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結局“あざとい”が強い? 本田翼、弘中綾香、吉岡里帆…今年活躍した女性陣に見る逆転劇
悪口から褒め言葉に昇格した「あざとい」 “カワイイ”への努力惜しまぬ田中みな実が立役者に
「ぶりっこ」は「かわいいふりをする」から、「かわいこぶる」→「かわいこぶりっこ」と経て成立。漫画家の江口寿史が『すすめ!!パイレーツ』(集英社)の中で使ったことから拡がり、松田聖子のデビュー、そして1981年に山田邦子が『邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド篇)』というレコードを出した頃には一般化されたといわれる。いわゆる「猫かぶり」であり、「本性は違う」「嘘つき」「異性の前だけでかわいい振りをする」という蔑み言葉だ。
これらは珠緒や小林麻耶、小倉優子らに使われていた頃は総じて、ネガティブなイメージで使用されていた。だが、近年の「あざとい」は「ぶりっこ」とは一線を画し、“カワイイ+賢さ”を併せ持った褒め言葉にも使われており、実際に「あざとかわいい」という言葉まで浸透した。
その後も、美容に対するストイックな姿勢や弛まぬ努力も発信するようになると、“自分のことを可愛いと思っている人”というよりは、“めちゃくちゃ努力して美を保っている人”として、同性の憧れの対象に。「あざとい」が努力の一部として認められるようになった立役者ともいえるだろう。彼女が紹介したコスメ等はヒット連発し、ファッション誌や美容誌にも数多く登場。2019年、2020年には同ランキング2位をキープし、局アナ時代とはまた違った支持を確立した。
弘中綾香から学ぶ“あざとさ”の中の“賢さ” 愛される&嫌われる境界線とは
誰彼構わず相手に媚びるのが「ぶりっこ」だとしたら、その場の空気を読み、時には可愛さをもって相手をコントロールできる対応力が「あざとさ」と言えるかもしれない。もともとは他局のアナウンサーの先輩で、ともすればキャラ被りしそうな田中みな実とも、『あざとくて〜』番組内で上手く後輩らしさを見せながらも、求められれば「あざとかわいさ」も披露する弘中の立ち振る舞いは、まさに“賢さ”として映る。異性同性ともに人気を集め、3連覇達成するのも納得だ。
吉岡里帆はグラビアやどんぎつねのCMの印象が今もあるが、ラジオパーソナリティやレコ大司会、ファッション誌、バラエティ出演などを通して、最近は同性人気も上がってきた。どんぎつねは今やコスプレの定番ともなり、ハロウィン時期やアイドルの卵の撮影会でかなりの確率で遭遇できる。
「“あざとい”の言葉のイメージには“計算高い”があり、これが“モテテク”として少女漫画雑誌、ファッション雑誌などでマニュアル化されたことも大きい。ギャル界でも2000年代に『小悪魔ageha』(主婦の友社)がヒット。“小悪魔”要素を、媚びないタイプの女性が“カワイイ”としたことも、“あざとい”が認められる素地を作ったと考えられる。さらに昨今では、男性にも“あざとい”という言葉が使われています。“媚びる”、“ぶりっこ”にはない傾向で、さらに“あざとさ”が広く受け入れられている証拠なのでは」(衣輪氏)
「また、ネガティブなイメージも“貫き通す”ことでプラスに転じる現象があり、田中みな実さんは特に当てはまる。手越祐也さんはチャラ男の空気感(もちろん背景に歌唱力のギャップもあるが)を貫いて、むしろ愛されキャラに。出川哲朗さんも“抱かれたくない男No.1”からカワイイキャラへ。Kis-My-Ft2の宮田俊哉も『ラブライブ』の“にわか”じゃないガチな姿勢が好感度。松坂桃李も、カードゲーム『遊戯王』の、貫ききったガチオタクであることで男性人気が急上昇しました」
ポジティブな「あざとい」の言葉の裏にあるのは可愛さ・賢さ・そして強さ。もし自身にネガティブなイメージをつけられても、この三要素をうまく備えれば、逆転劇も起こりうるということを彼ら・彼女らは教えてくれているようにも思える。
(文/西島亨)