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「禁煙外来」はいくらかかる? 意外と知られていない“禁煙治療”の実態【現役医師監修】

 タバコをやめたいと思っても、なかなかやめられない人は多い。そんな人が、医療機関の力を借りて、タバコ依存から脱出する「禁煙外来」。そこではどんなことが行われ、どのくらいの期間でいくらくらいかかるのか、分からない人も多い。そこでこの記事では、禁煙外来も開設している三鷹駅前たなか糖尿病・内科クリニック院長の田中祐希氏監修のもと、その実態を解説する。

「禁煙治療」の標準プログラムは、12週間で5回の通院

Q:そもそもなぜタバコは、簡単にやめられないのか?
A:ニコチンという物質が依存性を引き起こすから。ニコチンはタバコを吸うと脳に働きかけて、快感や多幸感を引き起こすドーパミンという神経伝達物質を過剰に分泌させる。このため、タバコを吸わないと不快な離脱症状が現れる。これを「ニコチン中毒」と呼ぶ。ニコチン中毒は、コカインやヘロインなどの危険薬物と同じくらい強い依存性があると言われる。また、タバコを吸うことでストレスやイライラが和らぐという感覚も、ニコチン中毒の症状のひとつ。

Q:不快な「離脱症状」とはどういうこと?
A:離脱症状とは、ニコチン依存の脳が、ニコチンが切れると不快な状態になること。具体的には以下のような症状がある。
・たばこを吸いたいという強い欲求
・イライラする
・集中力がなくなる
・頭痛
・眠気や倦怠感

Q:実際に禁煙外来では、どんなことをするのか?
A:まずは、自分に合った禁煙プランを立てるために、喫煙歴、生活習慣、禁煙の動機などについて話す。そしてそのプランに沿ったかたちで、禁煙に役立つ薬を処方してもらう。禁煙外来では、保険診療で行う場合は貼り薬のニコチンパッチ、又は飲み薬のバレニクリンが選択される(バレニクリンは2023年12月現在出荷停止中)。その他には一般用医薬品ではあるが、ニコチンガムがある。また、複数回通っていくと、禁煙の効果や副作用についても定期的にチェックしてもらえる。

Q:実際に禁煙治療はどのくらいかかる?
A:標準的なプログラムとして、12週間に5回の通院が必要で、そのつど禁煙状況の共有、禁煙の妨げになる問題点の抽出、呼気一酸化炭素濃度測定による禁煙の確認を行う。

「禁煙外来」でかかる費用

Q:禁煙外来行くといくらくらいかかる?
A:禁煙外来の費用は保険診療で行われる場合、医療機関で3ヵ月間で、6000円から10000円程度(3割負担の場合)。薬局で薬剤費として6000円から12000円程度となる。(選択した薬剤の種類によって異なる)。自由診療として行われる場合は、金額は医療機関によって異なり、30000円から60000円程度で行われる医療機関が多い。

 禁煙外来で、健康保険の適用が受けられる条件は、以下全てを満たす必要がある。
・タバコ依存症スクリーニングテスト(TDS)という問診票で5点以上でニコチン依存症と診断される。
・35歳以上の者ではブリンクマン指数(1日喫煙本数×喫煙年数)が200以上(34歳以下ではこの条件は問わない)。
・ただちに禁煙することを希望しており、「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意している。
・保険による禁煙治療が2回目以降の場合、前回の保険での禁煙治療の開始日から1年以上経過している。

Q:治療中、患者が気を付けることは?
A:禁煙治療は、医師や看護師の指導に従って、貼り薬や飲み薬を正しく使用することが大切。薬の副作用や効果についてわからないことがあれば、必ず相談すること。
 また、禁煙治療は自分だけのためではなく、周りの人の健康にも貢献するもの。家族や友人に禁煙を宣言し、応援してもらうことで、成功率が高まると言われている。とはいえ、最も重要な要素は、自分の意志。吸いたくなったときは、禁煙を始めた理由や目標を思い出し、気分転換やストレス対処法を工夫する。

Q:タバコを止めることで得られるメリットは?
A:一般的に以下のようなことが言われている。
・呼吸器疾患や循環器疾患、がんなどの発症リスクが低下
・味覚や嗅覚が改善し、食事がおいしく感じられる
・服や持ち物にたばこの匂いがつかず、口臭や歯肉の着色を予防できる
・肌荒れや老け顔が解消され、美肌効果がある
・たばこ代に使っていたお金を貯金できる
・周囲の人の健康を守ることにつながる

Q:何十年もタバコを吸い続けてきた人でもやめる意味はある?
A:タバコをやめるのに遅すぎることはない。喫煙によるさらなる肺障害、血管障害を抑制することに繋がる。タバコをやめると、健康面だけでなく経済面や社会面でも多くのメリットが得られる。

【医師からのコメント】
喫煙というと肺に悪いというイメージを持たれている方が多いと思います。実はそれ以外に血管へのダメージが大きく、血管を動脈硬化で狭くしてしまい心筋梗塞や脳梗塞に至ります。また血管が豊富な腎臓へのダメージも大きく、腎障害の軽減のためにも禁煙が必要です。タバコがなかなかやめられないのはニコチン依存症という疾患のためであり、禁煙外来で有用な禁煙補助薬の使用が勧められます。
■監修者プロフィール
田中祐希(たなか・ゆうき)
糖尿病専門医で三鷹駅前たなか糖尿病・内科クリニック院長。「一人ひとりの幸せを応援」しながら、糖尿病専門医として治療を行っている。HPで毎月、体験記、旬野菜の糖質オフレシピなど情報満載の院内紙を公開中。
https://www.mitaka-dm.com/

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