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“日テレ男性アナ最強説” 総合力を作る独自メソッドの継承
人気の可視化と視聴者との接点を作るキャラクター作り
また、先の北京冬季五輪のレポーターを務めた辻岡義堂アナも、公式キャラクターの“ビンドゥンドゥン愛”を披露したことで、現地では「ギドゥンドゥン」として大ブレイク。出待ちを受けたり、中国のテレビ番組に出演したりと大きな話題に。現フリーの青木源太アナにしても、日テレ時代は“ジャニーズ愛”でファンの心をつかみ、絶大な人気を集めていたことはいまだ記憶に残っているだろう。
こうしてみると、日本テレビは各アナウンサーの個性や面白さを引き出し、番組内でそのキャラを活用することが非常に上手く、いわば「アナウンサーの人気を可視化」することに長けているといえるだろう。
新人からベテランまで…1つのコンテンツのタスキをつなぐ「箱根駅伝」がアナの登竜門に
今年の箱根駅伝では、放送センターを日本テレビ・エグゼクティブアナウンサーである平川健太郎アナが担当し、1号・2号・3号中継車、各中継所、レポート、優勝インタビューなどに男性アナ12人、女性アナ6名の計18名が出演。しかも、ただ実況するだけではなく、1年間かけて各大学の監督や選手を取材し、2日間10時間以上にわたるレースを間近でレポートする…という他局にはない貴重な経験ができる。
過去にも羽鳥アナがトイレに行かなくても済むようにオムツをして実況に臨んでいたという驚きのエピソードや伝説、アナウンサーとしての矜持も先輩から後輩にしっかりと継承されている。それは、箱根駅伝にアナウンサーとして関わりたいという思いから日本テレビに入社する…といった人も少なくないことからもうかがえる。
こうした“伝統”は、かつての巨人戦中継や全日本プロレス中継などでも受け継がれ、日本テレビ独自の“チーム力”を育み、それが個々の“アナウンサー力”にも反映され、ひいては局全体の強さを生み出すシステムとして構築されているのではないだろうか。
個人主義ではなく、”チームプレー“としてのアナウンス力を徹底
他局では、「このアナは報道」「このアナはバラエティ」など、アナウンサーも何となくジャンルを決められているように見えるが、日本テレビでは報道の場にとらわれず、自分の個性を出せる場が用意されているともいえるかもしれない。もちろん、バラエティで人気のあるアナウンサーたちも報道の場にも出、本懐を忘れることはない。
桝アナにしても、『ザ!鉄腕!DASH!!』への出演は11年前、「DASH海岸」コーナーのロケに休日を利用してアポなし・プライベートで参加したことがきっかけ。それ以来、神奈川・横浜市にある「DASH海岸」のロケに度々やってきており、今では城島茂、海洋環境専門家の木村尚氏とともにレギュラーメンバーとして活躍。桝自身も「自分のルーツ(アサリを始めとする生物や自然科学の研究)と仕事を両立。ルーツを大事にしながら社会貢献できるというのをDASH海岸の活動の中で城島リーダーから学んだ」とまで語っており、今回、同局を退職し、同志社大学ハリス理化学研究所の専任研究所員(助教)へと転職することも含め、番組が彼の生き方を考えるきっかけを与えたといっても過言ではないのである。
他局であるTBSもフジテレビも、わりと個人主義で貫かれているような雰囲気があるが、日本テレビでは男女を問わず、上司・部下、年齢の上下に関わらず良好な関係を築いているように見える。互いにライバルでありつつも良き同志といった印象が強い。それは前述のように、関わる番組を通じて、先輩から後輩へとアナウンサーとしての姿勢や精神がしっかりと継承されているからだろう。それは男性に限ったことではなく、たとえば桝アナと水卜アナの関係にも見え隠れする。
さらにいえば、日本テレビ時代の2010年にも「好きな男性アナウンサーランキング」1位に輝いている羽鳥アナは、昨年1位の藤井アナとは日本テレビの同期にして親友かつライバルであり、今でも日テレの番組で共演する仲。また羽鳥アナは、自分が担当してきた『ズームイン!!SUPER』の後継番組『ZIP!』の総合司会だった桝アナにアドバイスを送ることもあったという。もはや「日本テレビのアナ精神」は、年齢どころか局の垣根さえ越えているのかもしれない。
これまでアナウンサーの退社後はフリー転身が基本だったが、桝アナは新しい形を見せてくれた。桝アナの退社報道の際は、「もう日テレには藤井アナしかいない」という声も聞かれたが、実際は“ポスト桝アナ”となる人材はたくさん控えているといってもよいだろう。各アナウンサーそれぞれに活躍する場が用意され、先輩・後輩・同期が互いに切磋琢磨し合いながら“チーム力”を培っていく、そんな“日テレメソッド”は今後も日本テレビの総合力を上げていくのではないだろうか。