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1日に何十回も手洗いを…強迫性障害の漫画家が語るコロナとの向き合い方

“不安”はあっても、それを抱えて生きていくしかない

――コロナ禍で“不安”を少しでも取り除く方法はありますか?

菊晴さん “不安”はあっていいものだと思います。それは人間が生きていくうえで、自分を守るために必要な感覚や感情であり、危険を知らせてくれる忠告だと思っています。以前の私は、“不安”を完璧に取り除こうとするからこそ行動が強迫的になり、苦しんでいた。“不安”とうまく付き合うことが大切だと実感しています。もちろん、人の命をも奪うことのある新型コロナウイルスはないにこしたことはない。でも、大切なのはそれとどう向き合うか、今後どうしていくかだと考えています。そして、自分のことだけを考えるのではなく、一緒に暮らす家族と新型コロナウイルスについての対策や行動の指針を、話し合うことが大切だと思っています。

――現在は“ほぼ回復した”とのことですが、どのようにして病気を克服したのでしょうか?

菊晴さん 私の場合は、強い不安に襲われても、しばらくすれば落ち着き、冷静になれる時間がありました。その時に、自分の不安や症状を客観視し、それとどう向き合っていくかを考えました。例えば、寝不足や体調が悪い時は、ちょっとしたミスが増えることもあります。その結果、「今自分は手を洗ったかな?」「ちゃんと鍵を閉めたかな?」と不安になります。強迫性障害は、すぐ治るものではなく、体調管理に気をつけ、生活リズムを整えるなど、そういう小さなことの積み重ねから改善に向かったと思っています。

――ご自身の経験を通した漫画『几帳面だと思っていたら心の病気になっていました』(KADOKAWA)が書籍化されましたが、決まった時いかがでしたか?

菊晴さん WEBサイトを見るのも、「変なところをクリックしていないか、大丈夫かな?」と緊張し、不安になります。自分がネットで漫画を公開し、それが本になる…。そんな未来は、強迫性障害で悩んでいた時には想像もしていなかったことです。だからとても嬉しかったです。症状に悩まされていた時に、支えてくれた家族や周囲の方、そしてブログを応援してくださった皆さんのおかげだと実感しています。

――経験を通して伝えたいことはありますか?

菊晴さん 不安があっても、それを抱えて生きていく…私はそう思っています。苦しかったことや辛かったことのなかにも学びがあり、強迫性障害になって気づいたこともたくさんありました。今、強迫性障害で悩んでいる方、そのご家族や周囲の方に何か参考になることがひとつでもあれば、という思いで漫画を描きました。この漫画が、必要としてくださる方の元に届くことを願っています。そして、強迫性障害を知らない方に知ってもらえたらと思っています。私の漫画がそのきっかけのひとつになれたら嬉しいです。
漫画『几帳面だと思っていたら心の病気になっていました』

【著者】菊晴
【出版社】KADOKAWA

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