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「ミンティア」なぜ売れる? 減収100億から最高売上を更新 30年ブランドが遂げた「多用途セルフケア錠菓」への役割の転換
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1996年の発売以来、30年間で350種類以上のフレーバーを展開。
コロナで崩れた「食べる理由」
しかし、着実に売上を伸ばしていたなか、コロナ禍により100億円近い減収に見舞われた。外出や対面の機会が減少し、「人に会う前に口を整える」といった利用シーンが急速に縮小。売上は2019年の238億円から2021年には144億円へと落ち込み、ブランドはかつてない局面に直面した。
「移動中や対面エチケットを前提とした利用が一気に減り、売上は大きく落ち込みました。これまで当たり前だった使われ方が通用しなくなり、構造的な見直しが必要になりました」
従来の延長線上では回復は見込めない。同社は「なぜ食べるのか」という根本から、ミント菓子の役割を問い直すことになった。
より“自分のため”へ再設計されたミンティア
30年前に発売された初代「ミンティア」。当時は縦型で専用紙ボックスに入れられ、店頭に陳列されていた。
「日常のいたるところで生じる小さなストレスを、その場でリセットしたいというニーズがあると捉えました」(アサヒグループ食品・マーケティング本部の真鍋礼子さん/以下同)
これまでの「エチケット」「眠気覚まし」「気分転換」といった限定的な訴求から、現代人の心身を整える“ストレスリセットのための錠菓”へとブランドの存在価値を定義し直したのだ。
用途開拓の視点は、コロナ禍で突如生まれたものではない。同社はこれまでも、通常品の約5倍のサイズで満足感を高めた大粒タイプ『ミンティアブリーズ』(2014年発売)や、ラムネ感覚で楽しめるフルーツ系フレーバーの拡充など、製品の可能性を地道に広げてきた。コロナ禍という断絶を契機に、その潮流が「自分の状態を整える」という軸へ一気に集約されたといえる。2021年には、マスク着用時専用の『ミンティア +MASK』が登場。続く2022年には、「声の調子を整えたい」というニーズに応えたボイスケア商品も発売され、生活シーンに踏み込んだ展開が進んだ。
そしてこの流れの象徴が、2023年10月に行われたキャッチコピーの刷新だ。『ミンティアブリーズ クリアプラスマイルド』は、それまで親しまれてきた「息クリア」を「息みがき」へと変更した。
「対人向けの印象が強かった表現を見直し、自分のためのセルフケアという意味合いを強めました」
これらの施策は、単なる「一時的な気休め」から、心身のコンディションを支える「日常のセルフケア」へと、ミンティアの役割を決定づけることとなった。
逆風下でも「過去最高」を叩き出した戦略的供給と信頼の基盤
アサヒグループ食品 マーケティング本部・真鍋礼子さん
「社会的な影響が大きいベビーフードに加え、ミンティアは非常に多くの方に支持されている主力商品です。供給が止まることで流通やお客様に与えるご迷惑を考慮し、優先的にお届けする取り組みを決めました」
この戦略的な判断に加え、長年築いてきた流通パートナーとの信頼関係が功を奏した。欠品を起こしたにも関わらず、棚を維持し、システム復旧後に即座に商品を店頭に戻す協力をしてくれた流通が多かったという。
「一時的な品薄はありましたが、回復後にまた多くの方が買ってくださり、販売はスムーズに戻りました。流通の方々のご協力を含め、需要の底堅さを改めて実感しました」
2026年4月6日に新登場した「ミンティア +FOCUS」。ブドウ糖を92%配合し、仕事中や勉強中の集中維持をサポートする。
近年急拡大するグミ市場との関係も、同ブランドの独自性を際立たせる。嗜好品として「噛んで楽しむ」グミに対し、ミンティアは短時間で「状態を整える」という実利に特化した。競合と食い合うのではなく、用途を棲み分けることで、独自のポジションを不動のものにしたといえる。
売り場での選ばれ方も変化した。かつてのレジ横での「ついで買い」から、現在はその多彩な“日常のセルフケア”のラインナップから、消費者が特定の役割を求めて選ぶ「目的買い」の商品へと位置づけを変えている。
一粒ごとに異なる役割を持たせた商品群は、単なる菓子を超え、日常のあらゆる場面に寄り添う「生活の相棒」としての地位を確立した。サイバー攻撃という不測の事態にあっても過去最高売上を更新できたのは、ミンティアが個々の生活動線の中に、替えのきかない必需品として深く浸透していた結果といえるだろう。