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『太鼓の達人』は20年変わらない“理想形” 「売れるわけない」期待ゼロのゲームが売れたワケ

一方でシンプルなルールに進化を望む声も…結局変えられない“理想形”に葛藤

  • 初代『太鼓の達人』

    初代『太鼓の達人』

  • 新筐体(ニジイロ)

    新筐体(ニジイロ)

 興味深いのは、変わらないゲームシステムだ。バチを使って筐体を叩くスタイルは20年間、大きな変化はないのだ。しかし、「実は…変えましょうという話は毎回出ています(笑)」と笹岡氏は明かす。たとえば、太鼓の数を増やすという案もそのひとつ。「他に、太鼓をドン・カッは、スイッチとしては2個しかないわけですよね。そうすると遊んでいるうちに慣れてくるので、それじゃつまらないのでもう1個増やそうか、とか」(笹岡氏)。しかし、筐体に実装されたことはない。それはなぜなのか。

「新しいものを作り出したい要望は会社からも毎回出るのですが、気持ちよく音楽を叩くコンセプトは変えないでいこうと。そこを突き詰めていくと、基本的なルールは変えないことになり、結局シンプルが一番という結論にたどり着くんです」(笹岡氏)。つまり、最初の段階で『太鼓の達人』の理想形は完成していたのだ。

コロナ禍でも売上キープ、ゲームが多様化しても求められる“実体験” eスポーツとの親和性活かし、海外進出も

  • 『太鼓の達人』シリーズの元ビジュアルアートディレクターの笹岡武仁氏

    『太鼓の達人』シリーズの元ビジュアルアートディレクターの笹岡武仁氏

  • 統括IPプロデューサーの佐藤秀俊氏

    統括IPプロデューサーの佐藤秀俊氏

 2000年代後半になると、携帯・スマホゲームなどが普及しはじめ、ハードそのもののバリエーションが増えた。それがアーケードゲーム市場に少なからず影響が出たことは間違いない。さらに現在、世の中はコロナ禍。そんな中でも『太鼓の達人』は、安定した売り上げをキープしているという。時代や環境が変わっても、同ゲームがアーケードならではの強みをしっかり打ち出せている証拠だ。「スマホなどで手軽にゲームが楽しめるようにはなったのですが、実際にバチを持って大きな太鼓を叩く体験は、ゲームセンター以外にはできないですよね。力いっぱい叩けることって、なかなかない体験なんです。そこに独自性があるので、時世に左右されずに求められ続けているんだと思うんです」(笹岡氏)。
 
 20周年を迎え、アーケード筐体が国内稼働台数約4000台、Nintendo Switch?で発売中の『太鼓の達人 Nintendo Switchば〜じょん!』が全世界累計販売本数140万本を数えるまでの成長を遂げたが、ブランドの価値を高めていく施策を続々と打ち出していこうとしている。「次は海外だと思っています」と笹岡氏。「アジアでは筐体、北米では家庭用も売り出していますが、まだまだ広げる余地はあります。今までは国内だけでしたが、グローバルも視野に入れながらゲームではなく、ブランドとしての『太鼓の達人』も高めていきたい」(笹岡氏)。

 そのひとつの施策がeスポーツだ。「アーケードだと5年ぶりに世界一決定戦があり、家庭用だと毎年小学生向けに大会をやっています。この2軸で、eスポーツという側面でも盛り上げていきたいんです」と、統括IPプロデューサーの佐藤氏は語る。

「実はeスポーツの分野では『太鼓の達人』のタイトルを使わせてほしいという引き合いが多いんです。ルールが分かりやすく誰でも簡単に楽しめて、演奏する姿も見ごたえがありますからね」(佐藤氏)。

 笹岡氏は「一歩、その先に踏み出してる感じはあります」と話す。「eスポーツのイベントで盛り上がっている様子を見ていると、エンターテインメントしてちゃんと消化できている気がするんです。『太鼓の達人』はライブ感があるんですよ、それが伝わるという意味だと、ゲームの画面だけ観ている通常のゲームよりも盛り上がりは出ると思います」と分析する。

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