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15年続く『全力坂』の魅力 少女が全力で坂を上る“45秒”に視聴者は何を見る?

青春?エロティシズム?視聴者のさまざまな感情を引き出し15年の長寿番組へ

 なぜこの番組が15年も続いたのか。長嶺氏は「走り時間たった45秒の中に、視聴者によって捉え方の違ういくつかの〇〇イズムと括られるような、ある“ニュアンス”が存在し、それがネット等で広がり、ファンを作っていったんだと思います」と回答する。この○○イズムはまさに十人十色だろう。まず考えられるのは“青春”。少女が体育祭などで真剣に走り、飛び、奮闘し、やり切った後のハアハアという息切れ。それを見て、若者だった自分を回想し、あたかも体育祭の場にいるかのように懐かしむ人もいたに違いない。

 もう1つは一種のエロティシズムだ。漫画『松田優作物語』(秋田書店)には、“ショーケン”こと萩原健一が往年の名作『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)に出演する際の裏話が描かれている。出演することに消極的だった萩原。その萩原を、当時のスタッフはこう言って説得した。「君はただ走るだけでいい。君には天性のスター性が宿っている。その君が全力で走ることで全身から君の持つ魅力そのものがあふれ出してくるんだ」。『太陽にほえろ!』の刑事が走るシーン誕生秘話でもあるが、ショーケンといえば当時の色気のある男性の代表格。この“色気”が存分に発揮され、『太陽にほえろ!』は名作となった。
 同じように、売出し中で野望を持った少女が全力疾走する。そこから彼女らの夢が、希望が、溢れ出す。さらに筋肉が絞られ、汗も噴き出し、息切れもする。それらにエロティシズムを覚える視聴者も少なくなかったはずだ。

 その一方で「謎の番組」との声も多い。長嶺氏は「先述の“ニュアンス”には、その“謎の…”も含まれています。この“ニュアンス”が番組最大の演出効果だと考えていますので、そこにハマっていただけたのだと捉えています」と話す。

 そのために、演出も徹底する。「ちゃんと“坂”感(全体像、傾斜感)と女性の可愛らしさ、今回だとメンズの格好良さでしょうか、それと、なんといっても『全力感を捉えるように』とスタッフには言っています。また、キャスト選び、坂選びを含め、見飽きた感を出さないように、新鮮さを失わないよう心がけてもいます」

 坂選びに関しては、地図とGoogle Earthとのにらめっこ。2016年にすでに放送2000回を超えているが、実は坂道を2000も紹介はしておらず、同じ坂道を走らせることもある。だが、日本は四季の変化を楽しむ国。撮影の季節や時間帯によって同じ坂でも違った表情が見られるため、新鮮さが保たれているのではないか、という。

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