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ライブ中にいじめ告発から5年…元アイドル・小野寺ポプコの今 米大学院卒、バズり続ける無敵の存在へ「成功って一つじゃない」
「どうすればうまく生きられるか?」、生きづらい環境を変えてゼロからアメリカで奮闘
小野寺さん アイドルに加入したのは大学2年の時だったんですが、もともとアイドルがダメだったら金融工学の方面に進みたいという夢がありました。結果、アイドルはああいう形でダメになってしまったので、脱退後すぐにシアトルに交換留学をしたんです。それが私にとってはものすごく大きな成功体験になりました。
──環境を変えたことが、小野寺さんにいい影響を与えたのでしょうか?
小野寺さん はい。あの頃は『この世界でどうすればうまく生きられるか?』を必死で考えていました。アイドル時代も辛いことはたくさんありましたが、アメリカでゼロから生活を立ち上げるのも違う意味でものすごく大変で。だけどそれを乗り越えた結果、めちゃくちゃ楽しい日々を送ることができたんです。シアトルで過ごした1年間は私の人生にとっての宝物です。
──大学卒業後はアメリカの大学院に進学されています。アメリカでの生活が肌に合っていたのでしょうか。
小野寺さん 私の場合はそうでした。自分はやっていたことの割に、人の目にストレスを感じやすいタイプだと思います。アメリカでは基本、他人のことを気にしないので、見た目とか性格とか、世間で言われている“平均基準”みたいなものがすごくゆるいです。ただそういった個人主義スタイルが苦手という方もいると思います。単純にアメリカがいい/日本が悪いというわけじゃないです。
──今いる場所が生きづらかったら場所を変えてみる。そうした小野寺さんの行動力は、いじめに苦しんでいる人にも大きな勇気を与えてくれると思います。
小野寺さん ありがとうございます。ただこれもすごく難しいところで、環境や条件的にそういう行動ができる方ばかりではないということもわかります。そういう方の場合では、どうしたらいじめをなくせるか? ということもずっと考えてきましたが、答えが出ない問題ってたくさんあるなと感じています。
アイドルの夢潰えても…、「世間で言われる“成功”って一つじゃないんだな」
小野寺さん 2年くらい前に(小野寺ポプコ名義の)SNSをやめようと思っていたんです。もうアイドルでもないし、人を楽しませるような投稿もしてないしなって。そのタイミングであの動画がまたバズったんですね。たぶん誰かが転載したからだと思うんですが。それでまだ私のことを見たいと思っている人がいるなら、続けようかなと思ってSNSを続けています。
『出る杭は打たれる』のような感じで、小さい頃から“変わり者”って言われてきたのがストレスでしたので、“普通”になりたいと思った時も多くありました。この事件で『変わっている』と言われ悲しい思い出が蘇ることもあれば、肯定していただいて勇気になったこともそれ以上にあります。
──でも、少しは変わってないとアイドル=目立つ存在にはなれないですよね。
小野寺さん そうですよね(苦笑)。ただ私は目立ちたくてアイドルになりたかったわけではなくて、誰かを楽しませられる人になりたかったんです。自分が憧れたアイドルさんがそういう方だったので。
──ネットでは“変わっている”というより“強い”“無敵”という評価のほうが多いですが、そうした反響をどう受け止めていますか?
小野寺さん 『ナルシストと自分大嫌いは紙一重』という言葉がありますが、私の中にも"自分をものすごく認めている自分"と"ものすごく認めてない自分"の両方が存在しています。その2つの自分が喧嘩するとすごく疲れるんですよね。相反する2つの自分を調和させるのが私の人生のテーマです。
──現在はアイドル時代とは比べ物にならないほど、多くのSNSフォロワーを掴んでいます。インフルエンサーとしてのお誘いもあるのでは?
小野寺さん たまにSNS経由でお誘いはありますが、そういう仕事を受け、お金をいただいたことは一度もないです。お金が絡むと、本当に発信したいことがあった場合の信憑性を失うと思っています。フォロワーさんも『来る者は拒まず、去る者は追わず』をモットーに、自分が嫌にならない範囲でSNSを続けていければと思っています。
──ちなみにまたアイドルに挑戦してみたいとは思わないですか?
小野寺さん またアイドルをやりたいなと思う時はあります(笑)。でも持っている武器で考えたら、今は機械学習をやる者としての成功を達成する確率が遥かに高いかなと思います。アイドルとしては失敗したけれど、今はこの仕事に邁進している毎日がとても楽しいですし、世間で言われる“成功”って一つじゃないんだなと実感しています。
(文:児玉澄子)