平井堅、20周年を迎えた「Ken’s Bar」で魅せた“進化” 「過去や今を壊して前に進む」
20周年を迎えても当初のスタイルを踏襲する“Ken’s Bar”
オープニング・ナンバーは、今年JUJUに書き下ろした「かわいそうだよね」のピアノ弾き語りだった。初の作詞作曲での楽曲提供となった同曲は、女性の真情を吐露した歌詞も注目を集めた。聴いていて、なんとも身につまされてしまう…。そんな複雑な思いも、2曲目の「思いがかさなるその前に…」に入ると、さっと溶けるように消え去っていった。アカペラで始まり、ギターの音色が歌声に優しく寄り添い、のびやかな歌声は会場全体を包み込んでいく。
今は応募多数でプラチナチケット化している同ライブだが、スタートした98年当時は、観客が数十人であったという。その後、会場が大きくなっても、客席にはテーブル席、場内にはドリンク・コーナーが用意され、自分の楽曲だけでなく、本人が歌いたい楽曲も織り交ぜて歌われる当初のスタイルを踏襲している。MCで当時を振り返りながら「まさか20年も続けられるとは…」と感慨深げな様子が印象的だった。
オリジナル、カバーで見せた平井堅の新たな表情の数々
「大好きな曲です」そう言って、小気味いいパーカッションの音色とともに歌いだしたのは、樹木希林&郷ひろみの「林檎殺人事件(郷ひろみ&樹木希林)」だった。ピンクの眼鏡をかけ、振付を交えながらのウィットに富んだナンバーの後には、15年ぶりにライブで歌ったという二日酔いの歌「I’m so drunk」をギターとセッション。続いてピアノとボーカルで、スモーキーな「POP STAR」を披露した。これまで耳にしたことのない斬新なアレンジに、ハラハラドキドキ、ザワザワ…心はかき乱される。シンプルな構成だからこそ際立つボーカルスキルの高さ、聴きどころ満載のチャレンジングなナンバーが続いた後で、観客の感情の高ぶりを落ち着かせるように、「LIFE is...」「センチメンタル」とバラード2曲が続き、二部構成の前半が終了した。
人気コーナーでの観客との距離感の近さ
同コーナーを終え、正面ステージまで「恋人がサンタクロース」(松任谷由実)を歌いながら戻ると、そこから怒涛のクライマックスへ向かう。「君の好きなとこ」の4つに組み合ったウッドベースと歌声の迫力に興奮を覚え、濃厚な「LOVE OR LUST」に酔う。「KISS OF LIFE」はアカペラで始まり、パーカッション、ベース、ピアノと加わっていき、この日初めてのバンドスタイルで演奏された。短いなかにいくつもの見せ場のある同曲の壮大な響きに圧倒される。次の「Love Love Love」でマイク片手にステージ上を端から端まで動き回り、盛り上がりは最高潮に達した。
“新しい平井堅を見せたい”MCで語った決意
アンコールは、会場中央のサブステージで、1曲目同様に自身のピアノの弾き語りによって、11月にリリースされた最新作「half of me」が披露された。歌い終わるとメインステージに戻り、マイクを通さない地声で「皆さんのおかげで最高の夜でした!」と感謝を伝えて、この日のライブは終了した。
彼が探し求める“新しい平井堅”の姿を推し量ることはできないが、今回のライブには、いくつもの新たな発見があったことは確かだ。次はいったいどんな表情を見せてくれるのか、そう思うとなんだかワクワクしてくる。来年4月からは第4弾となる、全4ヶ所計6公演のアリーナ・ツアー「Ken’s Bar 20th Anniversary Special !! vol.4」の開催が発表されている。さらに進化した姿が楽しめるに違いない。
文/カツラギヒロコ
『Ken's Bar 20th Anniversary Special !! vol.3』
(12月23日横浜アリーナ公演)セットリスト
■ACT1
1 かわいそうだよね
2 思いがかさなるその前に…
3 林檎殺人事件(郷ひろみ&樹木希林)
4 I’m so drunk
5 POP STAR
6 LIFE is...
7 センチメンタル
■ACT2
8 リバーサイドホテル(井上陽水)
9 僕は君に恋をする
10 楽園
11 夢のむこうで
12 恋人がサンタクロース(松任谷由実)
13 君の好きなとこ
14 LOVE OR LUST
15 KISS OF LIFE
16 Love Love Love
17 ノンフィクション
■ENCORE
18 half of me
(12月23日横浜アリーナ公演)セットリスト
■ACT1
1 かわいそうだよね
2 思いがかさなるその前に…
3 林檎殺人事件(郷ひろみ&樹木希林)
4 I’m so drunk
5 POP STAR
6 LIFE is...
7 センチメンタル
■ACT2
8 リバーサイドホテル(井上陽水)
9 僕は君に恋をする
10 楽園
11 夢のむこうで
12 恋人がサンタクロース(松任谷由実)
13 君の好きなとこ
14 LOVE OR LUST
15 KISS OF LIFE
16 Love Love Love
17 ノンフィクション
■ENCORE
18 half of me