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ハトマークの“親しみと信頼”を100周年記念グッズに 地元の生活を支え続けたイトーヨーカドーが“今”向き合う課題

 2020年に100周年を迎えたイトーヨーカドーの周年記念グッズがSNSで話題に。ハト柄のパンツや靴下、学習帳、マスクまで多くのグッズを展開しており、「遅れてRTされてきたエイプリルフール商品かと思った」「ヨーカドーのマーク、グッズになるとなんでこんなにかわいいのか」などのコメントが寄せられている。創業の精神は「信頼と誠実」――老舗のイメージを守り続けてきた同社が、なぜここまで振り切った企画を立てたのか。専門店など格安店やネットスーパーが台頭するなか、総合スーパー(GMS)として掲げる“誇り”と“覚悟”を聞いた。

「革新、若さ、躍動感に欠けている」が課題も…周年商品はトレンドやウケを狙わず独自性に着目

 今回のSNSでの反響について「我々の象徴であるハトのマークに対して、多くの方がかわいいといってくださったことが純粋にうれしかったです」と話すのは同社営業本部長の河田靖彦氏。「そもそも弊社には課題があって。過去、お客様にイトーヨーカドーのイメージについてアンケートを取ると、老舗で安心感があるとか信頼が持てるという印象とは裏腹に、革新、若さ、躍動感に欠けているという結果が。この問題をずっと抱えていたんです」。

 確かに現在、イトーヨーカドーには、丸の内や表参道、渋谷的な“トレンド感”はない。今回の100周年グッズもプロジェクトマークを使って誠実にグッズ作成、取引先とのコラボ商品を制作していたが、同社を悩ませ続けるこの課題への無意識的な“抗体”も社員にあったのか、ハトマークを散りばめたボクサーブリーフなどユニークな企画が商品部の方から上がってくるようになった。
 このボクサーブリーフにはもちろん社内で議論はあった。だがハトマークの使い方のレギュレーションだけしっかり守って制作すればOKという流れに。そのルールとはハトに“目”を入れないなどデザインに一切手を加えないこと。結果、次第にコラボする取引先の企業も積極的にアイデアを提出してくれるようにもなった。

 これがヒットし、グッズは品切れが続出した。日本ハムとコラボした「8種のチーズピザ」や、100周年ロゴ付きマドラーやタンブラーがセットの「景品つきカルピス」などが人気に。SNSで評判が良かったのがショウワノートの「イトーヨーカドー100周年記念ジャポニカ学習帳」。遊びの面白さではタカラトミーの『人生ゲーム』にイトーヨーカドーの歴史や買い物イベントなどのコマを新たに付け加える下敷き。そして意外と女性ウケが良く、バズの立役者となったのが先述のボクサーブリーフ。男性のみならず購入が相次いだという。

「今回の反響も踏まえ、8月7日に発売される周年商品の新作の一つとして新たなハト柄のボクサーブリーフを考案しました」(河田氏)

「白が誠実、青は清潔、赤は情熱」ハトのマークに込めた意味 目が描かれてない理由は?

 このハトのマーク。誕生したのは同社が株式会社に移行した1958年だ。そこから1度、1964年の変更を経て、1972年に現在の形に。ハトの理由としては平和の象徴、親しみやすさなど(社内でも諸説あり)。色にも意味があり、白が誠実、青は清潔、赤は情熱を象徴する。ハトに目が入ってない理由は何だろうか。「達磨に代表されるように、なにか物事を達成した時に目を入れるじゃないですか。一説には、弊社はそこで成功じゃない、成就じゃない。まだまだこれから、ということで目を入れていないんです」(河田氏)

 これだけこだわり、消費者にも馴染み深いハトマークだが、棟屋から姿を消した時期があった。2005年、セブン&アイ・ホールディングスが設立。この頃、屋上にある大型看板はハトマークから「7&i」のマークとなった。これは何故か。同社販売促進部統括マネジャー篠塚麻友実氏は「セブン&アイ・ホールディングスの認知のため」と回答する。発足したばかりのグループ名を世間に知ってもらいたいという想いだったが、一部の消費者からは、ハトマークが消えたことを惜しむ声も少なからずあった。そして2017年にようやく復活。

 「復活した時にお客様から喜びの声をたくさんいただいて。弊社としては充分に認知されたことによる復活だったのですが、それだけお客様がハトマークに親しみと信頼感を感じていただいたんだとうれしく思いました」(篠塚氏)。同年、この“ハト”と、『シャーロック・ホームズ』でお馴染みの“ワトソン”をかけた「ハトソン探偵団」も誕生。100周年記念で初めて立体化したが、この陶器の置物は社員でも手に入らないほどの人気だという。

 こうして100年。時代の流れによる危機や転換を余儀なくされることもあった。その代表が電機商品や格安洋品店などの専門店の登場だ。元々、洋品店であった同社にとって、専門店の台頭は大きかった。イトーヨーカドーは、自営店舗だけでなく、館全体の価値を考え、ワンストップショッピング価値を作り上げていく。それら専門店と共存の施策に出た。店内にテナントとして入ってもらうことにしたのだ。

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