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パンチ、ロン毛、スパイラル…ヘアトレンドの象徴だったメンズパーマの現在、単なる“オシャレ”から“コンプレックスの解消”まで網羅
日本におけるパーマの歴史「おしゃれだけではなく“整える”という清潔感が重要」
00年代に入るとウルフベースで毛先を遊ばせるパーマが流行り、赤西仁や亀梨和也の髪型に注目が集まったほか、ホストの台頭、韓流のトレンドなどからさまざまなスタイルが登場。現在はツイストパーマ、スパイラルパーマが主体となり、平野紫耀、コムドットゆうた、BTSジョングクなど各界隈で人気を集める著名人たちも取り入れている。「俳優さんは役によっていろいろ変化するのですが例えば斎藤工さんはずっとパーマの印象。山崎賢人さんや横浜流星さんもよくパーマをかけてらっしゃるイメージ。アーティストの方でいうとKing Gnuの常田大希さん、今は金髪ですが藤井風さんなどはパーマの参考として持ってこられるお客様が多いので、現在のパーマのファッションアイコンっぽいイメージがありますね」と佐藤さん。
佐藤さんによればパーマは発祥時より、おしゃれに加えて“整える”ことが前提にあったと言う。清潔感もそうだが「パンチパーマもシルエットが整っている。身だしなみとして発展していき、そこから柔らかさにつながる。その後00年代までは、はねさせたり、ふわっとさせるオシャレ感が強まって流れてきた印象です。スタイリング剤をつけずに作り込みすぎず、かき上げても戻って来る、といった形ですね」
外国人の髪型の模倣から日本人向け髪型へ、芸能人の模倣から美容師が提案する髪型へ
さらに正面から見て“ひし形”となるシルエットがトレンドとなったのが、90年代以降。例えば木村拓哉も最初はさらさらのロン毛だったが、途中から段がつき、上は短く下が長い。毛先のズレが男らしさを印象付けるシルエットとなっていった。この時代、街はこの“ひし形”の木村拓哉カットであふれていた。さらに00年代以降、その頃からさらに“髪型を作る”という概念が広がってくる。そうなると自然と、髪型への意識の高い人とそうでない人との隔たりが生まれ始めた。別の言い方をすれば、髪型の文化が、“芸能人のマネ”から、“美容師が作るもの”にスライドしていったのだ。カリスマ美容師という言葉が生まれ、彼らが作る髪型のヘアカタログが大流行していった。
スパイラルパーマ(ツイストパーマ)は、平成以降、形を変えつつ流行し続けているという。「強いパーマのジャンルなのですが、それに対応できるほどパーマの“薬剤”も発展してきています。以前はパーマをかけたら髪の毛が痛むという時代でした。しかし今は、薬剤の使い方、ダメージへの理解について、美容師の知識も上がっているので、強いパーマでも髪を痛めることなく実現できるようになっています」
「メンズサロン」がここ2〜3年で急増、“髪型自由”に対する意識の変化
「あくまで、男性の身だしなみは理髪店でしか整えられない。美容院にいると、女性のお客様のなかで肩身の狭い思いをしている方も少なくなかったように思います。古くは男性があまりオシャレに寄りすぎると『チャラい』とか『男らしくない』といった世間の風潮もありました。しかし男性の美意識が肯定されていき、そこにメンズメイクや韓国トレンドが加わり、ここ数年で『メンズサロン』が一気に増えたなという印象です」
パーマにおいては、派手すぎないオシャレという技術の進歩も相まり、社会の認識も変化しつつある。“髪色自由”を大々的に発表する企業も増え、髪型や髪の色で遊ぶことに嫌悪を抱かない意識、社会人でもオシャレなパーマで出歩く人が街に増加したように見える。またパーマのメリットはオシャレだけではない。セットしやすいので会社へ行く際の朝の身だしなみを整える時間が短縮され、余った時間を別のことにも使える。タイパにもいいのだ。
ただ“再現性”の課題があるのも事実。巻き方の角度までピッタリ合わせることで、初めて同じ髪型になるので、画像を持ってきて「この髪型で」という依頼を再現するには「かなりの技術が伴う」と佐藤さん。この再現性を統一できるよう「広く、できれば全国に広げていきたい」と佐藤さんは語る。「薬剤も進化し、量が少なくても良くなってきています。またその人の好きな服のファッションの傾向など、髪型もトータルコーデで考える時代に入っている。これから5年、10年でさらに男性の髪型、パーマ、ファッション、オシャレは進化していくと想いますので、それに対応できるよう美容業界に貢献したいですね」
(取材・文/衣輪晋一 撮影/岡田一也)
PROFILE/佐藤 拓弥
都内有名店を経てメンズ美容室「GOALD」の立上に参画。店長、プロデューサーを経て、株式会社GOALD 代表取締役社長に就任。GOALD渋谷本店代表。ケアパーマ、ツイストパーマの生みの親であり、令和のメンズパーマブームの立役者。韓国発ブランド “Repit” のオフィシャルパートナー。同ブランド新商品『ブラックピンパーマ』の施術普及につとめている。
Instagram:@takuya_satooo(外部サイト)
https://goald.co.jp/(外部サイト)
都内有名店を経てメンズ美容室「GOALD」の立上に参画。店長、プロデューサーを経て、株式会社GOALD 代表取締役社長に就任。GOALD渋谷本店代表。ケアパーマ、ツイストパーマの生みの親であり、令和のメンズパーマブームの立役者。韓国発ブランド “Repit” のオフィシャルパートナー。同ブランド新商品『ブラックピンパーマ』の施術普及につとめている。
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