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15年続く『全力坂』の魅力 少女が全力で坂を上る“45秒”に視聴者は何を見る?

他局でもパロディになるほど話題に「ミニ番組でも長尺番組を凌駕できる証明ができた」

 こうして「なんか変な番組なんだけど、なぜかずっと続いている」と囁かれ続けた『全力坂』は業界でも話題を呼び、多くのパロディ企画を生んだ。2010年には『世界!レアレア☆ミュージアム』(日本テレビ系)で「デヴィ夫人の全力坂」が。『リンカーン』(TBS系)では、お笑いタレントが全力で坂を下る「全力坂下り」というミニコーナーが。さらにドラマ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(同系)では、レギュラーで刑事役を努めていた松澤一之と載寧龍二が港区の円通寺坂を駆け上がるシーンに「全力デカ」のテロップが挿入された例もある。

 そして今年7月。月に2回、男性が走る企画「第1・第3木曜日はイケメンが走る坂!」がスタートした。この男性の起用に関して、長嶺氏は「昨今のイケメンブームに乗っかった」とぶっちゃける。「女性の走りとはまた違った力強さと疾走感をお届けしたかったということも当然あります」先述のショーケンよろしく、男女関係なく、全力で走るその姿からは、走者の別の“魅力”が溢れ出してくる。

「ちょいと休憩、またぎの時間と言われる時間帯の番組が多いカテゴリーですが、企画によってはこういう形で取り上げられ、話題性で他の長尺番組を凌駕することもできるという証明ができたと思います。意味、役割は?と問われれば、やはり番組と番組の間のブレイクタイムであることは間違いないと思います。が、そんな中でこの2分間にチャンネルを合わせる視聴者がいる…そこでちょっとほっこりする。『今日は頑張れたか?』『明日は頑張ろう!』といったことを感じてもらえると嬉しいです」

 全力で走る、全力で頑張るという姿を映し出す『全力坂』。奇しくも現在は東京オリンピックも開催中だ。選手たちの全力、その肉体からはまたさまざまな“魅力”や“物語”が溢れ出してくるに違いない。また、ひいきの選手を、日本を、全力で応援する“あなた”からも、なんらかの“魅力”が溢れ出しているのかもしれない。

(文/衣輪晋一)

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