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舞台『となりのトトロ』ロンドンで無期限ロングラン決定、お父さん役・田渕大、憧れの石丸幹二と初対面対談

(左から)田渕大、石丸幹二(撮影:吉原朱美) (C)ORICON NewS inc.

(左から)田渕大、石丸幹二(撮影:吉原朱美) (C)ORICON NewS inc.

 スタジオジブリのアニメーション映画『となりのトトロ』(1988年)を舞台化した『My Neighbour Totoro』。映画で音楽を手がけた作曲家の久石譲が発案し、日本テレビとイギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)が共同製作。2022年10月〜23年1月にロンドンのバービカン劇場で初演、23年11月から24年3月まで同劇場で再演された。そして、今月20日より、イギリス・ロンドンのジリアン・リン・シアターで無期限ロングラン公演が開幕。

 本作で初演時からお父さん・タツオ役を演じる俳優・田渕大が、ロングラン公演が始まる前に一時帰国。人生で初めて観たミュージカルが劇団四季の『キャッツ』だったという田渕が憧れてやまない、俳優の石丸幹二との初対面対談が実現した。

無期限ロングラン公演が開幕 Mei(Victoria Chen), Tatsuo (Dai Tabuchi) and Satsuki (Ami Okumura Jones) in My Neighbour Totoro. (C) Manuel Harlan (C)RSCandNTV

無期限ロングラン公演が開幕 Mei(Victoria Chen), Tatsuo (Dai Tabuchi) and Satsuki (Ami Okumura Jones) in My Neighbour Totoro. (C) Manuel Harlan (C)RSCandNTV

石丸『My Neighbour Totoro』は、再演の初日(23年11月21日)にバービカン・シアターで拝見したんです。私はちょうど、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー役を日本で演じていた頃で、少し長い休みを利用して、「ハリー・ポッター」の聖地巡りをしようとイギリスを訪れたんです。すると、『My Neighbour Totoro』がちょうど再演されるタイミングだと教えられ、知人に入手困難なチケットを確保してもらいました。田渕さんは初演から出演されているんですよね?どうですか、手応えは?

田渕はい、初演からやらせていただいています。まず、イギリスでこれだけ多くのアジア系の役者が一堂に集まり、大きな劇場でお芝居をするということ自体、これまでなかったことなんです。さらに言うと、5〜10年前にはアジア系の役者が舞台で活躍できる場所すらほとんどありませんでした。そんな中、「アジア系の役者が集まって何かを作っているらしい」と話題になり、チケットの発売初日(22年5月17日)に3万枚も売れて、ベネディクト・カンバーバッチ主演の『ハムレット』(15年)が持っていたバービカン劇場の初日販売記録を抜いてしまったんです。そのニュースを聞いたとき、ちょうど稽古場に「ネコバス」が届いたところで、床にふにゃっと置かれたネコバスを動かしてみたら、まるでタコみたいで(笑)。そんな試行錯誤をしていた状態の中で「記録を抜いた」と聞いて、「これはやばいぞ」と思いました。

石丸うれしい「やばい」ですね!

田渕本当にそうです。若い役者の中にはプレッシャーで泣き出してしまう子もいました。

(左から)田渕大、石丸幹二(撮影:吉原朱美) (C)ORICON NewS inc.

(左から)田渕大、石丸幹二(撮影:吉原朱美) (C)ORICON NewS inc.

石丸観客の皆さんは、映画の『となりのトトロ』を知っていたんですね。

田渕それが意外なことに、イギリス人のお客さんの約半分が映画版を観ていなかったらしいんです。それでも口コミや期待感で劇場に来てくださったんだと思います。

石丸そうなんですか!日本から遠く離れたイギリスで、昭和30年代の日本を舞台にした作品が受け入れられたのは、うれしいですね。僕も、どんなふうに舞台化されているのか、ものすごく期待して劇場に行きました。その日、ちょっとしたトラブルでカーテンが閉まったりしましたが、初日の興奮から「これも演出?」と思うくらい、わくわくしていましたね(笑)。映画版を観ていたので、英語のせりふ部分でつまづくこともなく、舞台化した意味がしっかり心に伝わってきました。視覚的にもまさに僕が好きなタイプの作品で、特に、黒子が出てきて「作ってます感」を見せつつも、観客は「目に見えないもの」として自然に受け入れていく演出が素晴らしかったです。

田渕おっしゃる通り、この作品では黒子が、私たちは「風子」と呼んでいますが、ストーリーテラーの役割を担い、物語を進行していきます。冒頭で、サツキとメイが引っ越してきたシーンでは、風子は素顔を見せています。そして、風子が顔を隠した瞬間から、観客は彼らの存在が「見えなく」なって、物語に集中できるような演出になっています。

石丸日本の歌舞伎における黒子の概念に通じますが、イギリスの観客にとっては目新しく、響いたんじゃないかと思います。そのアイデアと演出の巧みさに感動しました。そして、田渕さんが演じるお父さん(タツオ)!映画版の印象そのものでした。

初演時の舞台写真 Photo by Manuel Harlan (C)RSC, with Nippon TV

初演時の舞台写真 Photo by Manuel Harlan (C)RSC, with Nippon TV

田渕ありがとうございます。実は僕には16歳の娘と11歳の息子がいまして、2人が子どもの頃、『となりのトトロ』のサツキとメイのお父さんが出てくるたびに、「パパ、パパ」と言っていたんです(笑)。なので、この役のオーディションを受けることに、ものすごい重圧がありました。「これで役をいただけなかったら、パパじゃなかった」ってことになる(笑)。どうしても役を取りたい一心でしたが、「もし落ちたら、人生には頑張ってもダメなこともあるんだよ」と子どもたちに伝える覚悟もしていました。でも、無事に合格できて、親父の面目を保つことができました(笑)。

石丸本当にいいタイミングで素晴らしい作品に巡り合いましたね。

田渕いろいろなご縁があったと思います。僕は愛知県長久手市出身で、小学生の頃は、いま「ジブリパーク」がある辺りの野山を駆け回っていました。オーディションのときに「君にとってのトトロの森はどこか?」と質問されて、「ジブリパークです。あそこの森で遊んでいました」と答えたんですよ。

石丸それは向こうの人たちにも、とてもわかりやすかったでしょうね(笑)。

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