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仲野太賀、15年目のブレイクの裏に長年の苦悩明かす「嫉妬がいかに野暮で価値のないことか知った」
俳優としての“諦め”感じていたタイミングで運命的なオファー、改めて身に染みた父の言葉
仲野太賀中学生の頃に西川監督の『ゆれる』を観て衝撃を受けて、その後も監督の作品をいろいろ観させていただいていました。憧れてはいたけど、自分がそこに交わっていくなんて思ってもみなくて。正直、西川組のお話が来るとは夢にも思っていなかったので、とても嬉しかったですね。
――仲野さんは10代の時に一度、西川さんが演出された「太宰治短編小説集」第3シリーズ『駆込み訴え』(NHK BS2)に出演されているんですよね。
仲野太賀当時から憧れがあって、その時のマネージャーさんに無理を言って「なんでもいいから出して欲しい」って頼んだんです。でも撮影の時はカメラからすごく遠い場所にいたし、セリフもない役だったので、西川さんがあの時のことを覚えていてくださって驚きました。
――当時のことについて、西川さんとはお話されたんですか?
仲野太賀その時は撮影も1日2日だけだったんですが、僕の居方を気に入ってくれていたみたいで。父親に、「誰かが必ず見てくれているから、一生懸命がんばれ」って言われた言葉を、久々に思い出しましたね。本当に見てくれている人がいるんだ…って思いましたし、この仕事を続けてきて本当によかったと思いました。僕にとっては、運命的な巡り合わせでもありました。
仲野太賀ちょうどオファーをいただいた頃、役者としての身の振り方みたいなものを考えていた時期でもあって。仕事を頂けている充実感と、でももっと役者として貪欲でありたい自分との中で葛藤がありました。昔思い描いていた自分の姿に、今の自分はなれているのか、とか。諦めに近い感覚でいました。そんな時に西川さんからお話をもらって、救われた気がしましたし、映画に必要とされた気がして心から嬉しかったです。
――しかも今回は、主演の役所広司さん演じる三上と、観客をつなぐ架け橋となるような重要な役どころですよね。
仲野太賀これまで自分が積み重ねてきたものや、辿ってきた道を試される緊張がありました。主演の役所広司さんとご一緒することは、自分の俳優人生の中で最大の目標の一つでもあって。役所さんが西川さんとタッグを組むというだけでも映画ファンとして興奮していたので、そこに自分が入り込むのが信じられない思いでしたね。この作品で、僕の俳優としての何かを決定づけるものになると思いました。