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『半沢直樹』、不気味な余韻をかもす音の演出に“病みつき” 視聴者を惹きつける「音効」

「ドーン」と響く低音と、その先にあるカタルシス

 柿谷氏によると、昨今の60分の連ドラ1話で流れる劇伴の曲数は、平均して10曲前後。多彩なジャンルのメロディアスな曲を多く使って物語の世界観を作っていき、最後はメインテーマでまとめるという流れがセオリー化しているという。ところが、多くの連ドラの劇伴が曲数で勝負しているのに対して、『半沢直樹』は逆をいく。

「曲数というよりも、メインテーマを軸にしながら、ここぞというところでのアクとクセの強い音効で勝負しています。もしかすると、それを単調に感じる視聴者もいるかもしれませんが、好きになってしまえば勝負は決まったようなものです」(柿谷氏)

 そんな『半沢直樹』音効の特徴は、およそ10分ごとに挿入される地の底をつくような「ドーン」という低い音。それが視聴者をラストまで離脱させないフックにもなっている。

「本作は、ラストの名セリフと問題解決のスリリングさだけではなく、音を含めたいろいろな演出で、60分間を通して視聴者を引きつけるテクニックに長けています。常に鳴り響くドーンというインパクトのある重低音は、例えるならアクションゲームのダメージを削り合う音。ストーリーの打撃感です。こうやられたら半沢直樹はどうやり返すのかを視聴者は待っている。そのテンポの良さと次を待っている感が、ドラマの強力な引力になっています」(柿谷氏)

 そうした音の経験を60分間積み重ねたうで、ラストに聴くオーケストラの重厚なメインテーマにはカタルシスがある。昨今ありがちな“スマホながら観”など決してできない『半沢直樹』は、音効から視聴者を病みつきにさせている革新的なドラマと言えるのではないだろうか。
(文/武井保之)

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