音楽シーンで振り返る“平成” 際立つビーイングの存在感
音楽とカラオケがコミュニケーション・ツール、場として、生活に溶け込んでいた90年代
ヒット曲は、ただ受動的に聴くだけのものではなく、能動的に歌って楽しむもの、という側面がより強まり、人々は新曲のCDを購入したりレンタルしたりして覚え、こぞってカラオケボックスに通った。音楽とカラオケが、仲間内のコミュニケーション・ツール、場として、生活に溶け込んでいた時代である。
90年代半ばヒットチャートを独占した二大勢力“ビーイング”と“小室ファミリー”
時代のニーズにフィットしたビーイングのヒット戦略
平成最後の年にDAIGOが贈るビーイング大ヒット曲のカバーアルバム
本作では、事務所の先輩である、オリジナルアーティストとのコラボレーションも実現している。「離したくはない」(91年)では、森友嵐士(T-BOLAN)、「あなただけ見つめてる」(93年)では大黒摩季、「このまま君だけを奪い去りたい」(93年)では、池森秀一(DEEN)がゲストボーカルとして参加した。T-BOLANは今年活動30周年を迎え、現在アニバーサリーツアーを開催中、活動25周年を迎えた大黒摩季は、8年ぶりのオリジナル・アルバム『MUSIC MUSCLE』を本作と同日に発売、同じく25周年のDEENも今年3月に通算10回目の日本武道館ライブを行うなど、精力的な活動を続けている。DAIGO自身もメジャーデビューから今年15年目を迎えているが、そのキャリアを上回る大先輩の胸を借りて、これまでのイメージとは異なる新たな魅力を振りまいている。
本作の指揮を執ったのは、ビーイング創設者の長戸大幸プロデューサー。四半世紀の時を経てビーイングのヒットストーリーを再構築した本作は、そういう意味においても意義深い作品なのである。
※文中の売上枚数は18年12/3現在のもの