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女芸人に“優しい笑い”は許されない?ヨゴレ役不可避、“かわいい”面白さの壁

  • いち早く”ヨゴレ役”を脱却し、世界で活躍する稀有な女性芸人・渡辺直美(C)oricon ME inc.

    いち早く”ヨゴレ役”を脱却し、世界で活躍する稀有な女性芸人・渡辺直美(C)oricon ME inc.

 “誰も傷つけない笑い”サンドウィッチマンや、“全肯定漫才”のぺこぱなど、“優しい笑い”が勢いを増す中、女性芸人はいつまでも容姿イジリや自虐ネタ、体当たり芸など“イジられてナンボ”の空気がある。男性芸人であれば、「イケメン」や「男前」もウリになるが、女性芸人は“女っ気”を封印され、そこからはみ出ると「女をウリにしている」「調子に乗っている」等、バッシングの対象にさえなる。山田花子や柳原可奈子のように結婚・出産を機に一線を退く者も少なくない。女性としての幸せと、芸人としてのキャリアの両立は、永遠に“越えられない壁”なのだろうか。

「かっこいい」が許される男性芸人、ベテランも「かわいい」は許されない女性芸人

  • 「カッコイイ」芸人枠を切り開いたとんねるず(C)ORICON NewS inc.

    「カッコイイ」芸人枠を切り開いたとんねるず(C)ORICON NewS inc.

 男性芸人でも「ブサイク」ネタにイジられることはよくあるが、逆にルックスがよくても「男前なのに面白い」という“イケメン芸人枠”がすっかり定着している。この「カッコイイ」芸人という流れは1980年代のとんねるずに始まり、ダウンタウンからナインティナインらの「吉本印天然素材」系へと引き継がれ、チュートリアル・徳井義実が殿堂入りしている「よしもと男前ランキング」(2000〜2015、2019年開催)なるイベントが行われるまでに至った。

 一方、女性芸人では、「吉本べっぴんランキング」が2010年から開催されるも2015年に廃止。そのランキングの1位も、2010年は友近、2011〜2013年はアジアン・馬場園梓、2014〜2015年はスパイク・小川暖奈と、何となくピンとこない感もある。「かわいい」「美人」は、相席スタート・山崎ケイの「ちょうどいいブス」や、ブルゾンちえみの「キャリアウーマン系」のように、ネタの“前振り”的な要素が強く、その枠を超えると芸人としてはマイナスになる場合が多いようだ。おかもとまりや福田彩乃、荒牧陽子などは水着写真集を出したり、女優業にシフトしたり、スキャンダルに巻き込まれたり…「女をウリにしている」「偉そうになった」としてバッシングされることもある。
  • いくつになっても”自虐ネタ”でイジられ役に回る大久保佳代子(C)oricon ME inc.

    いくつになっても”自虐ネタ”でイジられ役に回る大久保佳代子(C)oricon ME inc.

 また、出川哲朗や江頭2:50などのように長年芸風を変えずにリスペクトされている例もあるが、ほとんどの男性芸人は、キャリアを積みながら徐々にヨゴレ役を卒業し、トークやひな壇で勝負した後、MCに落ち着くというケースが往々にして見られる。さまぁ〜ずやくりぃむしちゅー、雨上がり決死隊、有吉弘行といったところが当てはまるだろう。

 しかし女性芸人に目を向けると、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)を代表として、「女だって男以上に体を張る」と限界に挑戦し続けた森三中をはじめ、イモトアヤコ、ガンバレルーヤのほか、久本雅美、大久保佳代子、いとうあさこの“独身・自虐・非モテ”ネタ、近藤春菜の「角野卓三じゃねえよ!」的な男性に例えられるイジられネタといったように、パワハラ・セクハラが問題視される今の時代にあっても、その基本フォーマットはあまり変わってないのである。
MCにまでたどり着いた女性芸人となると、最近では近藤春奈ぐらいしか思い浮かばないが、そもそも女性MC枠は田中みな実や加藤綾子、高橋真麻といったフリーアナウンサーに牛耳られる場合が多い。

“女性としての幸せ”と“芸人としてのキャリア”の葛藤に揺れる芸人たち

  • ”カワイイ”女芸人として活躍するも、結婚を機にテレビ出演は控えるように

    ”カワイイ”女芸人として活躍するも、結婚を機にテレビ出演は控えるように

 そして、女性芸人にとって大きな壁となるのが結婚や出産だ。山田花子や北陽、クワバタオハラ、柳原可奈子などは、結婚・出産を機に激しい芸やイジリが求められるバラエティ番組では見なくなった。深夜の通販番組でママタレとして商品アピールしたり、出産前からナレーターの方向に活動をシフトしたりと、静かに立ち位置を変えているのだ。

 さらに、「ブスネタ」をウリにしていた女性芸人にも“意識改革”が始まったようで、アジアン・隅田美保などは「ブスいじりのせいで結婚できないのが嫌」と訴え、テレビ出演を控えるまでに。尼神インター・誠子も、2年前に30代に突入したあたりから「30歳になったので結婚もしたいし女子も全力で頑張りたい」とたびたび発言しており、相方の渚も「今どついたら、どついたほうがかわいそうになるので、ボコボコにできない悲しさはある。ブスネタは受けなくなった」と突っ込みづらいホンネを明かす事態となった。

 ガンバレルーヤ・よしこも、「好きな人がいると面白いことが言えなくなっちゃう」と発言しているように、日々体を張って、容姿イジリも笑いに変え、変顔や自虐ネタを連発している彼女たちも、当然芸人である前に女性なのだ。今年30歳を迎えるよしこにしても、いずれは先輩女性芸人たちと同じ葛藤に向き合う日が近いのかもしれない。

“いじられてナンボ”に新風なるか、3時のヒロインら“幸せな女”芸人の台頭に期待

 そんな中、これまでの女性芸人の枠をはるかに超えて、圧倒的なカリスマ性を発揮させているのが渡辺直美だ。“ヨゴレ役”から脱却し、豊満なスタイルは今や“アイコン”となり、インスタフォロワー900万超、海外公演も成功裡に終え、ファッションモデルとしても支持が高い。そんな彼女を過度にイジったり、体当たり芸を求める声はほとんど聞かなくなったし、その必要もなくなったのだろう。3年前の27歳の誕生日に結婚し、先月は第一子を出産した横澤夏子も、「幸せな女が一番面白い」と宣言し、女性としての幸せを笑いに還元する気合いを見せている。
  • 「みんなかわいい」と徐々に人気を伸ばしている3時のヒロイン(C)ORICON NewS inc.

    「みんなかわいい」と徐々に人気を伸ばしている3時のヒロイン(C)ORICON NewS inc.

  • 吉本のアイドルグループつぼみ出身の3時のヒロイン・福田麻貴(C)ORICON NewS inc.

    吉本のアイドルグループつぼみ出身の3時のヒロイン・福田麻貴(C)ORICON NewS inc.

 そんな彼女らの背を追いかけるように勢いを増しているのが、3時のヒロインだ。“お笑い第7世代”の中でも独自の存在感を発揮し、続々とレギュラー番組も獲得している。ネタ作りを担当している福田麻貴は吉本興業のアイドルグループの元メンバーであり、「みんなかわいい」との声も挙がっているのだ。おかずクラブやガンバレルーヤも同様で「かわいい」を理由に好きになるファンが増えており、さらに昨今、SNS等では女性芸人の“ブス・デブいじり”に対して「見ていて不快」と批判の声が高まっている。

 3時のヒロイン・ゆめっちは渡辺直美を憧れの人に挙げており、福田は女性のツッコミやMC枠を開拓したいと意気込みを述べている。先述の「女をウリにしている」といった批判に晒されるのは、往々にして芸人としての結果が伴っていない際に起こることが多い。その点、彼女たちは定期的に新ネタを卸し、昨年の『女芸人No.1決定戦 THE W』での優勝という結果も残している。“芸人としての本懐”をしっかりと貫いてさえいれば、例え多角的な展開を提示しても、批判より称賛が勝るということを先人たちも証明してくれている。

 新たな時代を築きつつある彼女たちが、渡辺直美や横澤夏子のように“女性”としての自分を封印することなく、“芸人”としてのキャリアも確立できる流れができていくことを期待したい。そして、山田邦子や久本雅美といった先輩たちが越えられなかった“壁”を乗り越え、視聴者の抵抗感や偏見が吹き飛ぶような、女性芸人発のお笑い新機軸を開拓してほしいものだ。
  • 「幸せな女が一番面白い」と結婚後もお笑いの仕事に気合を見せる横澤夏子(C)ORICON NewS inc.

    「幸せな女が一番面白い」と結婚後もお笑いの仕事に気合を見せる横澤夏子(C)ORICON NewS inc.

 新たな時代を築きつつある彼女たちが、渡辺直美や横澤夏子のように“女性”としての自分を封印することなく、“芸人”としてのキャリアも確立できる流れができていくことを期待したい。そして、山田邦子や久本雅美といった先輩たちが越えられなかった“壁”を乗り越え、視聴者の抵抗感や偏見が吹き飛ぶような、女性芸人発のお笑い新機軸を開拓してほしいものだ。

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