ORICON NEWS
世界初のイマーシブ・テーマパーク「エンタメの体験構造を思い切り変える」 『推しの子』『東リベ』もコラボ、“没入体験”の可能性とは
なぜ今“イマーシブ”? 一緒に来ても全員が違う体験に「何度でも新鮮に楽しめる構造」
「当時、USJで共に働いた森岡に言われて、もう忘れられない言葉があるんです。『一緒にテーマパーク作りましょう』って言われたんです。テーマパークって作るものじゃなくて運営するものだと思い込んでいたので、冗談かなって思ったんですけど、この人は言ったことは必ずやるというのは、もう十分すぎるぐらい知っていたので、その熱意に惹かれました」(津野氏/以下同)
「いつ誰と行っても同じクオリティでエンターテイメント体験ができる安心感みたいなものがテーマパークの売りでもある反面、エンタメ好きな消費者は、常に新しい刺激や感動を求めているタイプの方が多いので、どうしても初めてのときの感動を超えられない。かといって、都度アトラクションを作り替えるとなると、ものすごい時間とお金がかかるんです。僕らはこの体験構造自体を思い切り変えたいと思い、いつ体験しても常に新鮮で、体験すればするほど面白くなっていくエンターテイメントジャンルを作りたくて、イマーシブ・テーマパークの構想にたどり着きました」
「お芝居や映画は客席とステージの間に見えない壁があるのに対して、イマーシブシアターはその壁を取っ払って、物語の中に生身で入り込むことができる点が大きな違いです。同じ空間で一つの大きな物語が進んでいく中で、参加者1人1人が見るものや聞くことが個々に変わってくるんです」
「例えば、謎解きや脱出ゲームって、答えを知ってしまうと2回目は鮮度高く楽しめないんですけど、イマーシブシアターは、完結できない、むしろ“完結させない”ので、何度でも新鮮に楽しむことができるんです。刀が制作に携わった、西武園ゆうえんちのイマーシブシアター『豪華列車はミステリーを乗せて』には、30回以上来ているようなハードリピーターもたくさんいらっしゃいます」
『東リベ』や『推しの子』没入コラボも 「日本のビジネスモデルを世界に持って行く」
「『東京リベンジャーズ』のアトラクションでは、ゲストが「東京卍會」のメンバーと肩を並べて、自分自身の行動で未来を変えていくという物語です。不良同士の大きな抗争に巻き込まれるなんて、もう絶対人生でないじゃないですか(笑)。江戸時代の『遊郭』をテーマに儚い切なさと人間ドラマを味わえる濃密なイマーシブシアターも。それから、19世紀末のロンドンに実在したジャック・ザ・リッパー、別名“切り裂きジャック”が彷徨っている古いロンドンの街の中を、歩いていかなければいけないという、ハイクオリティなホラーアトラクションもご用意してます」
「コンテンツをお借りしてるからには、その世界観をしっかり担保した上で、ゲストの期待をポジティブに裏切ることが重要だと考えています。二次元の世界観をどうリアルに体験していただけるかは大変なチャレンジでもありますが、私たちがやる意味にも繋がると思っています。コンテンツを使った体験を考えるときって、どうしても奇をてらいたくなるというか、オリジナルのものを作りたくなってしまうんですけど、“ファンが一番見たい姿” 、“真に得たい感情や体験”が何かを常に消費者目線で最優先に考えています」
「USJが低迷していた時、『日本でテーマパークって、ディズニーランドしか成功できないんだよ』ってよく言われたんです。テーマパークってアメリカものでしか作れないものっていう考えが根強くあると感じているんですけど、USJでは海外のコンテンツだけに頼らず、森岡とともに消費者視点を突き詰めた結果、世界でも有数の集客力を持つパークにまで成長したと思っていて。