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(更新: ORICON NEWS

芸人YouTuber再生数ぶっちぎり1位のビックスモールン、バズりの秘訣明かす「テレビとネットの売れ方は“真逆”」

 ’18年からYouTubeで「ボディアート」ネタの動画投稿を始め、現在の登録者数は250万人を超える芸人トリオのビックスモールン。再生数は、中田敦彦やカジサック、なかやまきんに君らのチャンネルを上回り、芸人の中でぶっちぎり1位の29億回を突破している。’20年にORICON NEWSでインタビューした際は、わずか1700人程度だったが、この3年で何があったのだろうか。芸歴20年を超え、テレビとネット双方の世界でブレイクを経験した彼らにその秘訣を聞いた。

人気急上昇の裏に、新加入・グリの地道な努力 YouTubeとTikTokでも異なるバズり方

――3年前の取材では、「チャンネル登録者数が少ない」と嘆いていらっしゃいましたが…。今年に入って急激に伸びましたよね。何かきっかけがあったのでしょうか?

ゴン(48歳) 最初の頃はずっと僕一人で編集してて、「イカゲーム」とか何個がバズったネタもありました。それで30万人位まで行ったけど、’20年に事務所から独立してから、編集も事務作業もすごく大変になってきて「もう嫌だ!」と、ある日爆発して(笑)。それでチロとグリに「やって」と完全に任せました。そしたら、1年も経たない間に200万人を超えたんです。

チロ(46歳) 動画の内容は企画会議の時にみんなで考えるんですが、グリがアナリティクスを見ながら柔軟にやっていく力があるので、それで数字が伸びたんだと思います。グリは僕らよりも脳が若いからね(笑)。グリが編集したものをお手本にして、僕も手伝うようになりました。
――グリさんは、分析が得意だったのでしょうか?

グリ(32歳) いえ、全然!(笑)。知識ゼロの所からスタートして、最初は失敗も多かったのですが、投稿して、随時アナリティクスを見ながら、何がいけなかったのか仮説を立てて「じゃあ、こうしてみよう、ああしてみよう」と細かな試行錯誤を繰り返していった感じですね。

ゴン 同じ動画でも他の人はバズるのに、僕らはなぜ数字が伸びないのか考えて、1回動画を出して、反応を見て、また修正する…この連続です。例えば、ハサミの出てる動画が伸びてる気がする→じゃあ今度ハサミを入れてみようか→伸びない→ハサミではなく、この動きを取り入れてみようかというABテストを繰り返していく。それで自分らに合ってるものを検証していくという感じです。
――すごく地道な作業を丁寧にされているのですね。

グリ 最初は何も知らなかったんです。流行っているものをマネしたらバズるってことすら知らなかったので。

ゴン 僕らが芸能界で教わってきたことと真逆の作業をしていったんです。「人のマネをするな」「オリジナルが大事」とずっと言われてきて、誰もやってない芸を追求してきたのですが、ネット界では、テレビ界ではタブーだった“ミーム文化”、つまりマネをすることこそが正解とされているんですよね。

グリ Web上ではAIが判定するアルゴリズムが働いているので、そうした動画がリコメンドされていく。それに、マネされる側も、マネされると元動画が上がっていったりするので、双方にメリットがある好循環が生まれるんです。

あとは、ある程度の完成まではすぐできるんですが、細かいところで手を抜くと伸びないような気がしますね。何曲かBGMをつないでいるけど、気持ち良いところでパッと前半が終わって、後半から別の曲が流れて、オチ前で、曲も気持ち良いところでパって終わるような編集ができた時は、再生数が上がったりします。そういう細かい作業がちょっと大変だけど、良いものができたときはやっぱり嬉しいです。

芸人界No.1の再生数でも国内知名度は伸びず…?「人気の実感ない」 目指すは世界進出

――いまやYouTubeの登録者数は250万、TikTokでも98万フォロワーを突破されましたが、人気の高まりを実感することはありますか?

ゴン 僕らのチャンネルはほとんど海外の方が観てくれているのですが、海外に行く機会が全然ないので、あまり人気を実感するようなことがないんですよね(笑)。インドの方が20%、インドネシア、アメリカ、ブラジルなどが多くて、日本は0.5%なので、1万人ほどなんです。

チロ でも、この間イベントの時に、空港で子どもが声かけてくれて、すごいやる気が上がりました。小学校のイベントに行った時も、僕らのYouTube見てる子って聞いたら、半分ぐらい手を挙げてくれてびっくりしたよね。
――皆さんのボディアートは、海外や子ども達にも分かりやすく通じる芸ですよね。YouTubeやTikTokの反響を受けて、仕事内容や生活に変化はありましたか?

ゴン 仕事をするスタイルが受け身じゃなくなってきたというか。昔はプロデューサーのお眼鏡にかなわないと世に出られないという仕組みがありました。当時はそういうものだと思ってたんですね。

でもTikTokとかでバズると、僕らのネタを世界中の人たちがマネしてくれる。コンテンツが良ければ、自然とみんなが注目してくれる、という状況にめちゃくちゃゾクゾクしたんですよね。なんか仕組みが違うぞと思って。プロデューサーよりも先にみんなに見てもらって、反響を呼ぶと、逆にそれをプロデューサーの方が見つけてくれるというね。そういう意味では、ちょっと幅が広がったのかなと。心の余裕が全然違いますね。

チロ 嫌なことやらなくなっているよね。やりたいことしかやっていないので、今がめっちゃ楽しいです!

――以前は、バラエティ番組中心にご活躍されていましたが、現在はやはりネット中心ですか?

ゴン YouTube、TikTokとイベントですね。

チロ 収入で言うと、YouTubeが7〜8割方いってるかな。

ゴン テレビの仕事はほぼないです。
――お断りすることも?

ゴン ありますね。僕らはテレビで育って、今も大好きなんですけど、僕らは事務所を辞めた後、受ける仕事を自分らで決めていく上で、一つ理念を掲げたんです。「ボディアートで世界の人を笑顔にする」と。これがないと方向性がブレるので、一貫してここだけは守っていこうと。しゃべり系の、お笑い強めの番組ってあるじゃないですか。ああいうのは苦手なので、僕らには合ってないかなと…。

チロ そういうことは事務所を辞めたからできるんですけどね。

――今後、海外進出への意向は?

ゴン めっちゃあります。もともと行きたい気持ちがありましたし、動画ってどこに行ってもアップできるから、通常の活動をやめないでいられます。すべてを投げ打って世界に挑戦するわけではないので、トライしやすくなってるかなと。オファーもいくつか頂いたんですけど、なかなか海外との直接のやり取りや調整が難しくて、慎重になってますが、条件やタイミングが合えば、ぜひ挑戦したいですね。


(取材・文=水野幸則)
**ビックスモールン出演情報**
・インバウンド向けお笑いライブ:Entertainment Festival 『ASAKUSA!! 』(外部サイト)
12/9(土)開場:19:00/開演:19:30
浅草東洋館 (東京都東京都台東区浅草1-43-12)にて

・国内外の病院や施設の子どもたちに向けたエンタメ配信クラウドファンディング(外部サイト)

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