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『ほんとうのピノッキオ』“悪童”を演じた子役は“神童” 3ヶ月間、4時間の特殊メイクに耐えたプロ意識

(C)ARCHIMEDE SRL ‐ LE PACTE SAS

 11月5日より劇場公開された映画『ほんとうのピノッキオ』。ピノッキオといえば、“嘘をつくと鼻が伸びる”エピソードを思い浮かべるかもしれないが、無邪気な操り人形に見せかけて、実は行く先々でトラブルを巻き起こす、“悪童”だった――というのが『ほんとうのピノッキオ』で描かれる。
 原作は、1883年に出版されたイタリアの作家カルロ・コッローディの児童文学「ピノッキオの冒険」で、これまで数々の映像化作品を生み出してきた。1940年のウォルト・ディズニーのアニメーション映画『ピノキオ』が広く親しまれ、日本ではそのディズニーアニメに影響を受けた手塚治虫が「ピノキオ」を漫画化(1952年)した。いまだ世界中の多くのクリエイターたちの創作意欲を掻き立て続け、2019年公開の本作のほかにも、『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)でアカデミー賞4部門受賞したギレルモ・デル・トロ監督によるストップ・モーション・アニメ、ウォルト・ディズニー製作のロバート・ゼメキス監督による実写映画の新作企画も進行中だ。空前の「ピノッキオ」ブームと言ってもいい。
 本作は、原作者と同じイタリアのマッテオ・ガローネが(『ゴモラ』『五日物語 -3つの王国と3人の女−』)が、丸太棒が変身したピノッキオの奇想天外な大冒険の原点に回帰して、斬新にビジュアライズ。旅の途上に登場する世にも奇妙な生きものたち、人生の不条理や社会風刺を盛り込んだ寓話的なストーリー展開を、圧倒的な映像美で描き出した。本国イタリアでは2019年に公開され、その年公開のイタリア映画No.1の動員を記録した。

STORY

 貧しい木工職人のジェペット爺さん(ロベルト・ベニーニ)が丸太から作った人形が、命を吹き込まれたようにしゃべり始めた。ピノッキオ(フェデリコ・エラピ)と名付けられたやんちゃな人形は、ジェペットのもとを飛び出して、森の奥深くへと誘われる。道中、ターコイズ・ブルーの髪を持つ心優しき妖精の言いつけにも、おしゃべりコオロギの忠告にも耳を貸さない。なおも命からがらの冒険を繰り広げるピノッキオは、はたして「人間の子どもになりたい」という願いを叶えられるのだろうか……。

ピノッキオ役の撮影当時8歳の子役に脱帽

 物語の主人公ピノッキオを演じるのは、撮影当時8歳だったフェデリコ・エラピ(2010年、ローマ生まれ)。木目フェイスはCGではなく、特殊メイクによるものだ。「観る者を魔法の世界に入り込ませ、キャラクターと一緒にいるような気持ちにさせなくてはいけない」と、ガローネ監督がこだわり、一番苦労したというのがこのピノッキオの特殊メイクだった。

 担当したのは、『ハリー・ポッター』シリーズや『ボヘミアン・ラプソディ』など多くの話題作で特殊メイクを手がけ、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』、さらにメリル・ストリープ主演の『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』で2度のアカデミー賞に輝いたマーク・クーリエ。

ピノッキオができるまでの過程を大公開

 初期段階の構想イラストから、粘土や彫刻などを使用して数えきれないほどブラッシュアップを重ねた後、ピノッキオを演じたフェデリコ・エラピの輪郭に合わせて調整。最終的な造形にたどり着くまでに約1年もの月日を要したという。

 デザインが固まった後は、ピノッキオを構成する鼻や耳といったパーツひとつひとつを制作していく。イメージしたピノッキオを忠実に表現すべく、木目の溝や年輪の一本一本など、その細かいニュアンスを驚くほど緻密に仕上げていった。しかも、特殊メイクのマスクは一度しか使用ができない“使い捨て”。装着はもちろん、木目の色付けなど一回でも気の遠くなるような作業を毎回ゼロから実施した。それも3ヶ月の撮影期間中、毎日4時間かけて…。
 まさに“職人”と呼ぶにふさわしい、精密機械のようなメイク技術の高さはもちろん賞賛に値するが、そんな過酷な現場をやり通したエラピのプロ意識の高さにはさらに驚愕する。これには、多くの作品で特殊メイクを手がけるマーク・クーリエも「1週間や2週間ならまだしも、3ヶ月もなんて誰もやったことがない」と前代未聞の試みだったと明かしている。

 ガローネ監督もエラピについて「彼はピノッキオという役を完璧に理解していた。本人の性格自体は(悪童である)ピノッキオとは正反対だったけど、一方でエラピの純粋な部分も生きていた。現場は大変だったけど愛情込めて演じきってくれたんだ!」と、絶賛。エラピは本作でピノッキオ役を演じた後、『Tutti per 1 - 1 per tutti』(20年)、『Maledetta primavera』(20年)、『Non mi uccidere』(21年)などの映画に出演しており、今後が期待される。
監督/共同脚本:マッテオ・ガローネ(『ゴモラ』『五日物語 -3つの王国と3人の女−』)
プロデューサー:ジェレミー・トーマス(『戦場のメリークリスマス』)
出演:ロベルト・ベニーニ(『ライフ・イズ・ビューティフル』)、マリーヌ・ヴァクト(『17歳』)、フェデリコ・エラピ
後援:イタリア大使館/イタリア文化会館
原題:PINOCCHIO│2019年│イタリア映画│シネマスコープ│上映時間:124分│映倫区分:G│日本語字幕:杉本あり
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
copyright 2019 (C)ARCHIMEDE SRL - LE PACTE SAS
happinet-phantom.com/pinocchio/
公式twitter:@Pinocchio_2021

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