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“地味”だからこそ強い? 暗い状況すらも笑いに変える『地味ハロウィン』の強度

『地味ハロ』仮装は、時代の写し鏡 年を追うごとにシンプルな笑いに変化

そんな『地味ハロ』で、林氏が印象に残っている仮装はなんだろうか。「去年のもので個人的に好きだったのは、「宝塚音楽学校の合格発表を見に来た生徒と、生徒の親」。あれは良く出来ていましたね。そんな人、普通は皆さん見たことないじゃないですか(笑)。でも、見たことないのに“なんか、わかる!”という感じなんですよ。すごく不思議な感覚でした」

 「あとは、アルバイトのオープニングスタッフ募集の仮装ですかね。アルバイト雑誌などで良く見る「オープニングスタッフ」のレイアウト、写真に重ねて載っけてある文字なんですけど、その誌面を横断幕を使って再現したものがありまして。あれはメディアのメタというか、いいアイデアだなと感じました。昨年はそういうシンプルなものが多かったです。単純に「虫歯の人」とか」

 2014年に身内でスタートし、2016年に一般化。その頃から「なんとかで、こうだった人」という物語性を帯びた仮装が増えてきた。だが2018年頃から、「顔変換アプリで失敗した人(スターバックスのカップを手にした仮装で、スタバのカップに描かれる人魚の顔にその人の顔が。その人の顔にはスタバの人魚の顔が)」など、インターネットで見かける人&流行アプリネタが増加。ネットの隆盛の歴史なども鑑みるに『地味ハロ』は、時代の写し鏡であるかのようにも思える。

 そして2020年。そのものズバリの平面的な仮装→物語性→インターネット→シンプルと移り変わってきて、コロナ禍の今年はどんな仮装が飛び出すのか。「仮装でなにかに変身して、その“誰か”になりきるだけでとても楽しいんです。アイデア一つで、兄弟の服を借りるとか、そんな衣装だけでも面白い仮装が作れますので、“見る”だけよりも是非、気軽に参加してほしい」と林氏。

 誰か特定の人物・キャラの仮装をすると、それを揶揄しているとも取られかねないので笑いにくくなる。だが『地味ハロ』の仮装は、「そんな人、見たことないはずなのになぜか、わかる」「確かにいるかもしれない」という不特定人物への笑いだ。確かに尖った笑いも面白い。だが誰も傷つけない、『地味ハロ』らしい“なまぬるい”笑いも、暗いコロナ禍においてはよい癒やしになるかもしれない。

(衣輪晋一/メディア評論家)

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