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「怒られる覚悟で…」テレ東“10人の突破者“が集結、異彩放つ新部署のたくらみ

「納品して終わり」のテレビ制作、この常識を変える

 新部署でも、モノづくりにおける「攻めの姿勢」は変えない。しかし、明らかにこれまでとは違うことは、「地上波の番組を60分作って、納品してそれで終わりを止めること」だという。実は、これはテレビの世界ではまだまだ革新的な試みでもある。なぜなら制作現場のプロデューサーは、地上波でヒットする番組を作ることだけに集中してきたからだ。

 基本的に、番組のスポンサーを自ら見つけることや、作った番組を売ること、番組のブランディングを考えることは、他部署に任されている。ガチガチの縦割りの組織なのである。

 過去にはもちろん例外はあった。たとえばテレビ東京では、番組と連動したライブイベント『ゴッドタン マジ歌ライブ』なども企画され、プロデューサー自らが多方面に仕掛けることもあった。それを「伊藤部」では、恒常的に売上に直結するセクションと組みながら進めていく。ここに新しさがあるのだ。

企画から放送までわずか1ヵ月、業界の常識を覆すスピード感も武器

  • 「クリエイティブ動物園」と題したプレゼン資料(C)テレビ東京

    「クリエイティブ動物園」と題したプレゼン資料(C)テレビ東京

 10人のプロデューサー集団を、新部署名にちなんで「クリエイティブ動物園」と名付ける伊藤P。自身は「ライオン」、ニッポン放送でラジオパーソナリティまでこなす佐久間Pは「虎」といった具合に、10人ひとりひとりを動物に例え、「顔が見える」企画の営業資料も作っている。予算規模よりも重要視しているのは、「既成概念に囚われない仕事を年内にいくつできるか」ということだという。

「テレビ局の殻を破り、意味のない垣根を感じ過ぎないこと。もともと組織の枠にハマっていないようにみえるメンバーが集まっていますから、平気な顔して次々と企画書を出してくる(笑)。自分も20案件ほど企画を出していますよ」

 すでに集まった企画数は74案件を超える。Netflixでも人気のグルメ番組『ハイパーハードボイルド グルメリポート』を手がけた上出遼平Pからは、テレビという想定を度外視したかのような「音」をテーマにした番組が、民放初の幼児向け番組『シナぷしゅ』の工藤里紗Pは、主婦でありママでもある目線を活かして社外の雑誌の編集者、サブスク提供企業とタッグを組んだ企画が、まもなくローンチされるという。

 スポンサーニーズに即対応できるスピード感も大事なことだと伊藤Pは考える。

「8月8日にオンエアされた『知らなきゃ人生損してる!?となりに潜む、革命家』は、企画から放送までわずか1ヵ月。こんなスピードは、今までだったらまずありえないんですよ。でも、「営業局から『コロナ禍で生活スタイルが大きく変わった昨今を見つめるテーマなら売れる』と要請があって、すぐに取り掛かりました。そういうテレビ制作のセオリーも取っ払いたい」

 メンバーから企画募集を1週間以内で募った。そして、選ばれたのが『家、ついて行ってイイですか?』の高橋弘樹Pの案だった。

 伊藤Pも、野球を切り口とした番組『野球を観て笑顔になろう!プロ野球!クセ強ベストナイン』(8月16日放送)を企画。野球界を盛り上げていきたいというスポンサーのニーズに応えたもので、さまぁ〜ずの三村マサカズ、千鳥の大悟ら出演するベースボールバラエティという新しい切り口だ。

「ポンときてポンと返すスピード感も、これまでテレビ局にはなかったこと。営業は営業、編成は編成、制作は番組作るだけの時代ではもうない。スピード感を出そうと声をかけながら、コロナ禍でもどんどんかたちになっている状況です」

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