ORICON NEWS
【うまれて!ウーモ アライブ】“完全シークレット”の1万円超「おもちゃ」なぜ売れる? 子ども惹きつけた“玩具を愛でる”という原点回帰
『君たちはどう生きるか』的な試み? 『おもちゃショー』でもメディアにも秘密のおもちゃ
おもちゃメーカー大手、タカラトミーのブースもいわずもがな。ロングセラー商品からロボット玩具、液晶を使ったトレンド商品も並ぶ。だが、ブース最奥に鎮座していた“たまご”は謎だった。おもちゃとしては“中身”がメインになるだろうに、殻に覆われたたまごからは微塵もそれが見えない。
実はこれ、『うまれて!ウーモ』という過去にも大ヒットした商品だったわけだが、担当者に聞くと「発売まではシークレットです」とのこと。せっかくの大々的なお披露目の場なのに、しかもヒットシリーズ新作なのに…そんな悠長なことして大丈夫? という疑問が残った。もしかして、公開前まで事前情報がほぼシークレットだった『君たちはどう生きるか』的な展開を期待して?
そもそも、『うまれて!ウーモ』とは、カナダのスピンマスター社が2016年に発売した玩具。日本でも同年からタカラトミーが販売しており、世界累計販売個数は1,420万個を突破している大人気シリーズだ。たまごをお世話することで、中にいるウーモが孵化する瞬間に立ち会えることから、「誕生の瞬間の感動を味わえる」「親になったような気持ち」など人気を呼んできた。今回は、5年ぶりの新作が10月4日に発売されたわけだが、その日までは『おもちゃショー』はおろか、自社HPやメディア、販売店でも詳細を明かさず、予約すら募らなかったという。
メーカーとしては「プレッシャー」と「不安」、それでもシークレット貫いたワケ
「重要アイテムですし、プレッシャーはありました。ですが、実際に動物が生まれるときと同じように、ウーモの孵化体験は1度きり。どんな子が生まれてくるのかドキドキとワクワクでいっぱいの誕生の瞬間を驚きとともに楽しんでいただきたい。なので、皆様のお手元に届くまでなるべく情報は出さないよう考えました」(武田さん)
最新作『うまれて!ウーモ アライブ』は以前よりさらに進化しており、本物のたまごを孵化させるように抱っこしたり揺らしたりと愛情を注ぐことで、中にいるウーモが自ら殻を割って生まれてくる。殻の割れ方もよりリアルに再現され、本物の動物の誕生さながら。子どもにとっては特別な瞬間となるだろう。
「はじめは一抹の不安はありましたが、必ずヒットすると確信はあって。発売して実際に目にしていただいたことで、確信は現実に変わりましたね」(武田さん)
1万円超なのにどんどん売れる、200ヵ所以上の体験会で見えた子どもたちのリアル
「自信はあれど、価格が税込1万1998円とおもちゃとしては高め。クリスマスシーズンでも、よく買われるおもちゃの価格は5000〜6000円ですからね。イベント時期でもない10月に1万円を超えるおもちゃの販売数が週ごとに上がっていくのは、市場においてかなり特殊な売れ方だと思います」(武田さん)
では、実際ウーモを手にしたユーザーの反応はどんなものだったのか。発売日以降、全国200ヵ所以上で実施した孵化体験イベントで、親子づれのリアクションを見てきた荒川さんはこう語る。
「抱っこしたり、トントン叩いたりとお世話することで、殻の中から心音が聞こえ、孵化の準備が始まります。子どもたちが愛おしそうにたまごを抱きしめる様子や、耳を傾けて中を確かめようとする姿がとても印象的でした。愛情を注いで生命を育む気持ちを味わえるという、ウーモの魅力がしっかり伝わっていると実感しました」(荒川さん)
自らの手の中で愛情を込めて育てたたまごから、生命が誕生する――おもちゃとはいえ、その体験はどれほど子どもたちを惹き込むものだったか。ウーモが殻を割って生まれようとする瞬間には、多くの子どもたちから「頑張れ!」という掛け声が飛んだ。
「アライブには、ユニコーンを模した『パフィコーン』とドラゴンを模した『ドラグル』の2種類があり、それぞれカラーは2通り。どちらが生まれるかは孵化するまでわかりません。実演で、『パフィコーンの紫の子が絶対可愛い』と言っていた子にドラグルのたまごのお世話をしてもらったことがあったのですが、孵化後、その子はもう生まれてきたドラグルに夢中(笑)。自分が愛情を込めて大切に育んだ子が『一番可愛い!』となっているところに、ウーモの意味を感じました」(荒川さん)