出向という立場ですから、いつフジテレビに呼び戻されるかわからない。自分がプロジェクトの中心にいながら、一番不安定な状態ということに対して、徐々に罪悪感が沸いて参りまして。もちろんフジテレビは大好きなのですが、今ご一緒させていただいている皆さんとのご縁を大切にしようと思って会社を辞めました。

――小松さんのプロデューサーとしてのスタートは『ごっつええ感じ』なんですよね。
小松氏 新入社員の時にADで番組に入りまして、その時プロデューサーだったのが現吉本興業会長の大ア洋さんです。会社は違いましたが、プロジェクトとしては大アさんが私にとっての最初の上司です(笑)。

――その大ア会長から、今回の「Laugh & Peace_Mother」のお話を聞いたとき、最初はどのように思いましたか。
小松氏 自分としては、ネット配信プログラムの制作もそれなりの経験値があったので(Amazon Prime『HITOSHI MATSUMOTO presentsドキュメンタル』など)、今回の話もできると思っていたのですが、NTTさんの技術を使ったプラットフォームとなると、さらにいろいろな可能性がある。その驚きのほうが大きくて、改めて「大変なことに巻き込まれたな」と(笑)。具体的に制作イメージを作っていくなかでも、テクノロジーに対する自分の知識が追い付いていないことを反省しましたし。でもその一方で、(未知の可能性が)ほぼ手付かずの状態で目の前にあること、それをこの年になって体験できることにときめきも感じています。カメラと電話と電子端末が1つになって「スマホ」と呼ばれるように、今の時点では自分が作っているものを、なんと呼んだらいいのかわからないんですが、既存のカテゴリにははまらないものが次々生まれてきそうな感覚です。

今できることだけで考えていくと つまらないものになってしまう

  • 小松純也氏

    小松純也氏

――例えば「1+2」の答えを求めるような、ゲーム感覚の勉強ソフトは今でも世の中にありますが、これから小松さんがお作りになろうとしているものは、それとはどんなところが違うイメージでしょうか。
小松氏 世の中を数字で把握することもできますよね。高層ビルにいくつの窓があるのか。そこから世の中を把握するといったことは、ゲームには難しいのではないかと思うんです。私はリニアな(時系列に沿った)作品づくりをしてきた人間なので、ノンリニアが定義のゲームの世界とは、そういう点で違うものになるのではないかと思います。

――記者会見のプレゼンテーションで紹介された「顔面画面」(スマホの画面全体が人の顔になっているコンテンツ)も面白かったです。あれはパーソナライズ化されていくイメージでしょうか。
小松氏 AIの技術がどこまで対応してくれるのかによりますが、それが実装されたらスゴイことになりますよね。まるでペットのようです。とにかく技術は進化していくものなので、今できることだけで考えていくとつまらなくなってしまう。知識がなくて恥をかく、といったことを恐れずに「こういうことがやりたい」と言い切ることが大事だと思います。自分が恥をかく役になって、いろんなことにチャレンジしていこうと思っているんです。

――そういう意味では「チコちゃん」も同じでしょうか。
小松氏 そうですね。今まであそこに出てきたネタで、私自身は1つも正解を知らなかったですから(笑)。言われて、「えーそうなの?」ということばかり。結局、自分が見たいもの、知りたいことしか作れない。子ども向けと言いながら、自分がわくわくするものしか作れないので、結果そういうコンテンツになるのではないかと思います。

 日本の企業のなかで、硬軟の両端にいると言っても過言ではない、吉本興業とNTTによるプラットフォーム「Laugh & Peace_Mother」は今年秋に誕生予定。小松氏が生み出す未知の面白さに期待したい。

提供元: コンフィデンス

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