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最新メイクトレンドは“黒目”から“白目”重視へ パーソナル化進むコスメ需要にメーカーも暗中模索

 カネボウ化粧品のメイクアップブランド「KATE(ケイト)」が、昨年新たに“白目強調アイライナー”『リアルアイズプロデューサー』を発売。これまではアイライナーやつけまつ毛、カラコン等、手法はトレンドによって変化しながらも、いかに“黒目”を強調するかという試行錯誤の延長線にあった。しかし最近は、より自然に目を大きく見せる手法として“白目”強調がトレンドになりつつあるというのだ。コスメ選びも「パーソナルカラー診断」から始める人が増えるなど、ますます需要の細分化・多様化する中で、各化粧品メーカーも暗中模索しているようだ。

黒目を大きくしすぎると「宇宙人みたい」 より自然さ求め、“白目強調”で目幅を拡張

 前代未聞の“白目強調”アイライナー『リアルアイズプロデューサー』は、SNSの声から生まれた。

「SNSでリサーチしていた中で、皆さんの“なりたい顔”が多様化していることが分かりました。その中で小松菜奈さんのように、黒目を強調しなくても目を大きく見せたいというニーズも一定層あると感じたので、白目を強調して大きく見せることで、小顔に見せられる商品を開発しました」(KATE・若井麻衣氏/以下同)
 昨今の目を大きく見せる手法として、黒色のカラコンを使用する手法が少し前のトレンドとしてあったが、黒目だけを大きく見せると“不自然”、“宇宙人みたい”という声もあったことから、近年は、より自然に目元を印象付けるメイクへシフトしつつあるそうだ。

「以前は、人形のように黒目を大きく見せたり、目元だけを強調したメイクが主流でしたが、昨今は、より自然さを求め、顔全体のバランスをとって小顔に見せるメイクに流れてきている傾向があります。黒目を強調したメイクはインパクトこそありますが、目の幅自体は拡張できないので、白目を拡張することで、自然に目幅全体を大きく見せ、さらに白目を下に広げることで中顔面を短縮し、顔全体を小さく見せるという手法です」

 これまでも白いアイライナー自体はあったが、今回こだわったのは、自然な色味である。昨年11月に発売された『リアルアイズプロデューサー』は、白目強調ラインの“アイボリーカラー”と偽造粘膜ラインの“ニュアンスピンクカラー”の2色が1本になっている。

「既に市場に白いアイライナー自体はあったのですが、白目を拡張するためのものではなかったので、より一体感を出せるように、今回、白目の色を忠実に再現する点にこだわりました。“ニュアンスピンクカラー”に関しては、粘膜の色を再現するためにくすみのあるピンクにしているのがポイントです。黒目の下から目尻に向かって真横に引くことで、自然な垂れ目ラインを作ることができます」

トレンドは変化しつつも、いつの時代も絶えることなき“目を大きくしたい”願望

 同商品は技巧的メイクを好む人を中心に話題を集め、発売直後、早々にSNSでもバズりを見せたが、開発当初はこれほど人気を集めることは予想していなかったという。

「実はこういう個性的な商品が一気にバズるということはあまりないんです。この商品は、初めは美容感度の高い、いわゆる美容垢の方々の間で広がり、ある程度話題になったことで一般の方にも手にとっていただけるようになりました。やはり、皆さん垂れ目や自然に大きい目になりたいという思いが心の奥底にあるようで、メイクでガラッと雰囲気が変わる点をお楽しみいただけているようです」
 1997年にブランドデビューしたKATEは、これまでもマス向けだけでなくピンポイントにターゲットを絞ったアイテムを発売してきた。プチプラで”かゆいところに手が届く”アイテム展開で、幅広い年代から厚い支持を得ている。

「トレンドの先を行き過ぎてしまうと手を出しにくくなってしまうので、“半歩先”の商品づくりを目指しています。“実は需要があったけど世になかったもの”だったり、いろんなアイテムを駆使していた人たちが、“こういうのが一つあったら便利”という商品だったり、潜在的ニーズを汲み取って開発に反映しています。ただ、マニアックすぎると手にとってもらえないという難しさもあるので、ほど良いラインを模索しながら商品づくりをしています」
 世の女性たちの“目を大きく見せたい”という永遠の願いに対し、その叶え方は時代によって変化してきた。

「ブランドデビューした97年当時はギャルの時代だったので、ラメのアイシャドウや大粒のグリッターが流行り、2000年代に入ると、黒ラインで目元を囲む”目ヂカラ”メイクがブームに。その後、2007年頃は読モブームによりジェルライナーカラコン、つけまつ毛を使った”盛り”メイクが流行。2010年以降は素肌重視の”すっぴん風”や薄眉の”カラーレス”といった、よりナチュラルなメイクが主流になりました。最近はマスク生活ということもあり、目元強調メイクと長時間持続性のあるメイクアイテムがトレンドに上がっています」

加速するニーズの細分化… 誰にでも合うコスメではなく、1人1人にフィットした商品作りへ

 その延長線上で、写真加工アプリや動画フィルターが当たり前の時代になったことで、“アプリ越しに映る自分の顔になりたい”という変身欲が高まっていると語る若井氏。

「昔であれば、憧れの有名人の顔になりたいという願望が強かったのに対し、今はアプリで加工された自分の顔に近づきたいという思いが強いようです。なので、最近では誰かのメイクを真似るよりも、自分に合うメイクを知りたいという方が多いです。ただパーツを大きく見せるだけでなく、自分に一番合う目の大きさを知りたい、というようにメイクのパーソナル化が進んでいます。そういった傾向を受け、昨年、顔のパーツの比率を測定し、それぞれに合ったメイクメソッドを提案するサービス『KATE MAKEUP LAB.』を立ち上げたところ、約1ヵ月で登録者数30万を超えるなど、大きな反響をいただいています」
 聖子ちゃんカット、アムラーメイク、あゆファッション、エビちゃんOL、つーちゃんフェイスと言った絶対的アイコンはなくなり、もはや皆が同じファッションやメイクを目指す時代ではなくなった。誰かの真似をしても自分には合わないこともある。個性重視の今だからこそ、メーカーも誰にでも合うコスメを目指すのではなく、個人にフィットしたピンポイントの需要まで拾いに来ているのだ。化粧水1つにしても、1人1人の肌質に合った商品を数種類展開するブランドも増えてきた。メイク業界においても、イエベ・ブルベといったワードが浸透し、ベースだけでなくチークやリップ、アイメイクまで個人に合った色「パーソナルカラー」に合わせてアイテムを選ぶユーザーも多い。
 さらにコロナ禍により、マスクで顔半分を隠す時間が圧倒的に増えたことで、新たな局面を迎えつつあるコスメ市場。これまでメイクトレンドの“半歩先”を走り続けてきたKATEの今後の展望とは。

「マスク生活が常態化し、自分の顔を直視する時間が減ったと思うんですよね。なので、いつかマスクを外す時が来た時に、好きな自分でいられるような効果を感じられるコスメを作っていきたいと思っています。加工アプリを通した理想の自分に寄せていくように、作り込んでいるけど自然に見えるようなメイクの需要が高まると思うので、そういった「変わりたい」という気持ちを持つ人に最大限寄り添える商品を今後作っていければと思っています」


(取材・文=鈴木ゆかり)

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