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気づいたら売れっ子、女優・中村アンの“いい塩梅” 消費されることを恐れぬ姿勢

話題作の出演続くも、インパクトはなし “脂っこい”俳優陣の中で“クセのなさ”が個性に

  • 中村アン

    中村アン(C)ORICON NewS inc.

 女優業を開始してからもバラエティで活動を続けていた中村だが、2018年に初めて主演したドラマ『ラブリラン』(日本テレビ系)以降、ほとんどバラエティ番組では見なくなり、女優業をメインに。それからは、『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)や『集団左遷!!』(TBS系)、『グランメゾン東京』(TBS系)など話題の作品に出演。とはいえ、それぞれの作品で強いインパクトを残しているかと言われればそうではない。だが、「それは彼女がうまく、自身の役柄を消費していると言い換えることも出来る」と前出の衣輪氏。

 「昨今はベテラン名バイプレイヤーや舞台出身俳優、個性派俳優の人気で、クセの強い役者が多く出演するようになっており、よく言えば“演技派中心”、わるく言えば“脂っこい”キャスト布陣の作品が増えているように思います。そんな中で、中村さんは以前から比較的、クセのない“いい塩梅”の演技を見せていた。彼女が“完璧”な女優じゃないからこそ、どんな人気作に出演しても、その印象に塗り替えられることもなく、役柄を消費し、短いスパンで様々な作品に出演し続けることができたのではないでしょうか」(衣輪氏)

 自身が“完璧”な女優じゃないことは、webマガジン『&W』での過去のインタビューでも「あまり役になりきれてないという思いがあった」「30歳ぐらいまで(思うような演技が出来ず)いつも悩んでいた」と明かしている。それでも埋もれず、出しゃばらず、自分らしく、自分の出来る範囲でお芝居をしてきた。過去のインタビューでは、2015年の月9ドラマ『5→9〜私に恋したお坊さん〜』(フジテレビ系)出演時、バラエティの露出が減っていたにも関わらず、「最近よくテレビに出てるねって言われるようになったんです」と話した。その言葉通り、気づけば女優としてよくテレビに出ている印象がある。

もともと女優志望ではないがゆえの柔軟さが助演の“汎用性”に バラエティ経験も“番宣できる女優”枠へ

 昨年放送された妻夫木聡主演の『危険なビーナス』(TBS系)で演出を務めた佐藤祐市氏は、映画『名も無き世界のエンドロール』で監督を務め、「役者としての振り幅を併せ持った存在」という理由で中村をキャスティング。「全幅の信頼をおいて現場に入れました」とコメントしており、“完璧”じゃなくても、その良さが認められ、信頼のおける役者になった。

 女優を目指していたわけではなく、数々のドラマや映画で揉まれながら演技を勉強してきたがゆえに、自らのこだわりやクセもなく、様々なスタッフ、共演者から技術を吸収できた。そして役を消費しているからこそ、ここ数年で弁護士秘書、銀行員、ソムリエ、動物看護士、料理研究家、アーティストなど様々な役柄を演じることができ、演技の幅も身に着けた。

 バラエティ慣れしていることもあり、番宣で活躍できるのも強み。バラエティやイベントなどに出演する際には、豊富な経験とその明るいキャラクターを生かし、場を盛り上げることができる。「番宣がセットになっているテレビドラマにおいて、バラエティでの汎用性もキャスティングの要因になり得ます。演技の幅だけでなく、バラエティの適正も含め、痒いところに手が届く中村さんの“ちょうどよさ”…“孫の手”的な立ち位置は、芸能界での新たなポジションかもしれません」と衣輪氏。

 今は脇役でのキャスティングが多いが、どんどん役の重要性は増してきている。「“中村アン”を見たときに、常にハッとできる何かがないと飽きられてしまう。進化していないといけないと思った」と語った中村。彼女の“らしさ”がどう進化していくか。現在、女優注目株の筆頭だと感じている。

(文/西島亨)

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