ORICON NEWS
宮迫とのコラボから見るYouTuberヒカルの立ち位置、 炎上イメージがいつのまにか“火消人”に
「大スター宮迫に○○してみた」で容赦ないイジりも、その火消具合に反響
ヒカルはYouTuberとして先陣切って宮迫とコラボした形だが、「大スター宮迫にサイゼ奢ってみた」動画では、「サイゼリアに行ったことがない」という宮迫に「どうせ叙々苑ばかり行ってるんでしょ」と突っ込みながら、「ミラノ風ドリア」「マルゲリータピザ」「辛味チキン」などサイゼリアの定番メニューを勧め、それを宮迫が「うまっ!」と感動しながら食べる…という展開で進む。宮迫はかつての軽妙なトークを見せて“健在ぶり”をアピールする一方、ヒカルは「全然オーラないけど(目の下の)クマはあるっす。クマがシックスパック」などと容赦なく宮迫をイジるが、宮迫も笑顔で受け入れている。
この「大スター宮迫に○○してみた」シリーズは、他にも「薬物検査してみた」「ラーメン奢ってみた」などがあり、「ヒカルの宮迫さんのいじり方がいい」「普段の動画よりも宮迫が生き生きしている」といった称賛から、「こんな宮迫さん見るのが悲しい」とのコメントまで賛否両論あがったが、おおむね「宮迫がヒカルに助けられている」という見方が多いようだ。
ここまで宮迫をある意味“手玉に取る”ヒカルとはどういう人物か。金髪と黒髪のツートンがトレードマークで、「1台の自動販売機をすべて売り切れにするにはいくらかかるか」といった、いわゆる「やってみた」系の過激な動画投稿で一躍人気YouTuberになる。中でもその名を轟かせたのは、「祭りのくじ全部引いて当たりがあるか調べる」的な動画で、多額のお金をつぎ込んでくじを全部引くが、結局PS4などの1等賞品は当たらないという、いわば“告発”系の動画。その姿はかつての『進め!電波少年』(日本テレビ系)を思わせるノリもあり、視聴者側をドキドキさせる。言ってみれば、「規制が厳しいテレビではできなくなった過激なネタをYouTuberがやっている」という図式を体現しているような人物なのである。
ただ2017年、自身の仮想株式(VA)の売買に関するVALU騒動で活動を自粛するなど問題も多く、炎上することもしばしば。しかしそれすらも自身の“ネタ”にするメンタルの強さがあり、そのつど見事に復活、現在では378万人のチャンネル登録者数を誇るカリスマなのだ。
誰もが「芸能人に淘汰されると思っていた」純正YouTuberが起こした変革
特に芸人の流入が顕著だが、その芸人たちの発言で目立つのが“ヒカルリスペクト”の声。たとえば、カジサックチャンネルに出演した陣内智則は「ヒカルくん紹介して」、霜降り明星・粗品は「ヒカルを尊敬している」、東野幸治は「俺たちの世界が芸能界Aだとしたら、芸能界Bってこんな感じなんや。ヒカルさんこわい」等々、それぞれのチャンネルでヒカルの名に言及。宮迫とのコラボ企画の影響が大きいとは思うが、芸能界の第一戦で華々しく活躍する芸人たちが、こぞってヒカルの一挙手一投足に注目するなど、芸能人>YouTuberであったはずのひと時代前では考えられない奇妙な“逆転現象”が生まれているようなのだ。
ヒカルはなぜ、ここまでのし上がれたのか。繰り返しになるが、芸能人がYouTubeに進出したあかつきにはYouTuberは淘汰されるものと言われてきたし、逆にYouTuberがテレビに進出しても通用せずに消えていく…というのが大方の見方だったのだ。たしかにその傾向も否定できないが、ヒカルのように勢いを増しているYouTuberがいるのも事実。また、YouTubeに参入する芸能人にしても「上から」目線では失敗しているし、芸能人でもYouTubeでは淘汰されているのが現実だ。
今では芸能人もYouTuberと同じ立ち位置でYouTubeデビューし、そのきっかけとして専業YouTuberとコラボするのが“必須事項”になってきたともいえる。実際、芸人YouTuberの第一人者ともいえるカジサックや、YouTuber活動へと完全にシフトしたように見える中田敦彦などは、ヒカルとの共演がさらなる飛躍につながったという一面もあるし、むしろヒカルは彼らにYouTuberの心得を“伝授”しているかのようにも見える。