LiSA、シンガーとして10年 アニソンを歌う理由「想いを背負って歌い、伝わる素直な道」
14thシングルのテーマは…「ベストアルバム後なのに、まだ攻めてくるLiSA」
LiSA 今回はベストアルバムを経てのシングルだったのでプレッシャーもあって。ベストアルバムは“一つが終わった”のではなくて、“再スタート”という感覚でした。そこで、「まだこいつ攻めてくるんだな」という姿勢を示したくて、2曲とも攻めてる曲を両 A 面シングルにしました。LiSAとして大切にしてきた「ロック」「女」という部分を大人になってようやく表現できるようになってきていて。「Catch the Moment」「Rising Hope」とは違うまた一つランクアップしたような“今、LiSAができるアニメロック”かつ“LiSAらしい曲”を届けることで、みんながワクワクしてくれるんじゃないかなと。
――「赤い罠(who loves it?)」は、LiSAさんのヒット曲「Rising Hope」を手掛けた田淵智也さん(UNISON SQUARE GARDEN ※以下「先輩」)による楽曲ですね。
LiSA “LiSAの歌”は田淵さんと麻枝准さんが作ってくれたと思っています。麻枝さんはキーの限界を突破させてくれて、田淵さんには音数を増やされ、テンポを早くされて…(笑)。
ロックを歌える女、LiSAを作ってきたのは(田淵)先輩の力が大きいと思っています。そこで「LiSAにしかできないカッコいいことやりたい」と話した時に「じゃあ、この曲歌えるもんなら歌ってみろ」と、出てきた曲なんです(笑)。楽器数が少なくて“ロックバンド”の音構成なんですね。シンセではなくピアノだったり、生の人間が演奏するエネルギー、プレイヤーそれぞれの姿が見えてくる、プレイヤーが頑張らないと再現できない一人一人の“音楽力”を楽しめる楽曲に挑戦しました。
――それはライブ映えしそうですね!
LiSA レコーディングの時も、「この曲はLiSAちゃん以外は歌えないね」「カラオケで歌えない曲」なんてスタッフさんたちが言ってました(笑)。余談ですが、バンドスコアを出させてもらったんですが、スコアの難易度が中上級者向けの曲しかなくて。だからライブでもそれを演奏するバンドメンバーも大変なんです。
――新曲を出す度に、鍛えられて進化してるんですね。チームLiSAの結束が強くなるような曲でもあるのではないですか?
LiSA そうですね。田淵さんは毎回そういうテンションなので、シンガーとしてすごく鍛えられますね。私も負けず嫌いなので「やってやる!」という気持ちになるんですよ。感覚的にはEgo-Wrappinさんの「くちばしにチェリー」を初めて歌った時のような感覚ですね。「この歌かっこいい!絶対歌えるようになってやる!!」って。
作詞への想いが膨らんだ「ADAMAS」
LiSA 『SAO』関連楽曲は6曲目なんですが、主題歌をやらせていただくのは 2012年のアニメ第1期OP曲「crossing field」以来です。シリーズの最初を任せて頂いているのはすごく責任感があるなと思っています。アニメは原作ファンがついている作品が多くて、主題歌をやらせていただく際は自分の方が新参者な感覚なんですけれども、SAOは「私だって7年前からやってるぞ!」という想いです(笑)。ファンと一緒に育ってきた感覚で「みんなーやるよ〜っ!」って、自分が連れて行くぞ!みたいに、アニメ制作陣の身内の感覚ですね(笑)。
LiSA 8年間、アニメと関わらせていただいて、新しいことができないかなと思ったんです。一言でいうと、ベストアルバムを作ってツアーをやったら、伝えたいことがものすごく増えてしまった。その中の一つが言葉でした。ライブも歌詞を感じながら目の前のみんなに伝えるように歌っているのですが、自分の思いを自分の言葉で音楽にしたいという気持ちが強くなってきました。
――前からおっしゃってたことですけれども、その気持ちがより強くなったってことですね?
LiSA たとえば、「赤い罠(who loves it?)」では、先輩が作ってくれた楽曲ではあるんですけれど、“情念”や“女の感覚”は私の方が強いですから。男性である先輩が恋の歌、誰かを思う楽曲を作ってくれて、自分が作りたい色にするために、先輩の色に私の色を混ぜてやっとバーガンディレッドになるというか。“私がいないと赤にならないぞ”という感覚で曲作りに参加させてもらっていました。
――なるほど。歌も作詞も、日々クリエイターさんたちとの戦いなんですね(笑)。
LiSA そうです(笑)。作詞家さんの方が持ってるか、私の方が持っているのか…という。
2018年は史上4人目の快挙&ガンダム主題歌も「嬉しいことだらけの1年」
LiSA ガンダムの主題歌をやるって本当にすごい事だと実感しています。ファンの方からも、「ガンダムを観に行ったらLiSAの歌が流れて感動した」「ガンダムにLiSA!」という驚きの言葉がすごく多いんです。ガンダムを通して自分の歌が多くの方に届いていると実感しました。
――ガンダムもそうですが、ライブもものすごい本数をやられていましたし、昨年にも増して躍進の1年でした。LiSAさんはどういう糧になった年でしたか。
LiSA 嬉しいことがとても多かった1年でした。実は、今年はベストアルバムとシングル一枚しかCDを出してないんです。でも、デジタルシングル「Thrill, Risk, Heartless」から始まって、セーラームーン、椎名林檎さんのトリビュートアルバムに参加させていただき、ベストアルバムとツアー、そしてガンダム、SAO主題歌と。いろいろな人と一緒に音楽ができて、認めてもらって、愛してもらったことを実感した1年でした。
LiSA やった〜!沢山の人に愛してもらっていることを実感して、すごく嬉しくて。「よ〜し、みんなに会いに行くぞ!」ってライブツアーに望んでいます。
――そのアジアツアーでは海外公演もありましたね。反響はいかがでしたか?
LiSA 2年前にアジアツアーをやった時は、海外のお客さんも一緒に歌ってくれたんですが、曲の2番からパタッと歌わなくなって(笑)。アニメのTVサイズ楽曲を聴いてくれていた人が多かったと思うんですが、今年のライブでは「Catch the Moment」も「crossing field」もお客さんが最後まで日本語で歌ってくれるんです。アニメから入った人たちがLiSAというシンガーに会いに来てくれているんだって感動しました。ほかにも、今年はテレビもたくさん出させていただいて、その度にファンの方達がハラハラしながら“親の気持ち”で見てくれていました(笑)。 みんなと楽しく過ごせる日がたくさんありましたね。
LiSAとしての“生きざま”にも変化「スーパーマンになることだけが正解じゃない」
LiSA 自分のことを分かってなかったんだと思いました。これまでは「鍛えればなんとかなる!」「頑張った分だけちゃんと力になる」と信じていたんですが、鍛えられないところもあるんだなって。理想に近づけることだけじゃなくて、自分自身を知ることも大切なことだと分かりました。今年のツアーは、ベストアルバムの年でもあったので、キーが高くて激しい曲だらけのセットリストだったんです。私だけの話じゃなくて、私が壊れるということは、お客さんも、バンドメンバーも、皆が壊れるということになるというか…。
LiSA パフォーマンスを追求して追求して…楽曲の作り方もセットリストの作り方も、ライブの組み立て方も、これまでは「どこまでスーパーマンになれるか」という考え方でした。LiSAの生き様として、それが正解だと思っていたんですが、夏の歌があれば冬の歌もあるように、力を蓄えた上での爆発させるタイミングがあって、全力疾走する場所のメリハリの大事さを学びました。
――ずっと全力疾走でもLiSAさんのファンはついてきそうですけれどね(笑)
LiSA はは。その考えは、今回のシングルにも生きていて。もう少し気楽に生きていく場所も必要なんだと思って作ったのが、今回のカップリング収録曲の「スパイシーワールド」です。
シンガーとして10年、デビュー時から変わらぬ想い
LiSA この10年で、私自身が“変わった”感覚は正直ないんです。時代の変化とともにやっていることも触れていくものも変わってきましたが、木が枝葉を付けて大きくなっている感覚。10年前と違う木をいくつも植えているわけではなくて、同じ木の中でどんどん広がっている感覚があります。
――ソロデビューの前、Girls Dead Monsterは「Little Braver」(2010年)はランキング最高2位、アルバム『Keep The Beats!』も最高6位と、全ての楽曲がTOP10以内にランクインしていました。LiSAとしてソロデビューする前にいきなりスターダムに上がる形でしたね。
LiSA 当時は、突然人に認めてもらって誰かに愛してもらうことにただ“混乱”していましたね。そしてその嬉しさを知って、愛情との向き合い方を経験した期間だったと思います。デビューする頃は23歳でわりと大人だったので、LiSAというシンガーはどうやって生くべきか考えてスタートできました。それはすごく幸せなことでした。1stミニアルバム1曲目の「Believe in myself」 という曲は私の理想の歌の在り方を歌詞で表現できた曲なんです。「いつかこの曲を聴いた誰かが今を愛せたらいい」、それは今も変わりません。
ソロデビューも、自分が大きくなったというよりは、愛情に応えていきたいという気持ちがどんどん膨らんでいた10年間だったと思います。今は31になりましたし、「あんたのこと思ってるのよ!」っていうお母さんみたいな感覚です(笑)
LiSAがアニソンを歌う理由「想いを背負って歌い、それが伝わる素直な道に思えた」
LiSA 私が最初にアニメに関わらせてもらった作品が麻枝准さんが手掛けた『Angel Beats!』(2010年)でした。最初は「劇中のアニメのキャラクターが歌うところを私が歌うんだな」「ちょっと流れるらしい」くらいの理解だったんです。制作陣の方々と話したときに、「麻枝准さんを何度も口説いてやっと実現した」「このためにアニメ業界に入りました」という方もいらっしゃったんです。アニメって人の思いがいっぱい込められて、愛情持って作られていて、多くの人たちの想いを背負って私が歌うんだと感じました。私にとってアニメは愛情を込めて作ったものが、世に出て認められていく“素直なルート”だと思えたんです。
――そして、今はアニメと歌は切り離せないものになってきていますね
LiSA すごいのが、アニメを通していろいろな国の人たちが私を見つけてくれること。『SAO』主題歌の「ADAMAS」は、まだ歌詞も出ていないときに、既に歌っている動画を投稿してくれている外国の方もいて。私よりも英語の発音がイイ(笑)。非常に嬉しいことだと思います。
――それをLiSAさんが見てるところがすごいですね(笑) では、2018年は躍進の1年でしたが、来年、その先に実現したい夢はありますか。
LiSA 東京ドームでライブをやりたいです!
――すごい具体的なんですね!
LiSA 歌手として生きた証を残していきたいんです。じゃあ何を実現したら“残る”んだろう?と考えたら…東京ドームってライブした人の名前が残るんですよ。ソロの女性アーティストでドームライブをやった女性シンガーは実は歴代10人で、最新は西野カナさんなんです。その次に私も名前を残したい!って思っています。平成最後の日に横浜アリーナでライブがありますので、まずはそれを成功させたいですね。
LiSA 頑張ります!
(文/亘輝)
LiSA 14thシングル「赤い罠(who loves it?) / ADAMAS」
M1 赤い罠(who loves it?)
作詞:LiSA、田淵智也 作曲:田淵智也 編曲:堀江晶太
M2 ADAMAS
作詞:LiSA 作曲:カヨコ 編曲:堀江晶太
M3 スパイシーワールド
作詞:LiSA 作曲:LiSA 編曲:野間康介
M4 赤い罠(who loves it?) -Instrumental-
※「赤い罠(who loves it?)」ミュージッククリップ収録DVD付
※撮りおろしブックレット付
M1 赤い罠(who loves it?)
作詞:LiSA、田淵智也 作曲:田淵智也 編曲:堀江晶太
M2 ADAMAS
作詞:LiSA 作曲:カヨコ 編曲:堀江晶太
M3 スパイシーワールド
作詞:LiSA 作曲:LiSA 編曲:野間康介
M4 赤い罠(who loves it?) -Instrumental-
M1 ADAMAS
作詞:LiSA 作曲:カヨコ 編曲:堀江晶太
M2 赤い罠(who loves it?)
作詞:LiSA、田淵智也 作曲:田淵智也 編曲:堀江晶太
M3 1/f
作詞:田中秀典 作曲:goodtimes 編曲:野間康介
M4 ADAMAS -Instrumental-
M5 ADAMAS -TV ver.-
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※アニメ描きおろしイラスト使用ミニポスター&イラスト使用三方背ケース仕様
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