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つぶすと危険? “あそこ”にできるニキビみたいな毛嚢炎…原因と正しい対処法とは【医師解説】

 デリケートゾーンや背中、太ももなどに出現するデキモノ。「ニキビ」と思い、潰して対処してしまう人も少なくないが、実は多くが「毛嚢炎(もうのうえん)」と呼ばれるもので、自然に治ることもあるが、処置を誤ると何度も繰り返したり、重症化して巨大なデキモノ「よう」や「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」になったりしてしまうケースもある。毛嚢炎の正しい処置と受診のタイミングについて、西小山クリニックの小林大樹院長に話を聞いた。

「ニキビ」に似た「毛嚢炎」、どのような皮膚疾患ですか?

小林院長 毛嚢炎は毛包炎(もうほうえん)とも呼ばれますが、毛穴にできた小さな傷などから細菌(※1)が入り込み、毛根を包んでいる毛嚢(毛包)部分に炎症を起こす皮膚疾患です。具体的には、皮膚が赤く隆起したり、白い膿がたまったりします。毛が生えている部分であれば、どこでも起こり得ることですが、陰毛の部分や脇の下、足の脛やお顔の髭の部分など、太い毛のある部分に起こりやすい印象です。また、ムダ毛処理や髭剃り、下着でこすれるなど、毛穴の部分に何かしらのストレスを与えると毛嚢炎が起こりやすくなります。

※1…黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌など

毛包炎が重症化する様子。毛穴内部の膿が広がり、巨大なデキモノ「よう」になることも。

毛包炎が重症化する様子。毛穴内部の膿が広がり、巨大なデキモノ「よう」になることも。

Q.毛嚢炎を潰したり、放置したりしても良いのでしょうか?

小林院長 軽度の毛嚢炎は放置しても自然治癒しますが、繰り返す人や白く膿がたまっている場合は、受診をおすすめします。膿がたまった毛嚢炎は「白ニキビ」と見た目が似ているため、潰してしまう人もいますが、自己処置では皮膚の奥に膿を押し込んで、悪化させてしまうこともあります。「自分で潰して治った、放置して治った」という方は、それは”たまたまラッキーだった”ということです。近年では、治らずに悪化してしまうケースもよく見かけます。最初は毛嚢炎でも、皮膚の深いところに炎症が進んでしまうと、膿によって皮膚が大きく盛り上がり巨大なデキモノ「よう」という状態になります。また、さらに重症化して、皮下脂肪にまで菌が入り込むと、広範囲に赤く腫れあがり痛みが生じる「蜂窩織炎」にもなります。最初は脛に少し毛嚢炎ができただけだったのに、「蜂窩織炎」になって足全体が腫れてしまうというケースも増えています。

 また、「よう」まで進行すると、治った後も皮膚表面に痕が残ったり色素沈着したりすることがあります。

Q.皮膚を清潔にしていれば毛嚢炎を防げますか?

小林院長 赤く隆起しているだけの軽い毛嚢炎であれば、多くは市販の抗生物質の軟膏を塗るなどして治ります。数日使っても良くならない、1cm以上の大きさになっている、白く膿がたまっている、押すとシコリがある、動かすと痛い…といった場合は、皮膚の深部まで炎症が進んでいると考えられるので、すぐに受診しましょう。炎症が進むと塗り薬では効かなくなるので、抗生物質の飲み薬が必要になります。

 また、毛嚢炎を何度も繰り返している人は、ぜひ受診された方が良いと思います。「毛嚢炎ができたけど治った。その後、また別のところにできた」という風に繰り返しているうちに、だんだん抗生物質が効かなくなってくることがあります。そこで、どういう菌で毛嚢炎になったのかを病院で検査しておくと、次にどの抗生物質を使えば良いか判断できます。もちろん強いものを使えば何でも効くわけですが、強いものを使い続けていると、その分、耐性菌(※2)を作りやすくなります。できれば、強すぎず充分効くものを使う方が望ましいです。

※2…薬剤に対する抵抗力を持った細菌やウイルスのこと

Q.デリケートゾーンに発症し受診しにくい場合には?

小林院長 ぜひ、オンライン診療を活用してください。私のクリニックで使っているオンライン診療サービス『curun(クロン)』では、問診票に写真添付ができるので、患部の写真を事前に撮っていただいて、それを見せてもらっています。ご自身で撮影した患部のみの写真を見せるのなら、実際に対面で診療を受けるよりは少しは恥ずかしさが減るのではないかと思います。また、はじめて毛嚢炎ができた方や軽度の毛嚢炎の方には、塗り薬をオンラインで処方することができます。「毛嚢炎ができて、自分で薬を塗って良くなったけど、また別の毛嚢炎ができて繰り返しています」ということであれば、「一度クリニックに来てもらって、検査をしてから抗生物質を使いましょう」という風に、その後の適切な処置につなげることもできます。ぜひ、重症化する前にオンライン診療なども上手く活用し受診を心がけてください。
小林大樹 医師

監修者 小林大樹 医師

西小山クリニック(アレルギー科・小児科・皮膚科)院長。東京大学医学部医学科卒業。日本小児科学会 小児科専門医。

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