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「前科はないけど、保護した猫はいる」睡眠1.5時間で600匹の家族と暮らす所長の“最強ギャップ”に反響

 体重100キロを超えるワニガメをはじめ、ワニや蛇、犬や猫など、600匹ほどの動物を飼育保護している岡山県の一般社団法人ワニガメ生態研究所。先月、いかつい見た目の荻野要所長がSNSで「前科は無いけど保護したねこが懐にいるときはある。」とつぶやいたところ、約19万いいねの反響が。動物の保護活動を始めて25年以上。テレビなどのメディアに専門家として多数出演してきた荻野所長だが、毎回スタッフに前科がないか重ね重ね確認されるとのこと。“最強のギャップ”を見せる彼に、動物保護に懸ける思いを聞いた。

100キロ超えの成長スピードに驚き… 捨てる人が続出したワニガメの保護活動を開始

――ワニガメとの出会いについて教えて下さい。

荻野所長 幼稚園の頃からワニガメを図鑑で見ていて、人気怪獣のゴジラやガメラみたいで、格好良いと思っていたんです。すごく欲しいと思っていましたが、どうせ手に入らないと諦めていました。ですが28歳頃にホームセンターを訪れたところ、ワニガメが売られていたんです。びっくりしましたね。早速、購入しました。

――飼われてみていかがでしたか?

荻野所長 育ててみると一気に体が大きくなっていき、このペースじゃ普通の人では飼えないだろうなと思いました。また、ワニガメの資料は片っ端から目を通して、その歴史や生態についてはとことん調べましたね。学者さんの意見を参考にする際には、その方の経歴などもきちんと調べ、正しい情報をお伝え頂ける方かどうか、そこまで徹底しました。僕にとって動物を飼うというのは、そういうことだと思うんです。
――情報によれば、最大80センチメートル、体重は100キロを超えると。

荻野所長 すごく大きくなるんです(笑)。案の定、90年代から都会の野外でぽつぽつ見つかっており、捨てる人が続出。知らないで飼うとそうなるのかなと思いました。

――それがワニガメの保護活動を始めたきっかけなのでしょうか。

荻野所長 もともと私は建設業をやっています。ですが厳しい人間関係の世界だったこともあり、「ほっこりしたい」という思いから、95年頃、ワニガメの保護活動をしようと思ったのが最初です。完全に見切り発車でした。ワニガメは、それまでは捨てても違法ではありませんでした。しかし00年に特定動物に指定されると、刑罰を恐れて、北海道から沖縄まで保護依頼してくる人が殺到し、今に至ります。

5000平米の敷地で600匹を保護、朝5時半起きで毎日20時間超え労働…「事故で骨折しても家に帰りました」

――どれほどの依頼が来るのでしょうか。

荻野所長 年間60匹ほどでしょうか。震災後などは一気に30匹来たこともありました。ワニガメはアメリカの固有種であり、軍で管理を行うほどの種です。飼育は大変ですが、もちろんどんなに大きくなっても、決して殺処分は行いません。

――扱いの難しいワニガメを保護している人は珍しく、荻野さんはメディアにも多く出演されていましたよね。

荻野所長 おかげさまで注目して頂き、『天才!志村どうぶつ園』や、『月曜から夜ふかし』など、全局に取り上げてもらえました。今は忙しすぎてテレビ出演はすべてお断りしていますが…。
――それほど大変なんですね。

荻野所長 現在は団地ほどある5000平米の敷地で、私1人で600匹ほどを世話しています。ワニガメは特定動物のため、他の人に手伝わせられないんですね。そのうち犬や猫、蛇やワニの保護依頼も来るようになり、朝は5時半起き。それから犬の散歩、餌やり、ワニガメの水替え、猫の排泄の処理などをしていると、毎日午前3時頃までかかってしまうんです。平均睡眠は1.5時間。自分の時間も家族との時間もありませんし、息抜きの暇もありません…。

――息抜きの暇も…! 失礼ですがSNSの反響にあった通り、見た目とのギャップがすごいです。

荻野所長 見た目からよく誤解は受けます(笑)。ですが実際は、酒・たばこ・ギャンブル、一切やったことなし。普通の方々がそこや趣味に充てられるお金を、すべて保護にまわしているだけです。ただ、旅行は絶対に行けませんし、病気もできませんね。

責任感というよりは“使命感”「見た目が怖いからって殺すのはあまりにも可哀相」

――相当な責任感を持って取り組んでいるわけですね。

荻野所長 以前、交通事故に遭い、全治5ヵ月の骨折を負ったこともありましたが、痛み止めだけもらって入院せずに帰宅しました。責任感というよりは使命感。何よりも、それが前に出てくるのです。

――確かに犬や猫を飼っていても、その間家を空けるためには知人や業者に預かってもらうなど様々な手間が必要ですが、ワニガメはさらに難しいのでしょうか。

荻野所長 犬や猫はまだコミュニケーションができるため、異常に気づきやすいんです。ところがワニガメなどの爬虫類は、異常を外に知らせる行いをすると自然界では生きていけません。結果、死ぬまでその異常を隠すような生態となっています。ゆえに、すきを見せると、すぐに死んでしまう…。とても入院していられる状況ではありませんでした。
――保護費はどのように捻出しているのでしょうか。

荻野所長 基本的にはすべて建設業で稼いだお金です。これまでで2億円ほどかかっています。ですからそれもふくめて、自分の欲を全部絶たなければ、今の保護活動はできません。いわば金額的には、コンビニエンスストアをボランティアで運営しているのと同額ですから。…確かにワニガメは見た目が怖い。でも怖いからといって、それを人間の勝手で殺すのはあまりにも可哀相じゃないですか。私は600匹すべてに名前を付けて育てています。皆個性があって、全員可愛いですよ。

――では、荻野所長にとってワニガメとは。

荻野所長 家族です。犬や猫を飼われている方が名前をつけて可愛がるのは普通ですが、爬虫類に名前を付ける人は少ないように思います。また、カミツキガメを殺して食べる動画がYouTubeやテレビで平気で撮影されていますが、私からしたら、それは犬や猫を食べているのと同じ感覚で、見ていて大変辛いですね。

――今後の夢や展望などございますか?

荻野所長 自分の夢はワニガメの保護、殺処分ゼロですから、すでに叶っています。ですから、今後はいかにこの夢を持続させられるか。あとは、病気の猫が早く良くなってくれたら、犬がもうちょっと長生きしてくれたら、とか。あとは、世間の動物全般に対する思いやり。これがもう少し増えてくれたら、と日々願っています。

保護募金はこちらから

ワニガメ生態研究所(外部サイト)

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