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こんな時だからこそ“ほっこり旅漫画”が心の支えに、SNS反響の世界一周実録漫画作者が伝えたい思い

 「シベリア鉄道で乗り合わせた肝っ玉母ちゃんが、降りるときに豊満な美女に変わっていた!」「ドイツのスーパーのレジ、かなりの人が並んでいたのに店員が突然コーヒーブレイクを開始」「チリからアルゼンチンまで約1300キロの街道を瀕死になりながらチャリで激走」。これらはTwitterで話題のイラストレーター低橋さん(@hikuhashi02)が経験した、世界一周一人旅のエピソードである。世界各地を旅行して帰国すると、「一人旅って楽しいの?」と聞かれることが多いという低橋さんに、旅の魅力について語ってもらった。

「一人旅には一人旅の良さがある」

 陸路を行く長旅が好きで、一度旅に出ると大抵は1年を越えてしまうという低橋さん。帰国して人に会うと「なんで一人なの?」「それって楽しいの?」と聞かれることがたびたびあるという。

 「一人が好きなので」「案外気楽でいいですよ」と答えても、「フツー誰かと行くでしょ?」「絶対寂しいでしょ?」「わけアリの一人なんでしょ?」と質問攻めにあい、なかなか納得してくれない。いったいどんな理由なら納得してくれるのだろう…と、低橋さんも自問自答してしまうのだという。

 そんななか低橋さんは、一人旅の魅力について自分なりの答えをTwitterで発信。「一人旅は寂しい」というイメージがあるようだが、そんなことはない。旅先では現地の人がよく話しかけてくれるから」「自撮りに巻き込まれるわ、取り囲まれるわ、寂しいどころかもう少し放っておいてほしいくらい」とその魅力を語り、「一人旅には一人旅なりの楽しみ方がある」とも明かしている。

 漫画には、車窓の風景にそっと思いを馳せたり、一面に広がる星空を独り占めしたりする低橋さんの姿が。旅先で出会った問屋のご主人と世間話をしたり、映画の余韻に浸ったり、絶景も風の音も、旅先で感じたすべてが“自分だけの特別な世界”になる。目的地が閉まっていても気にしなくていいし、スケジュールが狂っていても謝らなくていい。そんな具体例が豊富に描かれている。

 低橋さんは「この漫画は、あくまで“私の場合”のお話で、危険を無視してむやみに一人旅を推奨するものでもなければ、誰かと一緒の旅を否定するものでもありません。さすがにちょっと寂しいときもありますが、それでも私は一人旅が好き。一人旅ならではの自由と孤独を今後も楽しみたい」と話してくれた。

「心の中だけでも旅行気分を味わいたい」その読者の声が“救い”に

 低橋さんのTwitterでは、この他にもロシアにトルコ、東欧から南米、インド、ネパールと、世界各国を旅した様子を記録した実録漫画や、世界を旅するなかで見かけた働く人々をおもしろおかしく切り取った漫画が話題になっている。それらのエピソードをまとめた書籍『旅のオチが見つからない おひとりさまのズタボロ世界一周!』(KADOKAWA)も発売中。「とにかくポジティブで、読んでいて楽しい」「自然とふふっと笑えて、ほっこりする」「旅に出たくなった」と多数の反響が集まっている。

「書籍化してたくさんのコメントをいただけて、ホッとしたし、本当に嬉しかったです。主軸として『一人の人間が旅立ち、何かしらの答えを出すまで』を描きたいという思いがありました。色んな旅人さんがいて色んな旅の形がある中で、『こんな旅もあるんだな』というあくまで一例としての旅模様が伝わり、共感したり笑ったり、皆さんそれぞれの視点で楽しんでもらえたらいいなと思っています」

 「自由」で「強い」というイメージがあり、旅人に憧れたという低橋さん。“旅”というものをどのようにとらえているのか。

「実際の旅は困難も多く良い事ばかりではないということは情報として知っていましたが、それでもそんな泥くさい“旅人”が当時はとても格好良く見えました。旅に出たら『誰も自分を知らない』=『誰も知らない自分になれる』という気がしたというのもあります。まあ実際旅立ってみたら全く理想通りの旅人にはなれず、どんな旅人になるかはその人の性格次第だなということを、身を持って知ったのですが(笑)。新コロナウイルス騒動のことがありますので、次の旅に出るのはしばらく難しい様に思いますが、もう何年も前から次の旅先は『中央アジア』と決めています」

 続けて、“旅漫画”を発信する自身の活動については「国内外問わず苦しいニュースが続いていますので、旅関連のツイートは何となく躊躇われ、『こんなときにこんな話をしていいものか』という強い不安と葛藤があった」とも話してくれた。

「私のTwitterに『心の中だけでも旅行気分を味わいたい』というコメントをくださった方が何人もいらして。私自身、そのお言葉にとても救われたんです。ですので、私もこんなときだからこそ出来るだけ前向きに。これからも笑えたり心が温まったりする内容を発信していきたいです。そしてまたいつか、旅先から明るい出来事をツイート出来たらいいなと願っています」

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