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吉岡里帆×中村倫也『ハケンアニメ!』インタビュー
「10年先にも心に残る作品に」
中村10年と言わず、何十年と心に残ってほしい。普遍的なテーマのある作品も、今まさにドンピシャな現代的な要素を追求した作品もいろいろありますが、何十年経っても楽しんでもらえるような作品にしたいと常に思います。名作と呼ばれるものに、時代は関係ないですから。
吉岡私にとっての『ピンポン』(2002年)や『花とアリス』(2004年)のような、何回でも見返したくなるような、いつでも見られるようにDVDを持っておきたくなるような、そんな作品を残していきたいと思っています。この『ハケンアニメ!』も10年先も心に残る作品になったと、私は思っています。
「僕らで名シーン作っちゃった」
中村吉岡さん、泣いていたんですよ。
吉岡感極まってしまって(笑)。中村さんと共演が初めてなのもありましたし、私が演じている斎藤瞳自体も王子に会うのは初めてで、すごく緊張していました。王子は、瞳がずっと憧れていていた人、彼女の人生を変える作品を作った神様みたいな人、この人のおかげで瞳は自分の人生を肯定することができたんだ…、と思ったら、胸が張り裂けそうになりました。同じ舞台に立って作品の発表ができる喜びと恐怖で震えました。でも、一番大きかったのは、やっぱりありがとうの気持ちです。そして、王子の長ゼリフは印象的でした。
――あの場で瞳は「覇権をとる」と啖呵(たんか)を切り、王子は自身も含めたアニメを愛する“オタク”への思いをまくし立てる。
中村あの場で王子はどんなヤバいことを言ってもカリスマとして称賛される、それを成立させられるだろうか、とすごくプレッシャーを感じていました。そして、ふと吉岡さんを見たら、『えっ? 泣いてる?』って。現場で吉岡さんは『涙が出るとは思ってなかった』と言ってて、僕もそんなになると思っていなかった。台本で読んでイメージしていたものより、台本に書かれていた情報量より、あの日生まれたあのシーンの芝居は、すてきなものになったんじゃないか。現場でもそう思いましたけど、完成した映画を観て確信しました。僕らでちょっと名シーン作っちゃったなって、思っています。
中村役者で食っていこうと思って、今こうして役者をやらせてもらえている。ここまでくるのに、僕は十数年かかっています。その期間を考えると、腐っていた時期もありましたが、頑張ってよかったと思える。吉岡さんも、きっとはつらつとした笑顔の裏ですごく努力してきたんだろうな、雑草魂みたいなものがあるな、と勝手にシンパシーを感じていました。今、それを口に出してみました(笑)。
吉岡ありがとうございます。確かに、周りからどう思われていたとしても、いろいろ頑張ってきたから今があるんだ、という自信があります。おっしゃる通り、雑草魂です。転んでもただでは起きぬというのがモットーです(笑)。
――最後に、吉岡さんから完成した映画を観ての感想を含め、本作のことが気になっている人へメッセージをお願いします。
吉岡『ハケンアニメ!』を試写で観たとき、素直に、良い作品ができたからたくさんの方に観てほしいと思いました。撮影中はまだ完成していなかった劇中アニメを観て鳥肌が立ち、どれだけ多くの人の手で完成したんだろうと密度の高さに参加者として誇らしい気持ちになりました。頭の中で描いていた物が少しずつ具現化する感動を、作品が人々に届く感動を、ぜひ観に来ていただきたいです。アニメクリエイターたちのカッコ良さが詰まっています。
映画『ハケンアニメ!』2022年5月20日公開
監督:吉野耕平
脚本:政池洋佑
出演:吉岡里帆 中村倫也/柄本佑/尾野真千子
制作プロダクション:東映東京撮影所
配給:東映
(C)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
公式サイト:haken-anime.jp
公式SNS:@hakenanime2022