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金髪セーラー服のゴリラ像に15mの黄金聖徳太子…カオスすぎる展示品に「精神が崩壊する」 伊豆『まぼろし博覧会』館長が語る“価値の基準”とは?

専門的な知識がないと楽しめない美術品こそが“サブカルチャー”


 実はセーラちゃんは、『サザエさんの秘密』や『危ない1号』などニッチな分野の書籍ながらもヒット作を連発した出版社の社長という顔もあり、知る人ぞ知る90年代サブカルチャーの立役者の一人。「面白がっていろいろ作ったんですけど、過激だというだけではやっぱりどこかで行き詰まる。また面白いテーマでも、荒削りな“衝撃”がウケていただけで、洗練され完成度が高くなったころには、皆さん興味を失って引いていってしまったんです」

 しかし、セーラちゃんは「これこそがメインカルチャー」と言い切る。「同博覧会にあるのは、日常的なものばかり。例えば誰かの、亡くなられたおばあちゃんが子供の頃に集めていた玩具であるとか、過去に普段、目にしていたような看板や旗、物。乱雑に置いてありますが、日常と地続きの展示品ばかりという意味でメイン。寧ろ一点物の高級茶碗や美術品の方が、専門的な知識がないと楽しめないという意味でサブカルチャーじゃないでしょうか。ピカソの絵と子どもの絵、どっちが好きかは、見る人がどう感じるかだし、僕はすべてその感覚で考えています。これを勝手にニューカルチャーと呼んでいますけどね」と、あっけらかんと話す。

管理も一切しない。へたに修復をすると“今”だからこそ見られるものではなくなるからだ。採算はギリギリ。だがいまだ敷地は拡大しており、それだけ世の中は人の喝采を浴びないものであふれていることが分かる。

「世に遺したいと思う人、物があれば遺せばいい。でも僕はまったく趣味でやってますから」と笑いながらも、「お子様からお年寄りまで、みんなが無邪気な笑顔になれて、楽しい明日が迎えられるような、そんな気分になれるパラダイスを目指しているんです」と熱く語るセーラちゃんを、なぜだか無性に守りたいと感じる。

(文/衣輪晋一)

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