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女装で“モブキャラ”から脱却、「女性に優しくなれる」「勘違いも…」女装のメリットと危険性とは?

 昨今ではSNSなどを通じて、自身の女装した姿や女性に加工した写真をアップする男性も増えている。メイクアップアドバイザーの資格を持ち、“女装の先生”として情報発信するみのりさん(@otokonokogarden)もその一人。学生時代の自分と、現在の女装姿を対比させたツイートも反響を集めた。みのりさんが感じた、女装によって得た“モブキャラ”からの変化とは? 家族へのカミングアウト、そして女装の良い点も悪い点も、包み隠さず語ってくれた。

本業はサラリーマン、自己肯定感低い“モブキャラ”が女装で変わった

――みのりさんについて教えてください。

みのりさん 年齢は30代半ば、普段は接客業のサラリーマンとして働いています。子どもがまだ小さいので、休日や仕事終わりは育児をしていますし、子どもや奥さんとの時間を大切にしていて。昔は週4くらい女装をしていましたが、今は月一くらいです。あと、少しでも女装界隈が盛り上がればいいな…と思って、本業とは別にSNSやブログなどで女装のやり方・楽しみ方などを発信しています。

――女装に興味を持ったきっかけは?

みのりさん 本格的に興味を持ったのは、専門学校に通っていた21歳のときですね。それより前から、かわいい服や小物は好きでしたが、「女装してみたい!」と感じたことはなくて。ですが、あるときネットサーフィンをしていて、たまたまウィッグ通販サイトが目に入ったんです。そこで魔が差したというか、昔、「童顔だし、女装が似合いそうだよね」と言われたことを思い出して。そこからウィッグや女性服の購入に至るまでは早かったですね。

――女装をするようになって、心境にも変化はありましたか?

みのりさん 大きな変化がありました。もともと私は自己肯定感が低くて、自分のことを世の中における“モブキャラ”だと思っていたんです。けれども女装をするようになってからは、「自分の人生を生きられるようになった」といいますか。女装をして出会った人たちは、私のことを「どこにでもいるモブキャラ」ではなく、ひとりの人間として捉えて、接してくれたんです。それからは、人の顔色ばかりを窺っていた控えめな性格が一変して、しっかりと自分の意見を言えるようになりました。

多様性が言われる社会でも女装は「変人」のイメージ、家族へのカミングアウトに悩む人も

みのりさんと妻、2人の花嫁ショット

みのりさんと妻、2人の花嫁ショット

  • 家族3人で記念撮影

    家族3人で記念撮影

――好奇の視線を浴びたり、ネガティブな経験をしたことは?

みのりさん 日常茶飯事ですね。最近はメディアで、トランスジェンダーや性の多様性について触れられる機会が増えたので、多少はマシになってきましたけど、世間的な女装のイメージって、やっぱりまだまだ「変態」や「変人」だと思うんです。女装をして街中を歩いていると、指をさされたり、必要以上にジロジロ見られたり…ということが、今でもしょっちゅうあります。

 最初の頃は落ち込むことも多々ありましたが、そのたびに「もっと可愛くなってやる!」という精神で、メイクや女装について勉強しました。今では「女装で何が悪い! 自分は自分の好きな格好をしているだけだ! 笑いたければ笑え!」という境地なので、まわりの視線なんて気にならなくなりましたが。

――女装をしたいという男性は、どんな思いを抱えていると思いますか?

みのりさん それぞれに思惑があって、女装する目的も感情もぜんぜん違うんです。たとえば、かわいい女性服を着るために女装する人や、女性になりきって生活をしたいから女装する人。ほかにも、男性が好きで男性に好かれるために女装する人、自分らしさを表現するために女装する人…など、本当に多彩なので、一括りでは紹介しきれないですね。

――そういった方々と交流をする中で感じることは?

みのりさん よく問題になるのが、「家族へのカミングアウト」です。先ほどお話した通り、世間の女装への目はまだまだキツいものです。パートナーや両親、兄弟、友人などに、自分の女装趣味をカミングアウトしたいと思っても、「受け入れられなかったらどうしよう?」と悩んでいる人はかなり多いです。

 「自分の好きなことを受け入れてほしい」という気持ちはよくわかるのですが、相談を受けた際、私はいつも「そのカミングアウトは本当に必要なことか考えてほしい」と伝えるようにしています。女装はあくまでも趣味なので、大切な人たちを不安にさせてまで告白する必要はあるのか?…というのが私の考えなので。場合によっては、女装が原因で家族から勘当されたという人も少なくないですからね。

 ただ、ずっと生活をともにする奥さんやパートナーにはカミングアウトをして欲しいと、個人的には思うんです。ばれたら離婚になるかもしれないような案件を隠して生きていくのは、相手にも誠意がないかなって。

女装が与える影響とは?「女性に優しくなれる」「性別違和への勘違い」も

――女装をしたいという男性は増えてきているのでしょうか?

みのりさん 体感としては増えてきていると感じるのですが、実際のところ、今も昔もあんまり変わっていないと思います。昔は女装趣味は隠すものだったので、表には出てこなかったんだろうなって。今は若い人を中心にSNSなどで気軽に女装姿をアップできるので、そこから目にすることが多くなったのだと思います。

――客観的に見て、女装がもたらす心理的な影響とは?

みのりさん いい影響は、「少しだけ女性に優しくなれること」だと思います。女装をすると、メイクに時間やお金がかかること、ヒールで歩くのがしんどいこと、メイクは誰かのためにではなく自分のためにしていること…などを、身をもって知ることができるので、経験すればそれらを実践している女性に対して、少し優しくなれるんじゃないかと。

――よくないこともあるのですか?

みのりさん 「女装をしている自分が本当の自分なんだ」と思い込んでしまう人が少なくない…ということです。これは、けっこう危険なことだと思っていて。心が女性の“性別違和”の場合は特に問題はないのですが、そうじゃない人も「自分は性別違和だ」と誤認してしまうと、いろいろと厄介で…。

――と言いますと?

みのりさん 女装をしていると、普通の男性では体験できないようなことがたくさん起きるんです。たとえば、男性からの好意やエスコート。男性は、女性をエスコートする側になることが多いので、いざ自分がお姫様のように扱ってもらえると、とても新鮮で、嬉しく思ってしまう人が多い。そういうことが続くと、「私って、じつは心は女性なのかもしれない。だって、男性からの好意がこんなにも嬉しいから」となってしまうのも頷けます。

 こうした勘違いから「自分の心は女性なんだ」と認識してしまうと、その後の人生がよくない方向に行ってしまう可能性があって…。女装には、そういうバイアスがかかりやすい側面もあることを、つねに意識しておくことが大切ですね。

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