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長澤まさみの話をしよう〜映画『スオミの話をしよう』公開記念座談会(1)
大富豪の妻・スオミが突然行方をくらませた。スオミが消えたことを知り、夫が住む邸宅に集結したのは、彼女を愛した5人の男たち。誰が一番スオミを愛していたのか。誰が一番スオミに愛されていたか。男たちは、スオミの安否そっちのけで、「自分が最もスオミのことを愛し、愛されていた」と語り合う。しかし、彼らが語るスオミのイメージはそれぞれ、見た目も、性格も、まったく異なるものだった。スオミはどこへ消えたのか。スオミとは一体、何者なのか。
それぞれの夫たちの思い出の中のスオミを演じ分けた長澤の七変化ぶりが見どころの本作。対峙する相手によって全く異なるキャラを演じ、キャラごとにテイストの異なるファッションを着こなす “長澤まさみ”という俳優は何者なのか。彼女の芝居を目の当たりにした三谷監督、スオミの夫たちを演じた、西島秀俊、松坂桃李、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎に集まってもらった。
1番目の夫:血の気の多い庭師・魚山大吉(ととやま・だいきち)
じつは、雑談が得意じゃなくて。まさみちゃんと話していて、うまく話が弾まなくて、まさみちゃんに「絡みづらっ」って言われちゃって。でも、「思ったことを正直に言う人なんだな」と思って。それから積極的に話しかけていったら、まさみちゃんもだんだん自分のことを話し始めてくれて。「実は緊張しやすいし、人見知りなんだ」と言い出した。俺も同じで、「俺も、俺も」って感じになって。自分が緊張しやすくて人見知りすることは、ずっとマイナスな面だと思っていたんだけど、まさみちゃんもそんな一面を持っていると聞いて、それでもいろんな作品を引っ張っていることに驚きました。
2番目の夫:怪しげなYouTuber・十勝左衛門(とかち・ざえもん)
3番目の夫:情に厚い警察官・宇賀神守(うがじん・まもる)
4番目の夫:神経質な警察官・草野圭吾(くさの・けいご)
5番目の夫:身勝手な芸術家で大富豪の現夫・寒川しずお(さむかわ・しずお)
三谷幸喜初めてしっかりと仕事をしたのは、斉藤由貴さんとの二人芝居『紫式部ダイアリー』(2014年)。その時、とても力のある俳優さんだなと思いました。その後、『真田丸』(16年)にも出てもらい、『鎌倉殿の13人』(22年)のナレーターも担当していただきました。僕としても長澤さんでいつか映画をやりたいと思っていました。僕は普段俳優さんと食事に行ったりしないし、みんなそのことを知ってるのか、誘われもしないんだけど(笑)、長澤さんは積極的に連絡をくださる方ですね。
今回、いろんなキャラを演じていますが、おそらく彼女の本質に一番近いのは、西島さん演じる草野と一緒にいるときのスオミだと思います。憲一演じる魚山と一緒にいる時のべらんめえ調のキャラが一番苦労されていました。僕から見た長澤さんは本当に真面目で一生懸命で、ひたむきな方なんです。いつも悩んでいて、OKが出た後も「やり遂げた!」という感じになかなかならず、「これで良かったんだろうか」と反省したり、落ち込まれたりしている。完璧主義者だと思います。