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「今一番必要」Facebookが高校で初授業 コロナ禍で急増するSNS利用、求められる“リテラシー”とは

  • 自由ヶ丘学園高等学校で行われた授業の様子

    自由ヶ丘学園高等学校で行われた授業の様子

 Facebook Japanが昨年12月、都内の高校でSNSとの向き合い方などのデジタルリテラシーに関する授業を初めて行った。早速SNS上で話題となり、「今一番必要な授業だと思う」「めちゃくちゃいいじゃん」「もっと色んなとこでやってほしい」などの反響が寄せられた。昨今ではSNSでの誹謗中傷や炎上が問題化。TwitterやYouTubeのほか、Clubhouseが台頭するなどメディアが多様化した今、Facebookはこれらの問題についてどのように考えているのか。授業内容と反響とともに聞いた。

常に“炎上”リスクと隣り合わせのSNS 「投稿を一度“客観的に見る視点”が重要」

 Facebookが行う「みんなのデジタル教室」の初回特別授業は昨年12月3日に開催。SNS上で活躍するクリエイターとコラボした映像などを活用し、SNSを適切に活用するポイントやセキュリティの保護などについて伝えた。コロナ禍でのオンラインサービスの利用機会増加などを背景に、すでにグローバル展開していたもので、同社のパートナー団体の指導の下、自由ヶ丘学園高等学校(東京都目黒区)で行われた。

「当日の授業は“デジタル・アイデンティティを考える”がテーマ。こういったデジタルリテラシー教育はFacebook社がこれまでも注力してきた分野ですが、コロナ禍でより多くの人々がオンラインサービスを利用する機会が増加。弊社のプラットフォームの利用も非常に伸びているなか、より安全に使っていただくために一層、若年層の皆様への啓発が重要になると考え、日本でも提供をスタートしました」(Facebook Japan 広報 嶋田 容子/以下同)

 昨年3月には、大規模な新型コロナ感染拡大が認められた多くの国においてメッセージ送信総数が前月比50%以上の増加が見られた。特に危機的状況が見られたイタリアにおいては、Facebookファミリーアプリの使用時間は最大70%増加し、グループ通話時間は1000%以上の増加があった。
  • Facebook Japanが行った授業の様子

    Facebook Japanが行った授業の様子

  • Facebook Japanが行った授業の様子

    Facebook Japanが行った授業の様子

 そういった世界的情勢も受け初開催となった同特別授業では、一方的に情報を伝えるいわゆる“講義”的な形式ではなく、活発に意見交換が行われる“ワーク形式”を採用した。誰もが経験あるだろうが、デジタル上での“アイデンティティ”と、学校など日常で過ごす“アイデンティティ”は違うことが多々。生徒たちには「このSNSのプロフィール画面や投稿内容から、この人はどんな人に見えますか?」などの質問を行い、生徒たちにその違いについて考えさせ、興味をもたせる内容に。いわばデジタルとオフライン上の日常に“橋渡し”しようとした形だ。

「授業後のアンケートでは、9割以上の生徒さんがインターネットやオンラインアプリ、SNSへの関心も深まったという解答を。またご自身のSNSを第三者が見た場合、『どのような心境になるのかを考えて使うようにしたい』などのコメントもいただけ、改めてこういった啓発をしていく重要性が感じられました」

「悪意あるユーザーは一部」創設当初からあらゆる対策をとるも、なくならない“いじめ”

 昨今はSNSにおける誹謗中傷や炎上が問題視されている。深刻化することもある今、FacebookやInstagramを運営するFacebook社としてはどのような対応をとっているのか。
「まず、Facebook社としてはプラットフォーム上におけるいじめや嫌がらせといった有害なコンテンツや行為は一切許容しておりません。不適切なコンテンツに関してAIと人員を組み合わせた対応を取っているほか、機械学習などテクノロジーへの投資を続けております。いじめに関しては、オンラインとオフライン双方で重要な問題と考えており、オンライン上では先述した特別授業のような機会を提供していく重要性を感じております」

 現状、Facebookではコメント機能を利用した嫌がらせ行為への対処として、利用者がコメント管理できる機能を提供している。いじめや嫌がらせにあたるメッセージが届いた際には、そのメッセージをFacebook社に報告できることに加えて、プライバシー設定から自分に表示されるコンテンツややりとりできる人をコントロールできるツールも。

 Instagramでは機械学習を活用し、利用者がいじめや嫌がらせを目的としたコメントを目にしないよう自動的にブロックするコメントフィルターを設けているほか、特定の言葉やフレーズを入力し、非表示にすることも可能。フォロワー数の多いアカウントでは、複数のコメントを一括で管理できる機能があるほか、ポジティブなコメントをトップに固定できるようになっている。

「悪意あるコメントを付けるなどの行為をする利用者は一部の方といった印象です。そのため、大多数の方に向けては、ご自身のコメントを見て他の方や対象の方がどんな気持ちになるか、そういったデジタルリテラシーの啓発活動を私共のほうから行っていくことが重要だと考えております。弊社のミッションは、コミュニティ作りを応援して人と人がより身近になる世界を実現すること。それには安心安全があってこそだと思いますので、ポジティブなつながりを生み出せるような施策や機能開発や啓発活動は今後も続けていきたいです」

 話は逸れるが、実はSNSには“日本発”のものがいくつかある。「例えば“いいね”などのハートマーク。そうしたリアクションボタンは、日本の“絵文字”がインスピレーションとなって生まれました。また3.11から10年経ちますが、Facebookには災害支援ハブという安否確認の機能や必要な物資を集め提供する機能があります。こうした機能は、3.11がきっかけで生まれた機能です。

 ちなみにInstagramの「#(ハッシュタグ)」文化も世界に比べて盛んであり、“タグる”という一つの文化であると同担当者は話す。

重要なのは“つながり方” ポジティブなコミュニティが健全なSNSを生む?

 昨今問題されている“炎上”。例えばInstagramでいえば、気軽にリツイートといったことがないことから安全というイメージもある。FacebookやInstagramでの炎上が比較的少ないといったイメージ、安心が保たれている理由についてはどのように考えているのか。

「Facebookの大きな特徴といえば“実名”。匿名ではないからこそ発生しにくい点があるでしょうし、毎日18億 人以上が何かしら好きなことの集まりに参加しており、そういったコミュニティ面での“つながり”の特徴があるからこそ、炎上が起こりにくいのかもしれません。またInstagramでは興味や関心のほか、ビジネス面でフォローする方が多いことも特徴。著名な方であれば、その方と“ファン”がつながる場になっていることも炎上が目立たない理由かもしれません」

 とはいえ、“完全”ではない。だからこそ先述の特別授業などの啓蒙施策が行われているわけだ。

「安心安全に継続してプラットフォームを利用できる環境を整備していきたい。我々が注力しているところは大きく3つあり、一つは社会・経済への貢献。例えばコロナで打撃を受けた中小ビジネスの方がSNSを活用してどのようにビジネスを継続していくか。2つ目はやはり安心安全な環境づくり。そのための投資も続けていますが、今後も専門家の方々などの声を受けて改善に取り組んでいます」

「3つ目はイノベーション。利用者の方のつながり方やニーズは日々多様化し、て進化しています。現状はチャットでのコミュニケーションが10年後にはVRを使っているかもしれない。新しいつながり方を、私共も利用者の方々の声を聞きながら探していかなければいけない。弊社は今後も人と人がより身近になる世界の実現を目指し、コミュニティを築いてつながり、ビジネスを成長させる機会を提供できる場にしていきたいと考えております」

 コミュニティ作りを応援するFacebook社。だが、それによって生まれる“負”のつながりもあり、だからこそ“炎上”も起こる。“悪意”はごく一部だが、だからこそ大部分の人々のデジタルリテラシーの啓発は必要。自分自身の投稿が周囲からどう見えるか、独りよがりではないか、“悪意”を生むきっかけにはならないか。今一度、一人ひとりが考えなければいけない時代に差し掛かっている。


(文=衣輪晋一)

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