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“脱・渋谷” ハロウィンイベントは人数も減少しより“地味さ”増す 「地味ハロ」が体現する世相

  • ZOOMの背景がバグった人

    ZOOMの背景がバグった人

 例年ならハロウィンイベントで盛り上がる10月下旬、新型コロナウイルス感染拡大の影響で予定されていた各地のイベントも続々と中止に。そんな中、今年も開催されたのが『地味ハロウィン2020』。「派手な格好をするのは恥ずかしい……けど、ちょっと仮装はしてみたい」。そんなパーティーピープルならぬ地味ピープルが発想の柔らかさを発揮した『地味ハロ』が、自粛ムード漂う世相と非常に親和性が高いようだ。

参加者の予想を裏切る、“地味”で奇抜な仮装が続々登場

 「最高に地味な地味ハロウィン」というコンセプトを掲げる『地味ハロ』には、人気のアニメキャラや有名な俳優などに扮した人は見当たらない。「あっ、こういう人いそう」「見たことないけど、なんとなくわかる」など、見る者の心の琴線に触れる、“アイデア満載でとんちの効いた”シュールな仮装が揃った。

 基本的には1人で1テーマの仮装が多かったが、会社の同僚で参加した5人による『免許合宿のパンフレット』をはじめ、仲間同士でテーマを決めて参加するパターンも散見。中には、プライベートで仲の良い幼なじみが個々に参加した結果、仮装のテーマが『パズルゲームの広告動画』と『ピンを抜くゲームのピン』で、偶然にもネタが被ってしまったというハプニングもあった。

 今年ならではの時事ネタ仮装も目立った。『(コンビニで)発送だけして帰るのは、ちょっと申し訳ない人』『袋代をケチったばかりに(両手が塞がり)オフィスに入れなくなった人』など、イメージが湧きやすい仮装から、『コロナ禍買い占め騒動のニュースを見て、トイレットペーパーを探し回ってる人』『オリンピックが延期になったことに気づいてない人』など、悲しいニュースを仮装に用い、面白おかしい形で表現して笑いを誘う人も。

 昨今の『鬼滅の刃』のブームに乗っかれない“地味さ”を存分に表現した『某アニメのせいでお気に入りのシャツ(緑のギンガムチェック柄シャツ)が着られなくなった人』も会場を爆笑させた。他にも、『絶対にアイスを渡さないケバブ屋の店員』『米津玄師と聞いて想像したイメージ』『いらすとやの『めがね、坊主』(で検索して出てくるイラスト)』『メルカリで売られた人』『めぐりズムのパッケージのモデル』などのニッチなキャラの仮装も会場を沸かせた。

おうちで『地味ハロ』、会場ではなく「Twitter参加」が増加

  • ネットで見る1キロの脂肪を持つ人(C)oricon ME inc.

    ネットで見る1キロの脂肪を持つ人(C)oricon ME inc.

  • イオンにいるウォーターサーバーを売っている人(C)oricon ME inc.

    イオンにいるウォーターサーバーを売っている人(C)oricon ME inc.

 人の仮装が中心だったが『道路標識の動物注意』『渋谷クアトロの柱』『一蘭の味集中カウンター』といった、もはや人ですらない仮装も。これら人外の仮装は、アクリル板や段ボールなど硬い素材を用いて自作仮装を作った人たちは、クオリティの高さと抜群の存在感を発揮し、会場内からもひときわ大きな歓声が挙がっていた。

 開催中、Twitter上では今回の仮装の画像がUPされ、それに対してたくさんのいいねがつけられるなど、会場に来られなかったり生配信を観られなかった人たちも、地味に『地味ハロ』を楽しんでいた模様。

 爲房新太朗さんの『イオンにいるウォーターサーバーを売ってる人』には3.6万いいねが。紙コップのほか、子どもに渡すための風船などの小道具にもこだわった仮装。「目が笑ってない笑顔がリアルな販売員っぽい」「長袖の上にポロシャツを着込んだ感じがいかにも週末のイオン」といったコメントがついた。

 “逆風にも逆境にも負けないぞ”という思いを込めた大田翔さんの『向かい風』は、8,800いいねを集めた。ネクタイはメガネに貼り付け、風でめくれたスーツの裾を表現するため針金を縫い込ませるなど、細部にも凝った造りだった。

 また、参加者本人のTwitterだけでなく、主催のデイリーポータルZの公式TwitterにUPされた仮装画像にも多くの反響が。『iPhoneの絵文字の女の人』『グーグルカーの写真を撮っていたらストリートビューに載せられてしまった人』『証明写真を撮るためだけに外出した人』『城本クリニックのCMの女性』など、マニアックな仮装に多くのいいねが寄せられていた。

柔軟な発想から生まれた数々の仮装、コロナ禍の笑いとして再注目

 昨年まで渋谷で開催されていた『地味ハロ』。今年はコロナ対策を検討した結果、「脱・渋谷」となり、二子玉川に会場が移された。換気性に優れた会場の構造に加え、リアル参加者が多くなりすぎないよう収容人数を半分に抑制、座席間のスペースも確保。さらにリモート参加&Twitterでの参加も可能となるなど、実際に会場へ足を運ばなくても楽しめるイベントに生まれ変わった。

イベント終了後、主催者の林さんに今年の様子を聞くと、「昨年に比べて参加者の数が少ないのは、このコロナ禍ではしょうがないですね。でも、時事ネタを盛り込んだ旬な仮装から予想もしないほど意外性のある仮装まで、どれも思わずニヤリとしてしまう仮装ばかり。これぞ『地味ハロ』の醍醐味と言えるのではないでしょうか」。

どんな仮装でも笑いが起こる、とてもゆる〜い雰囲気の会場内。そんな、古き良き日本人が持っていた思いやりの精神すら感じられるイベントとなった。

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