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ニッポン放送・吉田尚記が語る、ラジオ再評価の背景にある“多様性”「大事なのは否定すること」

多様性が表現できないテレビのジレンマ 自由なラジオで大事なのは「否定し続けること」

 彼は、とんねるずのオールナイトニッポンを作ったディレクターの言葉を引き合いに出す。「ラジオはすべてのメディアと組める特殊媒体だ、と。テレビと組んでもいいし映画、雑誌、ネットとも組める。当然、VRとも。テレビの登場以来、ラジオは『10年後にはなくなる』と言われ続けました。ですが残り続けているどころか、3月の段階でポッドキャスト(インターネット配信)だけで前年比210%。つまり今、“音声”が見直されているんです。それはなぜか。“多様性”がキーワードになります」

 「テレビは、実は多様性を表現するには向かないのではないのか」と、吉田アナは問題提議する。それはテレビは数十人単位のスタッフがいないと作れないから。これを統率しようとすると、どうしても最小公倍数のものになってしまい、尖ったものを作るのは難しい。一方で、ラジオは極端な話、パーソナリティとディレクターの2人がいれば作れてしまう。意見のまとめが容易な分、最新のことも取り入れやすい。ちなみに吉田アナは、番組とYouTubeの同時配信、Twitter、メール読み、機材やソフトウェアの設定までを、他スタッフを使わずすべてワンオペでこなしている。好きにやっているが、上司や会社から何か言われることもない。低コスト、少人数制だからこそ、“自由”でいられるのだ。

 「漫画もそう。編集者と漫画家で作っていますが、本屋の漫画の棚を見れば分かる通り、努力がすべてという話もあれば、才能がすべてという話もあり、実に多様性に富んでいる。どちらが正しいということはない。編集と漫画家が信じたことを貫き通せばいい。それが結果的に、これほどの多様性を生んできた」

 さらに“否定すること”が重要だそうだ。「ある天才編集者の言葉ですが、漫画を作る時に一番ダメなのは“○○みたいな”ものを作ろうとすること。『鬼滅の刃』がヒットしたからといって、『鬼滅』“みたいな”ものをめざしてはいけないそうです。大事なのは逆。従来のものを“否定”すること。無難であることもよくない。ラジオのパーソナリティで『今後の動向が気になります』と、当たり障りのないことを言っても人の心に届かない。声高に悪口を言う必要は無いけど、ラジオでは「絶対にこれはやらない」というルールを持っているべきです。少人数での制作だからそれを貫き通せるし、最終的に多様性を生む。そうして漫画もラジオも多様性を手に入れた」

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