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15年続く『全力坂』の魅力 少女が全力で坂を上る“45秒”に視聴者は何を見る?
青春?エロティシズム?視聴者のさまざまな感情を引き出し15年の長寿番組へ
もう1つは一種のエロティシズムだ。漫画『松田優作物語』(秋田書店)には、“ショーケン”こと萩原健一が往年の名作『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)に出演する際の裏話が描かれている。出演することに消極的だった萩原。その萩原を、当時のスタッフはこう言って説得した。「君はただ走るだけでいい。君には天性のスター性が宿っている。その君が全力で走ることで全身から君の持つ魅力そのものがあふれ出してくるんだ」。『太陽にほえろ!』の刑事が走るシーン誕生秘話でもあるが、ショーケンといえば当時の色気のある男性の代表格。この“色気”が存分に発揮され、『太陽にほえろ!』は名作となった。
その一方で「謎の番組」との声も多い。長嶺氏は「先述の“ニュアンス”には、その“謎の…”も含まれています。この“ニュアンス”が番組最大の演出効果だと考えていますので、そこにハマっていただけたのだと捉えています」と話す。
そのために、演出も徹底する。「ちゃんと“坂”感(全体像、傾斜感)と女性の可愛らしさ、今回だとメンズの格好良さでしょうか、それと、なんといっても『全力感を捉えるように』とスタッフには言っています。また、キャスト選び、坂選びを含め、見飽きた感を出さないように、新鮮さを失わないよう心がけてもいます」
坂選びに関しては、地図とGoogle Earthとのにらめっこ。2016年にすでに放送2000回を超えているが、実は坂道を2000も紹介はしておらず、同じ坂道を走らせることもある。だが、日本は四季の変化を楽しむ国。撮影の季節や時間帯によって同じ坂でも違った表情が見られるため、新鮮さが保たれているのではないか、という。