THE ORAL CIGARETTES 山中拓也が紡ぐ“歌詞”の舞台裏 凛として時雨TK、尾崎世界観の凄み、セラピーとしての作詞を語る

「上から目線に立たない」。ファンと“横並び”であることにこだわり抜いたエッセイ

――そして、先日発売になった初エッセイ『他がままに生かされて』についてもお話を聞かせてください。こちらの本はどういった経緯で制作に至ったのでしょうか?
山中拓也オファーをいただいたのが、すごくいいタイミングだったんですよね。以前インスタライブをしたときにちょっと酔っ払ってしまって、本当は喋りたくはなかったんですけど、過去のあれこれを話してしまったことがあったんです。
それまでも、ファンからの相談事や悩みがSNSのDMで飛んでくることはあったんですけど、それ(インスタライブ)を聞いて元気付けられましたっていうメッセージがすごく多くて、こういう自分の最低だった部分を晒しても元気や勇気に変えてくれる人がいるんだとわかって。自分の人生を通して誰かを勇気づけられるのであれば、ここまで駆け抜けまくってきた人生を一度整理したほうがいいなと考えていたときに、KADOKAWAさんからのお誘いをいただいたんです。

――自分の半生を振り返るという作業はいかがでしたか?
山中拓也僕は、定期的に自分の人生を振り返って、どういう人間なのかという確認をよくするので、その作業に対して抵抗はなくて。最低だったけど最高の人生だったなと思いますし、ここまでの選択の中に後悔はあまりなかったので、なるべくしてなった人生だなというか。たとえそのときは肯定できなかったことでも、今となっては自分を作るためにすごく大切な選択だったなと思えましたね。
――音に乗せる歌詞とは違う、文章ならではのこだわりはありますか?
山中拓也自分の人生を他人に晒すという行為に簡単にOKは出せないので、本当に隅々までこだわりました。特に「上から目線に立たない」ということですかね。芸能界にはすごい才能を持っている人が溢れているけど、自分はすごい人間だなんてまったく思っていないし、みんなと横並びなんだよという感覚というか。「俺はこう感じてきたから、お前らもこうやれ」じゃなくて「僕はこう感じました。みんなも参考にしてね」っていう、上から偉そうに言っている感じを絶対に出さないというのは意識したことです。
――山中さんは楽曲だけでなくアートワークやビジュアル作りへのこだわりも強いと思うのですが、このエッセイでも構成やデザインのご希望は伝えられたのでしょうか?
山中拓也……かなり(笑)。この本は自分の分身になるんだろうなっていう感覚があったので、下手したら曲以上に責任感が強かったなと思います。うまく表現できていなかったら自分としても不甲斐ないし、この本を通してそういう人間だなって思われるだろうから、自分が生きてきたことを正直に伝えられる本にできたらいいなと思っていて。これから先ずっと残っていく自分の本だから、気に入らない部分を残したまま出すのはやっぱりイヤだし、読んでいてずっとワクワクできる本にしたかったんです。だから順番や構成、写真についてもすごく口出しをさせてもらいました(笑)。

曲だと、演奏があれば歌詞に世界観を色付けできるんですけど、今回は文字や紙をめくるっていう行為だけで勝負しなければならないので、そこが難しかったですね。改めて本を書く人はすごいなって思いました(笑)。
――ここに至るまでは紆余曲折があったんですね。
山中拓也はい(笑)。一番大変だったのはKADOKAWAさんだと思います(笑)。

――そんな山中さんの強い思いが詰まったエッセイを読むみなさんへ、ぜひメッセージをお願いします。
山中拓也ファンの子たちはある程度、僕の人間性を知っていると思うんです。普段相談してきてくれるけど、ひとりひとりに応えられない分、それを踏襲した上でこの本を作ったから、その悩みを解決してくれたらいいなと思うし、オーラルの音楽への向き合い方に生かしてほしいなと思っています。
オーラルや僕を知らない人に関しては、運がよければこの本からオーラルに辿り着いてもらえればいいなくらいの気持ちですね。こんなこと言ったら怒られるかもしれないですけど(笑)。何より、自分にコンプレックスを持っていたり、弱さを肯定できなかったり、半ば人生を諦めていたり、転職しようと悩んでいたり……そういう人たちを励ますことができる一冊になってほしいなと思っていて。自分でもいけるな!みたいな(笑)、みんなを勇気づける材料になってほしいんです。そこからオーラルまで辿り着いてくれとは言いませんけど、もしこの人の言葉を聞きたいなと思って曲を聞いてくれたらすごくうれしいなと。でも一番の目的は、みんなの人生が開けることなんです。
――では最後に、山中さんにとっての“言葉”とは?
山中拓也健康診断みたいな(笑)。荒れているときって言葉も荒れるし、お金がないときはそういう感じの言葉遣いになる気がするんですよね。言葉を聞けば、その人がどういう状況にあるのか、どういうメンタルなのかがわかるツールでもあると思うんです。僕も自分自身のセラピーのために歌詞を書いているし、うん、健康診断みたいなものです。
書籍情報
『他がままに生かされて』(KADOKAWA)

ロックバンド・THE ORAL CIGARETTESで、作品の作詞作曲を手掛けるフロントマン、山中拓也。彼が紡ぐ、人間の本質を表す言葉は、なぜ多くの若者を虜にするのか。そして、いかに生み出されるのか。

生死をさまよった病、愛する人の裏切り、声を失ったポリープ手術、友人の死etc. そこには数多の挫折や失敗があり、周りにはいつも支えてくれた家族や仲間、恩人たちの存在があった。山中拓也は、これまでもこれからも、他に生かされて我がままに生きていく。

そんな彼の半生や人生観。過去と未来のこと。今の時代に伝えたいことを綴ったエッセイ。故郷・奈良の思い出の地巡り、ドイツや国内で撮影した作品写真、貴重なレコーディング風景など撮り下ろし写真も多数収録する。2021年に30歳という節目を迎える、人間・山中拓也のすべてをさらけ出した一冊。

山中拓也の吐く言葉は、何よりも弱くて強い。
プロフィール

THE ORAL CIGARETTES

2010年奈良にて結成。人間の闇の部分に目を背けずに音と言葉を巧みに操る唯一無二のロックバンド。メンバーのキャラクターが映えるライブパフォーマンスを武器に全国の野外フェスに軒並み出演。

リリースした作品は常に記録を更新し、2020月4月リリース5th アルバム『SUCK MY WORLD』は前作に続きオリコン初登場1位を獲得。

2017年6月には初の日本武道館公演、2018年2月には地元関西にて大阪城ホール公演を開催し両日とも即日完売。2018年9月からはアリーナ4公演を含む全国ワンマンツアー『Kisses and Kills Tour 2018-2019』、2019年5月には初のアジアツアー『KK Tour 2019 in Shanghai/Beijing/Taipei』を開催した。そして、9月には大阪泉大津フェニックスにて初の野外イベント『PARASITE DEJAVU 〜2DAYS OPEN AIR SHOW〜』を開催し、2日間で約4万人を動員した。

2020年新型コロナウイルス感染拡大の影響により、COUPLING TOUR 2020『Tonight the silence kills me with your fire』、JAPAN ARENA TOUR『SUCK MY WORLD』、Zepp Tour『SUCK MY WORLD』が立て続けに開催延期・中止となったが、9月にコンセプトを強く意識した公演『ORALIUM』at KT Zepp Yokohamaを2days開催した。

BKW!!(番狂わせ)の精神でロックシーンに旋風を巻き起こしている。
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この記事について
この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
俳優・歌手・芸人・タレントらの趣味嗜好を深堀りしつつ、ファンの「好き」を応援。今後、さらに気になる人の「これまで」と「これから」をお届けしていきます。
⇒この記事をオリジナルページで読む(3月12日掲載)

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