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【受賞プロデューサーインタビュー】『今日俺』が示したドラマの可能性 福田脚本・演出と期待に応えた役者たち

ドラマは脚本が大事 脚本家が着目したものを引き上げるのが仕事

――ねらい通りのヒットになったわけですが、ここまで大きくなった要因として挙げられることはありますか?
高 明希おもしろい、楽しい、笑えるがキーだと思うんですけど、広がりにおいては主題歌がひとつの大きな要素になっていたと思います。「男の勲章」は、『めちゃイケ』(フジテレビ系)の数取団で再ブレイクしていて、リアル世代ではない私にもピンと来るんです。年月をかけて2回ブレイクをしている曲は、いまの時代にまた流行るんじゃないかと考えました。それを主人公たちみんながバンドで当時の風情で歌って、踊って、そこから「あの曲なに?」って広がりました。いままでの時代を見ても、名ドラマにも名曲がつきもの。口ずさみやすくて、覚えやすい。大人の忘年会、子どもの卒園式まで使い勝手がよかったようです。ドラマと主題歌のヒットは結びついていると改めて感じました。

――プロデューサーとして、いまのドラマシーンをどう見ていますか。
高 明希ドラマ好きからドラマプロデューサーになった身としては、すべてのドラマがおもしろくあってほしい。私はドラマの要は脚本だと思っています。現状は、脚本家が脚本執筆と現場のサイクルに追われてしまっていることが多い。そういうバタバタしているのが作品に透けて見えてしまうことがないように、ちゃんと愛情と熱量と時間をかけて脚本を作ったうえで現場に臨む、幸せなサイクルができればいいなと感じています。それに、脚本が遅いとスケジュールが組みづらいので、現場の効率化もそうですが、先に脚本があれば役者もじっくり役柄に思いを巡らすことができます。『今日俺』は5〜7月の早撮りで10月放送でしたが、撮影が始まる前に福田さんが全話の脚本を書き終えてくれていました。役を育む時間をしっかり持てたのがよかったと思います。撮影は、ずっと栃木でしたが、夜はみんなで食事に行って交流を深めて、監督に対しても気兼ねなく話ができる雰囲気だったので、そんな空気感も含めていい形で映像に残ったと思います。

――これから先、どういうドラマを作っていきたいですか?
高 明希脚本が大事と話しましたが、どんなドラマにおいても、脚本家がどういったものに着目して、どういったものを形にしたいのかをできるだけ引き出す、引き上げるのがプロデューサーの仕事だと思います。ですから、次に仕事をしたい相手をどう引き出すかを考えていきたいというのが、モチベーションとしてあります。「コメディ好きなんでしょ?」ってよく言われるんですけど、もちろん大好きですが、エンタテインメントをテレビでやっているなかでその割合が高いだけであって、これから出会う作家さんがいい状態でいい脚本をかけるようにするのが私の仕事です。いろいろな縁をつないでいきたいと思っています。
(文:編集部・武井保之)

提供元: コンフィデンス

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