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“咬み癖”ある猫は1日中ケージの中に…外国人飼い主の悔恨の涙「もっと良い家にもらってほしい」

 飼っている猫の“咬み癖”に、悩む飼い主は意外と多い。単なるしつけの問題か、猫の持つ狩猟本能なのか。NPO法人『ねこけん』代表理事の溝上奈緒子氏は、まずは飼い方に問題がないか、振り返ってみてほしいと言う。ある外国人の飼い主も、「猫に咬み噛み癖がある」とし、引き取ってほしいと『ねこけん』に相談を持ちかけた。だがそこには、もっと別の問題も潜んでいたようで…。飼い主の心構えについてあらためて考えさせられる、エピソードについて聞いた。

ふわふわでタヌキのような風貌の猫、「咬み癖」で手放したいという外国人

 日本で仕事をしている、ある外国人から相談があった。「ラグドールを引き取ってください」。ふわふわでゴージャスな長毛のラグドールは、まるでタヌキのような風貌でとても可愛らしい。体に欠損があるわけではなく、病気でもない、とても元気な若い猫だ。そんなラグドールをなぜ引き取ってほしいというのか。理由は咬み癖。そして元気がありあまり、部屋の中で走って暴れるという。

 「『連れてきていいですよ』とお答えしたんですが、突然『友人に譲渡する』ということで、引き取る話はなくなりました。でも、友人の家でもどうやらうまくいかず、再度引き取ることになったんです」と、当初からどこか行き当たりばったりの飼い主に面食らったと溝上氏は明かす。

 さらに今度は「早く引き取ってほしい」ということだったが、保護場所が満室のため、メンバーが預かることに。『ねこけん』を訪れた飼い主から詳しく話を聞くと、「猫はペットショップで購入したが、咬み癖がある。仕事へ行くときにケージに入れ、家へ帰ってきてから10分から15分だけ室内へ放す状態が続いている」ということだった。これには、話を聞いた溝上氏も顔をしかめたそうだ。

 「相談してきた人に対してあまり怒ることはないんですが、その飼い主さんには『あなたは命を預かってはダメだよ』と伝えました。その人は、急きょ帰国しなければいけなくなったわけでもなく、猫を飼えない状態でもない。ペットショップで購入して、自分の思うような猫じゃないからと言って、すぐに命を手放そうとする。友人に譲渡してもうまくいかず、結局うちに引き取ってもらおうとするんですから。飼い主さんの考えは、ちょっと甘すぎると思ったんです」。

1日中ケージの中…飼い方の問題に気づき涙「もっと良い家にもらってほしい」

 こうして『ねこけん』によって保護されたラグドールは、体が大きく、しかも好奇心旺盛な若い猫。1日中ケージに入れられた生活をすれば、かなりストレスもたまっていただろう。“咬む”という行為は、何も猫の持つ狩猟本能からくるものだけではない。飼い主にかまって欲しくて、ストレスがたまって、咬んでしまう場合もある。その証拠に、『ねこけん』にやってきたラグドールは、室内で自由にふるまえることがうれしいのか、あちこち匂いをかいだり、くつろいだりと、とくに問題なく過ごしていた。確かに噛み癖が出るときもあるが、実際は力加減がわからないだけの甘噛みだったという。

 実は、飼い始めた猫をすぐに手放そうとする外国の人は、ことのほか多いという。

 「国によって文化や教育の違いがあるため、仕方がないのかもしれません。ただ、あまりに命を軽く扱いすぎる。今回の飼い主にも、『うちが猫を引き取るのは、あなたのためじゃなく、この猫のためだ』ということを伝えました」。

 これまでの飼い方がいかに猫にとってひどいものだったのか、なぜ猫は咬んでしまったのか。溝上氏の説明を聞き、飼い主は「今日は一度連れて帰り、少し考えても良いですか」と申し出たという。だが、溝上氏は「今連れて帰っても、結果は同じだと思います」と伝えた。

 「最後に10分間だけ…」と猫との時間をもらった飼い主は、その短い時間でラグドールに別れを告げた。そして、「もっと良い家にもらってほしいです」と、自らの知識不足を反省し、命の重さをあらためて感じて涙を流したという。

 「これまで、周りで教えてくれる人がいなかったのでしょう。ペットショップで購入するにしても、動物を飼うのであれば当然、飼い方を知ること、習性を知ることは大事です。もしそれができていないのであれば、ときにはしっかりと注意されることも必要だと思います」。

咬み癖のある猫はどうしたら? 「猫同士で学び合う」

 この外国人に限らず、咬み癖について相談される機会は多いという。そんな飼い主に溝上氏は、「もう1頭飼うこと」を勧めているそうだ。

 「本来ならば幼いとき、兄弟と一緒に過ごすのが一番。猫同士で咬み合って、ここまでなら大丈夫、これ以上強く咬んじゃいけないんだ…と学んでいくんです。そのため、一人っ子の場合、子猫のうちから1頭だけ飼っている場合に、咬み癖が出ることが多い。それを直すには、やはり学び合えるもう1頭がいるといいですね」。

 現在、このラグドールは『ねこけん』で伸び伸びと暮らし、咬み癖も治ってきた。1日中ケージに閉じ込められ、かまってほしくて咬んでしまうこともない。飼っている動物に問題行動がある場合、飼い主はまず、自分の接し方を顧みるべきだろう。これから一緒に暮らしていく、責任をもって育てていく。そう思って預かる命は、餌と寝床を与えればいいというものではない。猫と飼い主が幸せに生きていくために、忘れてはいけないことだ。

(文:今 泉)

■NPO法人『ねこけん』(外部サイト)

■『ねこけん』オフィシャルブログ(外部サイト)

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