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ゆりやんレトリィバァ×白石和彌監督『極悪女王』インタビュー(3)「いつもと違うものを撮っている」新境地

 動画配信サービス「Netflix」で制作中のNetflixシリーズ『極悪女王』。80年代カリスマ的人気で女子プロレス旋風を巻き起こしたダンプ松本が、正統派プロレスラーとしての成功を目指しながらも悪役に転身し、さまざまな代償や葛藤を抱えながら日本史上最も有名なヒール”に成り上がっていく様を描く。主人公、ダンプ松本役を演じるのは、タレントのゆりやんレトリィバァ。監督は、『孤狼の血』や『死刑にいたる病』などの白石和彌。撮影の合間、ゆりやんと白石監督に、企画の成り立ちから役づくり、撮影現場の様子まで、さまざまに語ってもらった。
――ここまでの手応えは?

白石監督いやいやもうこれが、ここまで本当に出来がいいんですよ。自分で言うのもなんですけど。キャストによるプロレスを生々しく撮ることも、スタントチームと協力してカット割りで見せることも、本当は当たっていないけど、ビンタが当たっているように見える映画的な手法もいろいろミックスさせて、そのシーンにとって一番いい映像を切り取って、積み上げていく、ということがここまでできている。

 キャストも素晴らしくて、ゆりやんさんをはじめ、みんな1年前から体作りを始めて、コツコツ諦めずに練習してくれて、自分なりに物語やせりふを咀嚼して、カメラの前に立っているので、本番で出てくるものがやっぱり違うんですよね。毎シーン、毎シーン、すごいプレゼントをもらってるような感覚で、監督冥利に尽きます。

 僕のデビュー作からずっと編集をしてくれている加藤ひとみさんが、編集作業をしながら、「白石さんの作品で初めて万人にすすめられるものを作ってるかもしれない(笑)」って。事実だとしたらそれはそれでちょっと問題だけど(笑)、それくらい僕にとっても新境地の作品になっているんだと思います。

ゆりやんそんな風に言ってもらえているなんて、うれしい。私も早く観たいです。

白石監督試合のシーンでは、エキストラの方にもたくさん入ってもらっているんですね。クラッシュ・ギャルズの人気が高まっていくにつれ、どの会場もお客さんでいっぱいになる。そんな中で、ゆりやんさんたちはお芝居をしていくんだけど、うまくプロレス技が決まって、「カット」がかかるたびに、エキストラさんたちから拍手が起きるわけ。「本日の撮影終了です」と言って、俳優たちがリング上がってエキストラの皆さんに一礼すると、「松本、頑張れよ」って声がかかったりして。

ゆりやんエキストラさんの中にも常連さんがいて、結果を出せずリングに上がれない頃のシーンからずっと来てくれていた方に、ダンプ松本として竹刀を振り回して反則攻撃をするシーンを撮った後、「そんなプロレスをやりたかったのか」って言われました(笑)。

白石監督エキストラさんも映画の撮影をしているのか、プロレスの興行をしているのか、わからなくなってきてる(笑)。でも、スターになる前の駆け出しの頃からずっと応援してきたファンの方って、実際いたと思うんですよね。

 ライオネス飛鳥と長与千種が対戦し、クラッシュ・ギャルズ誕生につながった名勝負があるんだけど、その試合のシーンを撮影した時のエキストラの中に小さなお孫さん連れの妙齢の女性がいて、聞いたら「私この試合、後楽園ホールで見ていたんです。それからずっとクラッシュ・ギャルズを応援していました」って。それで、とっさにその方に「アップを撮らせてもらってもいいですか?」とお願いしたんです。そういう思いを持った人がこの作品に力を貸してくれると思いました。いつもと違うものを撮っている感じなんですよ。

――編集の加藤さんの指摘は正しかったのかもしれないですね。

白石監督そうですね。作品に対する思いの強さというのは、最初は『極悪女王』というタイトルで、ダンプ松本さんが全日本女子プロレスに入門してから引退するまでを描いていったら面白いものができるんじゃないか、と企画した鈴木おさむさんから始まっているんだけど、そこにキャストやスタッフ一人ひとりの思いが重なって、長与さんをはじめ撮影に協力してくだっている方々、エキストラの方々にもそれぞれ思いがあって、僕が思ってる以上にたくさんの人の思いが込められた大きな作品になっている感じがするんです。こんな経験、二度とできないと思う感覚がすごくあるんですよね。

――残りの撮影も安全に。本当に作品の完成が楽しみです。

ゆりやん私もです。世界が震撼すると思います。

白石監督ゆりやんさんが世界に発見される作品になります。

ゆりやんそれぞれの言語で吹替があるんですよね?

白石監督あるある。アラビア語で吹き替えるアラビアンゆりやんとか(笑)。

ゆりやん完成したら各言語のダンプ松本さん役の方に会ってみたいです。

(了)

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