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【インタビュー前編】脱サラして興行師に…伯山を支える妻の手腕「一時は納豆しか食べられなかった」

妻・古舘理沙さんがマネージャーを務める神田伯山

妻・古舘理沙さんがマネージャーを務める神田伯山

100年ぶりの“講談ブーム”の立役者であり、コンプライアンス度外視の毒舌っぷりでテレビ界にも旋風を巻き起こしている、神田松之丞あらため六代目神田伯山。妻・古舘理沙さんは公私にわたるパートナーで、大手芸能事務所に所属していない伯山のマネジメントも行っている。元会社員でありながら、落語や講談のプロデュースを手掛ける興行師の道を選んだ理由とは。彼女にこれまでの道のりや伯山との出会い、マネジメントの裏側を聞いた。

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――古舘さんは、元々落語や講談に興味があったんですか?

古舘理沙いえ、全く観たことも聴いたこともなかったんですよ。出版社に就職して2年くらい編集の仕事をやっていたんですが、その時にたまたま宣伝会社の人に誘われて。初めて聴きに行ったのが、上野にある鈴本演芸場です。当時はみんな、客席でご飯を食べてビールを飲みながら楽しんでいて「なんて緩いユートピア!」って衝撃を受けました(笑)。当時働いていた雑誌は、年収数千万以上のベンチャー社長が想定読者で、とにかくギラギラしていたので真逆の世界。だから最初は落語に惹かれたというよりも、その世界観を好きになったんですよね。そこから色んな寄席にいくようになって、色んな落語家さんを知って、どんどん落語の魅力にもハマっていきました。

――かなりの数の公演を観に行っていたんですか?

古舘理沙そうですね。1人の落語家さんを知って公演に行くと、また別の方を知って好きになる。それの繰り返しでどんどん“沼”にはまっていきましたね(笑)。追っかけみたいに地方公演も行っていました。でも色んな公演を観ていくうちに、落語自体も勿論好きなんですが、会場やグッズが気になりだして、こうした方が良いのになぁって、だんだん制作目線で見るようになっているのに気づいたんですよね。

――落語に出会って、4年で会社を辞めて興行師として独立された?

古舘理沙色んなタイミングが重なって、“今だ”と思ったんですよね。その時の自分にはその選択肢しかないような気がして、勢いもかなりあったと思います。ただ私の中で、この先もずっと会社勤めをするイメージがなくて、どこかで自分が一生かけてやる仕事をやりたいと思っていた。そう考えたとき、私にとってそれは「落語の世界」だったんですよね。それでたい対して知識も経験もないのに、いきなり会社を辞めてこの世界に飛び込みました(笑)。

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  • ラジオやテレビで度々嬉しそうに妻の話をしている神田伯山

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――最初はたった1人で活動されていたんですか?

古舘理沙そうですね。会場押さえから落語家さんのキャスティング、チケット販売や宣伝なども1人でやっていました。1年目は勢いで何とかなったんですが、2年目は地獄でしたよ(笑)。興行師1本でやっている人なんてほとんどいなかったですからね。家賃が払えるかどうかの状態が続いて、実家から送ってもらった米と100%野菜ジュースに、納豆と卵しか食べられなかったくらい。通帳残高が常に数百円とかで、もうどうにもならないなぁ、と挫けそうになった頃にチケットが1枚売れて3000円入金があると「これであと1週間生き延びられる!ありがたい!!」とATMを拝むみたいな生活を1年くらいしていました(笑)。

――軌道に乗ってきたのはいつくらいからですか?

古舘理沙独立した時、3年で結果が出なければやめようと思っていたんです。ちょうどその3年目でようやく食べられるようになって、何かがどうなったとかではなく気がつけば徐々に徐々に、ただ夢中にやっていたら人が増えていった感じですね。

――それだけ大変な中、なぜ続けることができたんですか?

古舘理沙26歳まで落語の世界を知らないで育ってきたので、なんだかそれを恥じる気持ちがあったんですよね。子どもの頃から見ようと思えば見られたのに、何でもっと早くこんな素敵な世界を知らなかったんだろうって。だから、色んな人にいち早く落語の魅力に気づいてほしい、知ってほしいというのがありました。あとは、演者さんへの信頼感。本当に凄いんだから、絶対面白いっていう確信があって、その人達がもっと世に知られて欲しい、知られるべきなんだと。それが大きな原動力でした。

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