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『太鼓の達人』は20年変わらない“理想形” 「売れるわけない」期待ゼロのゲームが売れたワケ

「『太鼓の達人』は卒業しない」形態を変えて楽しめる様々なプラットフォームを展開

「お客さんはアーケードからスタートしますが、卒業をしないんですよ。ぐるぐる回ってくれるんです」と佐藤氏は説明する。子どもの頃に『太鼓の達人』で遊んだユーザーが、大人になって移動中にスマホで遊び、結婚して子どもが生まれれば、家庭用ゲームで太鼓を叩く。その子が少し大きくなれば、ゲームセンターに一緒に行くようになる。それぞれの役割はありつつも、ひとりの人間が年齢や環境に応じてゲームの種類を使い分けることも特徴なのだ。「ライフサイクルの中に必ず『太鼓の達人』があり、そのどれかがその人に確実にハマッていく感じですね」(笹岡氏)。

 そこで目指す未来の理想形について中舘氏が語る。

「皆様が知っているほどヒットしているコンテンツはさまざまなプラットフォームでいろいろな製品形態がありますよね。しかも世界中に展開している」(中館氏)。

 そのためには『太鼓の達人』がより日常に根差した存在になる必要があるという。「20周年を皮切りに、ビジュアル面でも新しいブランディングをしたいと考えており、大人女子向け、かわいいデザインのグッズやデジタルコンテンツを出していこうと考えています。『太鼓の達人』というブランドが、その人の日常のスキマに必ず入り込む感じを目指しています」(笹岡氏)。

 日常という意味では、TikTokとのコラボレーション企画も始動。アプリ内のゲームエフェクトで『太鼓の達人』が遊べる機能がリリースされた。「みんなが日常で遊べるSNSのツールに入り込んでいるんです。本格的な遊びではなく、ユーザーコミュニケーションが重視される場でまず広がり、そこで知ってくれた人が、最終的に『太鼓の達人』を好きになるきっかけになればいいなと思っています。今までアーケードから始まった人を、今度は逆から流していくこともできるんじゃないかなと」(佐藤氏)。

 グローバルな展開を見せる『太鼓の達人』がこれからどんな成長を遂げるのか。世界中の誰もが知る、日本を代表するコンテンツになる日も遠くないかもしれない。

(取材・文/鴇田崇)

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