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『伊右衛門』が“脱・お茶”? 正統派の緑茶ブランドからココア&レモネード発売の理由
今年「伊右衛門」から発売されたココア、抹茶ラテ、ジャスミンティーラテ、レモネード
サントリーの“鬼門”だった緑茶… 前代未聞の「老舗茶舗」コラボで後発ながら異例の大ヒットに
結果、発売直後から販売休止になるほどの大ヒットを呼んだ。その後、各社メーカーが追従する形で老舗茶舗との提携や監修商品が相次ぎ、2007年には日本コカ・コーラから『綾鷹』が発売。原料、製法、味、デザインすべてにおいて、各社が年々高度な仕上がりを極めていく中で、ペットボトルでも本格的な緑茶が味わえることがスタンダードとなった。
ジャスミンティーラテにココア、レモネードも… 抹茶ラテは「缶」にこだわり
「缶でのご提供にしたのは、入れられる粒子の量と大きさがペットボトルとは異なるからです。抹茶ラテやココアはそれにより味が大きく変わるので、『恋甘』はテリーヌのような甘くほろ苦い味わい、『恋々甘』はガナッシュのような濃厚さを楽しんでいただけるかと思います。極端な言い方をすれば、“超甘党の方以外はお断り”と言えるほど濃厚な味わいに振り切っています」
長らく飽和状態にあった日本茶市場、勝機は「ラテ」? Withコロナで求められる“刺激”
古くから日本に根付きながらも、差別化しにくい商品だった「緑茶」という“鬼門”を、見事に“取柄”に変えたサントリー。その背景には、「お客様においしいお茶を届ける」という最もシンプルな信念と共に、常に「変化を恐れない」革新的な姿勢があった。嗜好品の多様化やコロナ禍の影響などにより、茶の国内生産量は年々減少傾向にある。そんな中、“本格緑茶”をペットボトル市場のスタンダードにのし上げた同社が、今度はココアやレモネードまでも、緑茶市場の定番と成すのだろうか――。日本人として、楽しみに見守りたい。
(取材・文=奥村百恵)