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“世間の正解”を生き続けたシングルマザー、成長していく息子を見てジェンダーレスな姿に転身「違いは弱さではなく、強さになる」
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ジェンダーレスな姿になる前のあいみさんと息子さん(@aimi__nakamura)
幼い頃から「女の子なんだから」の言葉に違和感、息子が生まれ自身の正解を選ぶ決意
@aimi__nakamura 正しさって、誰が決めたんだろう。 ちゃんとしてる人ほど、壊れそうに見えるときがある。 私は「誰かの理想」を演じるのをやめた。 息子の前で、かっこ悪い日もあるけど、 それでも、自分のことを好きでいたいと思えた。 いつか子どもに伝えたい。 「人の目より、自分の気持ちを大事にしていい」と伝えたい。 あなたは、 誰の「正解」にしばられて生きていますか?
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「幼い頃から『女の子なんだから』という言葉に違和感がありました。周りの子がスカートを当たり前のように履く中で、私はズボンのほうが好きで、可愛さよりも動きやすさを大事にしていました。外見は周囲に合わせることもできましたが、心の中ではこれは自分のなりたい姿ではないという思いを抱え続けていました」
――その違和感を抱えながら、ずっと過ごされていたのですか?
「成長するにつれて、周囲に馴染むために“女の子らしさ”を意識するようになりました。大人になるとさらに女性らしくあれば人生はうまくいくと思い込み、誰よりも女性らしい自分を演じようとしました。ネイルやまつエクを欠かさず、少しでも隙を見せないように装っていました。けれども、そこには心から納得できる自分はいませんでした」
ジェンダーレスな姿になる前のあいみさんと息子さん(@aimi__nakamura)
「結婚・出産も経験し、世間から見れば正解とされる道を歩んでいるように見えたと思います。けれども母になってからは『息子のためには女性らしいお母さんでいなければ』と思い込み、自分を押し殺していました。本当はボーイッシュな自分でいたいのに、『そんな姿になったら息子に嫌われるのではないか』『お母さんらしくないとイヤだと言われるのではないか』と不安でいっぱいでした」
――自分を押し殺して生活していたところから、どのようにしてジェンダーレスな姿になる決心をしたのですか?
「成長していく息子の姿を見ていると、心の中で繰り返し問いが浮かびました。『息子に、偽った背中を見せ続けていいのか?』と。実際、最近まではもし息子にこの姿を否定されたら、またかわいらしいお母さんに戻ろうと考えていたほどです。やがて私は、世間の正解ではなく私の正解を選ぶ決意をしました。髪を短くし、ボーイッシュな装いを選んだとき、初めて心と身体がひとつに重なるような実感がありました。そして『ジェンダーレス』という言葉と出会い、長年言葉にできなかった違和感に、自分の生き方を説明できる居場所を見つけたように感じました」
「あいみ、かっこいいな」これまでの不安や葛藤が軽くなった息子の一言
成長した息子さんと現在のあいみさん(@aimi__nakamura)
「一番辛かったのは『女子トイレ』での経験です。二度見されたり、『え、ここ男子トイレ?』と入口まで戻る方もいました。まるで犯罪者扱いをされているような、そんな視線を何度も浴びてきました。自分の姿でいるだけで、やっぱり私は社会からずれているんだと感じるようになっていました」
――現在のジェンダーレスな姿でご家族やご友人と対面したときの反応はいかがでしたか?
「ジェンダーレスな姿に変わって、親には面と向かってカミングアウトできていません。周囲の反応は様々で、友人の中には『あいみらしい!』と受け入れてくれた人もいて、その言葉はとても大きな支えになりました。一方で『男みたいやな』『気持ち悪い』などの言葉は、否定されているようで心に深く刺さりました。良い言葉も悪い言葉も、周囲の反応すべてが、今では自分を貫く覚悟につながっているのだと思います 」
現在のあいみさん(@aimi__nakamura)
「ある日、何気ない日常の中で、息子がふいに『あいみ、かっこいいな』と言ってくれました。特別な場面ではなく、本当に自然な会話の流れの一言でした。長い間抱えてきたボーイッシュなこの姿を嫌われるかもしれないという不安や葛藤が、一気に軽くなりました。その一言があったからこそ、『このままの自分で大丈夫なんだ』と、自分自身を信じて生きていく覚悟がさらに強くなりました」
――あいみさんにとって、息子さんはどのような存在ですか?
「息子は、私にとって生き直しのきっかけをくれました。もし息子がいなければ、私は今も『世間の正解』に縛られたまま、自分を偽って生きていたかもしれません。私が息子を育てているようで、実は息子に育てられている。そう感じることが多いです」
他人軸ではなく自分が心地よいかを大切に「違いは否定されるものではなく、力に変えられる」
現在のあいみさん(@aimi__nakamura)
「ジェンダーレスな姿になってから、見た目に対する考え方で一番変わったのは『人にどう見られるか』という基準から解放されたことです。以前の私は、常に周りの視線を気にしていました。『女性らしく見られなければ』と、他人の評価を軸にしていました。今は、自分が心地よいかどうかを大切にしています。もちろん周りの視線を気にする瞬間がゼロになったわけではありません。それでも、自分自身が納得できる姿でいようと思っています。以前は『こうでなきゃいけない』と思い込んで苦しかったけれど、今はこれが自分と少しずつ肯定できるようになっています」
――「家族に打ち明けられない」など、今、自身の性について悩んでいる方へ、どのような言葉をかけていきたいですか?
「無理に打ち明けなくてもいいと伝えたいです。カミングアウトするかどうかは、自分で選んでいいこと。誰かに話すことがゴールではありません。大事なのは、まず自分が自分を否定しないことです。周りに理解されなくても、自分の中で『これが自分!』と思えたら、それは立派な一歩だと私は思います。安心できる人や環境は必ずあります。焦らず、自分のペースで、自分のタイミングで歩んで大丈夫。そう伝えたいです」
――現在は正社員として働きながらも情報発信や、ジェンダー公演などもされています。発信を通して伝えていきたいことについて、教えてください。
「私が発信を通して一番伝えたいのは、『違いは否定されるものではなく、力に変えられる』ということです。これまでの人生で、私は普通や世間の正解とされるものに合わせようとし続けてきました。でも、それでは自分を押し殺すことになり、苦しさしか残りませんでした。だからこそ今は、自分らしく生きることを選び、その姿を発信することで『違いは弱さではなく、強さになる』と伝えたいのです。SNSや講演活動を通じて、自分の経験を言葉にすることは、同じように悩む人にとって“生き続ける勇気”になると信じています。誰かが『自分も大丈夫なんだ』と思えるきっかけになれたら、それが私にとって最大の喜びです」
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