年間売上100億円突破の乃木坂46、グループにこだわった戦略
『第51回 オリコン年間ランキング 2018』
年間アーティスト別セールス部門
年間シングル
年間アルバム
安室奈美恵さんに次ぐ、100億円突破の年間売上
一方のシングル部門では、5/7付オリコン週間シングルランキングで自身初となる発売初週100万枚超えとなる111.7万枚を売り上げた20枚目のシングル「シンクロニシティ」(4月25日発売/130.6万枚)が、自己最高の3位を獲得し、初のTOP3入りとなった。さらに、4位は齋藤飛鳥が4作ぶりのセンターを担当した21枚目のシングル「ジコチューで行こう!」(8月8日発売/128.2万枚)、7位はグループからの卒業を発表しているメンバー・西野七瀬と若月佑美が参加した22枚目のシングル「帰り道は遠回りしたくなる」(11月14日発売/116.1万枚)と3作が100万枚を突破し、TOP10にランクインした。昨年は、TOP10入りした3作のうち2作がミリオンセールスを記録した乃木坂46。今年はTOP10内の全3作がミリオンを突破した。
TOP10内6作品が乃木坂46メンバー、写真集分野を独占 後押しとなったモデル活動
ちなみに、『白石麻衣写真集 パスポート』は通算23度目の重版で1万部を増刷し、累計発行部数が34万部を突破しており、2年にもわたってペースが落ちずロングヒットを続けている。その白石は、『LARME』(徳間書店)や『Ray』(主婦の友社)などのファッション誌で専属モデルとして最近まで活躍していた。また、他のメンバーも女性ファッション誌でモデルとして人気を得ており、西野七瀬が『non-no』(集英社)、松村沙友理が『CanCam』(小学館)、川後陽菜が『Popteen』(角川春樹事務所)、齋藤飛鳥が『sweet』(宝島社)、衛藤美彩が『美人百花』(角川春樹事務所)、堀未央奈が『ar』(主婦と生活社)、北野日奈子『Zipper』(祥伝社)、久保史緒里が『seventeen』(集英社)、桜井玲香が『NYLON JAPAN』(トランスメディア)とナチュラル系やモード系、ギャル系からお姉さん系まで、雑誌のターゲット層も幅広い。乃木坂46として活動する際は、膝丈の清楚な制服衣装が主体となっているため、ファッション誌で見せる彼女たちの姿は新鮮さを与えているようだ。実際に、「乃木坂46の子だと知らずに雑誌を読んでいた」との声がネットで上がっており、常に新しいファンを獲得し続けていることが伺える。
結成当初からのエースたちが続々卒業 新たなエース育成が急務
こうした個々の活動も彼女たちのランクアップへと繋がっているが、乃木坂46はグループ自体をしっかりと育ててきたことも大きい。AKB48グループは、姉妹グループも参加した形で『AKB48選抜総選挙』を毎年開催し、関連グループ一体となって屋台骨であるAKB48を盛り上げてきた。一方の坂道シリーズは、乃木坂46と欅坂46のそれぞれのカラーを明確にわけ、独立したグループとして活動してきたことも、雑多にではないグループ単体での人気獲得に繋がったいえる。また、乃木坂46というグループの“器”の大きさが、他のグループとは一線を画している。それは、彼女たちがモデルを務める幅広いジャンルの雑誌からも見て取れる。清楚系という軸をキープしつつも、常に新しいトレンドを取り入れていることもできる器の大きさもグループとしての魅力や強さに繋がっている。
そして肝心な楽曲も、他のアイドルグループとは一線を画す。年間シングルで3位を獲得した「シンクロニシティ」もそうだが、青春の1ベージを切り取ったような清涼感のあるサウンドと歌詞。そこにはCBSソニー時代からのアイドルの保守本流を歩んできたレーベルの伝統が宿っており、クオリティが高い。こうしたクリエイティブも、ファン層を広げていった重要な要素だ。
ただ、どんなアイドルにも必ず“卒業”を迎えるときが来る。今年卒業した生駒里奈、川後陽菜、川村真洋、若月佑美を筆頭に、西野七瀬など、結成当初からのエースたちが続々“卒業”を発表している。新たなエースを育成することが、2019年さらに飛躍をするかどうかカギとなる。