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ブームから15年、“生協の白石さん”の今…コロナ禍で悩む若者へのアドバイスとは?

休み時間のささやかな遊びに応えようと余白に“オチ”を付けた

  • インタビューに答える白石昌則氏  (C)oricon ME inc.

    インタビューに答える白石昌則氏  (C)oricon ME inc.

 白石氏が「ひとことカード」を担当するようになったのは、2004年、東京農工大学生協に異動したタイミングだった。現在、氏は店長として、東洋大学の白山キャンパスの生協に勤務。「ひとことカード」の担当から外れているのだが、当時のブームを「こちらと学生のほんのちょっとの時間が符合した結果だった」と振り返る。

「現在勤務している東洋大学は私大の文系で生徒数も多く、都心部にある分、街には楽しいことがいっぱい溢れています。ですが、当時の国立の東京農工大学は理系のキャンパスで人数も少なく、授業に出ないとすぐ遅れをとってしまう。今よりも楽しいことが少なく、授業の後も研究室に詰めて、今日は帰れないかもしれないという学生も多くいました。そんな彼らにとって『ひとことカード』は、休み時間のささやかな遊びだったと思うんです」
 真面目な苦情や提言・要望が8割の中、残る2割は、生協とは関係のない悩み相談や、どう見ても男性の字で「バストアップ用品を置いてください」(ペンネーム・Aカップ)というようなふざけた要望だったと言う。

「学生は、勉強と研究の息抜きに、ライトな気持ちで投稿していたのだと思います。私もまた、他にも仕事がありますから、ひとことカードだけに多くの時間を割くわけにはいきません。でもどんな投稿であれ、わざわざ生協に来て、直筆で記入してくれているのですから、みんな掲示してもらいたいんだろうなと思って極力答えるようにしました。加えて、回答が四角四面では味気ないので、余白にひと言、“オチ”を添えるようにしました」
 そのやりとりがWebに紹介されるようになってから、大学OBより叱りの声が寄せられることもあったと言う。

「『学生からの投稿内容があまりにも幼稚だと。それは学生の特権でもあるから仕方がないかもしれないけれど、白石という人が返事を書かなければ世に出ないのだから、そこのところをよく考えて選択するのが大人の対応だろう』とお叱りを受けました。でも、僕自身、そういう投稿をしてくる学生が、海外で行われる英語のスピーチでプレゼンテーションに出場しているなど、いかにみんな、毎日、真面目に勉強や研究に取り組んでいるかを間近に見ていましたから、その息抜きのコミュニケーションは大切にしたいと思いました。それに生協は学内の福利厚生施設なので、そういうコミュニケーションも我々が果たす役割の一端なのではないかと。『ひとことカード』に遊び心を求めている人がいるのなら、ほんの少しですけど応えようと思ったんです」
 その心温まるやりとりに、大学側も賛同。白石氏は、東京農工大の知名度アップに貢献したことから、2005年には大学から感謝状を授かり、2009年には広報大使にも任命された。

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