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「男性のネイルやメイクも普通に…」元祖ジェンダーレス男子・とまん、“多様性”の浸透を実感するも「自分らしさが難しい」

 2014年より読者モデルとしての活動を始めたとまん。中性的なファッションやメイクで存在感を放ち、“ジェンダーレス男子”と呼ばれ、ファッション業界での新たなトレンドとして注目された。現在は俳優業をメインに据え、4月期のドラマ『俺の美女化が止まらない!?』(テレビ東京)では、女装男子のうにぴょ役を演じている。多様性が認められ、ジェンダー平等が唱えられる社会へと移り変わる時代の流れを、どのように見ているのか聞いた。

中性的で男らしく生きていないから、女装男子役は向いていると思った

――読者モデルから芸能活動をスタートし、ボーイズグループでのアーティスト活動を経て、現在は俳優業をメインにしています。

とまん もともと16歳の時に仙台でモデル活動を始めて、東京に出てきたのが20歳の頃。芸能活動は10年以上になります。モデル、アーティスト、俳優のどれも表現をする仕事ですが、それぞれが自分ではない自分を演じてきたような不思議な感覚です。

――表舞台のとまんはオフの本人とは別人になるのでしょうか?

とまん とまんは本名なのですが、変わった名前だったからか、子どもの頃から自分じゃない自分を演じて生きてきた感じがあります(笑)。とまんを演じ続けているというか、本当の自分がどれだかわからない。表現しながら生きているんだと思います。

――そうして生きてきたことで、俳優という仕事に向いていると感じますか?

とまん いろいろな作品でいろいろな人物になれることが好きなので、演じることは楽しいです。

――4月期のドラマ『俺の美女化が止まらない!?』(テレビ東京)では、インフルエンサーの女装男子・うにぴょを演じています。とまんさんはこれまでにも女装の仕事をしていましたが、オーディションに向けてはどのような準備をしましたか?

とまん これまでの女装の仕事は、テレビも雑誌もビジュアルだけだったので、今回の役として演じることはまた違ってハードルが高い。見た目だけではなく、話し方や所作など立ち居振る舞いから佇まいまで切り取られるので。でも、昔から中性的に見られていて、男らしい生き方ではなかったので、この役は自分に向いているのかもしれないと思いました。どういう動きをしたら女性らしい可愛さが出せるのかイメージを重ねました。

当時はイロモノ扱い…ジェンダーレス男子と呼ばれ“もがいた”時期も

――うにぴょを演じて、とまんさんがこれまで生きてきたなかで感じたこととの共通点や共感はありましたか?

とまん うにぴょは女の子になりたいと思って生きてきた男の子。僕は小さい頃から性別や年齢といった概念にとらわれず生きてきたので、そういう面では遠からず近からずというか。普段からレディースの服を着ることも多いし、うにぴょの容姿にも言動にも違和感や否定的な思いは全くなかった。すんなり受け入れることができました。

――うにぴょはインフルエンサーですが、とまんさんもインフルエンサーマーケティング全盛期にインフルエンサーとして起用されていました。その人の中身というよりも、“SNSで影響力のある人”という扱われ方に当時思うこともありましたか?

とまん ジェンダーレス男子でインフルエンサーって、当時はイロモノ扱いというか。今でこそ多様性が謳われるご時世になって受け入れてくださる方もたくさんいます。でも、あの頃は普通に生きているだけでおもしろがられて、インフルエンサーや読者モデルという仕事をしながらも、中途半端な仕事をしていると思われている感じはありました。なかには、インフルエンサーという呼ばれ方をよく思っていない若い子たちもいました。

――とまんさんは抵抗はなかったですか?

とまん やはり最初はありました。自分という人間を出したくてもキャラ付けされることも多かった。それでも影響力があって、それを仕事にできるのはありがたいことでした。

――ジェンダーレス男子と呼ばれていた当時を振り返り、いま思うことはありますか?

とまん 自分が好きなファッションで、したいメイクをしていただけなのですが、興味を持ってもらえてたくさんのメディアで取り上げていただきました。でも、だんだんと自分のキャラクターと合わないことを求められて、上手くいかなくてもがいていた時期もありました。そんな時に、「男だけど実はメイクをしたかった」「そういう服装をしたかった」という声をいただいて、誰かに少なからず影響を与えられていることを実感しました。

自分の心に素直に“自分の好き”を表現したい

――“ジェンダーレス”という言葉が浸透していくなか、どのように感じましたか?

とまん 今では“ジェンダーレス”という言葉が当たり前のようになり、アパレル企業ではどのコレクションもジェンダーレスを取り入れています。そういう変化に少しでも影響を与えられて、誰かの力になれているのなら、活動してきてよかったと思います

――とまんさんが読者モデルとして活動を始めた当時と現在では、男性のメイクや美容、女装に関する一般的なイメージや意識も大きく変わりました。

とまん それはすごく感じています。男性専用の美容サロンも増えていて、見た目への意識を高く持つ人が増えているのは、素敵なことだと思います。メイクや服装が変わることで心が変わっていきます。自分に自信がなかった人が、見た目が変わることで自信を持てて中身も変化していく。そういうところで素敵な社会になってきている気がします。

――Instagramで、コンプレックスをメイクで克服していると発信していました。コンプレックスとの向き合い方を教えてください。

とまん 顔のパーツや背が低いこと、自分のルックス全てがコンプレックスです。それをメイクや服でカバーすることによって、内に秘めがちだった自分を開放することができました。そうすると自然と愛してくれる人も増えて、自分のこともだんだん好きになれました。自分にとってはコンプレックスでも、周りの人にとっては関係ないものだなって気づいたら向き合えるようになりました。それを自分の個性だと思えばいい。今はコンプレックスがないといったら嘘になりますが、ともに生きられるようになっています。

――ジェンダー平等が掲げられる現代では、誰もが自分らしく生きることへの理解も深まりつつあります。とまんさんが自分らしさを表現する上で大切にしていることはありますか?

とまん 自分の好きなことをアピールすることですかね。多様性が認められる社会のなかの自分らしさってすごく難しい。自分の心に素直に“自分の好き”を表現できたら、それが自分らしさにつながるんじゃないかな。それは今回のドラマにも、共通して言えることだと思います。

(文/武井保之)

『俺の美女化が止まらない!?』(テレビ東京)

大学進学を機に家賃1万円の破格物件に下宿することになった斉藤晴臣(楽駆)。下宿先で出迎えてくれたのは、恋々乃(ココノ)という女の子。しかし、晴臣は女性と話をすると顔が赤くなってしまう赤面症に悩んでいた。そのため恋々乃とも上手く話せないが、上京を機にこんな可愛い女の子と同居できるなんてと心が躍っていた。ある日、恋々乃がお風呂に入っているところに遭遇した晴臣は慌てて自分の部屋に戻ろうとするが、なかから出てきたのは男性だった。恋々乃から事情を聞くと、この下宿先は女装カフェ&バー「スピカドール」が営業しており、下宿に住むものは「スピカドール」で働かなければいけない契約なのだという。そんな話を聞いていなかった晴臣は、大学デビューを前に、女装デビューすることになってしまう…。

【放送日時】毎週水曜日 深夜3時20分〜放送

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